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解説記事2023年04月10日 税務マエストロ 還付請求手続の実践演習(法人編)(2023年4月10日号・№974)

税務マエストロ
還付請求手続の実践演習(法人編)
#285
 税理士 熊王征秀

マエストロの解説

 前回に引き続き、消費税の還付請求手続について実務上のポイントを確認する。今回は、法人の還付請求手続について、前回同様に下記の前提で事例を検証する。

 以下の各事例について、いつまでにどのような手続きが必要であるか、届出書の種類とその届出書を提出すべき課税期間およびその届出書の適用開始課税期間について解答されたい。
(前提条件)
 令和5年の9月中に税務相談を受けたという前提で解答すること。
 また、課税期間の短縮制度については、消費税の還付を受けるために必要な場合に限り、活用するものとする。

事例6 簡易課税適用事業者が還付を受けるケース(その1)

 12月決算法人であるA社は、従前より簡易課税により消費税の申告をしているが、翌期(令和6年1月1日~令和6年12月31日)中にB社から課税商品や中古建物などの譲り受けを計画しているため、消費税の還付を受けたいと考えている。
 商品単価(税抜)は1,000円~5,000円程度で仕入代金(税抜)は3,000万円程度と見積もられる。
 また、中古建物の購入金額は未だ協議中であるが、年内には金額を確定させてB社と売買契約を締結する予定となっている。
 なお、「適格請求書発行事業者の登録申請書」は令和4年中に提出済である。

ケース1 建物の購入金額(税抜)が1,000万円未満の場合

<ポイント>
① 簡易課税から本則課税に変更しても、旧3年縛り(平成22年度改正法)の適用はない。また、商品単価と建物の取得価額がいずれも1,000万円未満であることから高額特定資産を取得した場合の新3年縛り(平成28年度改正法)の適用もない。
② 「簡易課税制度選択届出書」を提出した場合には、簡易課税の適用を受けた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することはできない。
③ 「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出した場合には、提出日の属する課税期間の末日の翌日から簡易課税の効力は失効する。
  つまり、課税期間が1年サイクルの場合、簡易課税は2年間の継続適用が義務付けられているということである。
  ただし、継続して簡易課税を適用してきた事業者が、仕入控除税額の計算方法を本則課税に変更して消費税の還付を受け、翌期からまた簡易課税を適用することは可能である。
  計算方法を本則課税に変更したときについてまでも、2年間の継続適用が義務付けられているわけではないので注意されたい。
<スケジュール>
① 令和5年12月31日までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出し、計算方法を本則課税に変更する。
② 令和6年1月1日~令和6年12月31日事業年度の確定申告で消費税の還付を受けることができる。
③ 令和6年1月1日~令和6年12月31日事業年度中に「簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、令和7年1月1日~令和7年12月31日事業年度から再び簡易課税により申告することができる。
  なお、令和8年1月1日~令和8年12月31日事業年度については簡易課税が強制適用となる。


ケース2 建物の購入金額(税抜)が1,000万円以上の場合

 本則課税の適用期間中に高額特定資産を取得するので、新3年縛り(平成28年度改正法)の適用により、課税事業者の拘束期間は3年間となる。
 また、令和7年1月1日~令和7年12月31日事業年度と令和8年1月1日~令和8年12月31日事業年度の申告で簡易課税制度の適用を受けることはできない。
<スケジュール>
① 令和5年12月31日までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出し、計算方法を本則課税に変更する。
② 令和6年1月1日~令和6年12月31日事業年度の確定申告で消費税の還付を受けることができる。
③ 令和8年1月1日~令和8年12月31日事業年度中に「簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、令和9年1月1日~令和9年12月31日事業年度から再び簡易課税により申告することができる。
  なお、令和10年1月1日~令和10年12月31日事業年度については簡易課税が強制適用されることになる。

事例7 簡易課税適用事業者が還付を受けるケース(その2)

 12月決算法人であるC社は、従前より簡易課税制度の適用を受け、消費税の申告をしているが、当期(令和5年1月1日~令和5年12月31日)の10月中に建物を3億円(税抜)で取得する予定であり、消費税の還付を受けたいと考えている。
 C社の前々期(令和3年1月1日~令和3年12月31日)の課税売上高(税抜)は、本社事務所の売却による臨時収入があったことにより6,000万円となっているが、例年における課税売上高は毎期3,000万円前後で推移している。
 なお、「適格請求書発行事業者の登録申請書」は令和4年中に提出済である。

<ポイント>
 本則課税の適用期間中に高額特定資産を取得した場合には、高額特定資産を取得した日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの間は「簡易課税制度選択届出書」を提出することができないこととされている。
 つまり、「簡易課税制度選択届出書」の提出時期に制限を設けることによって、本則課税による3年間の申告を義務付けているということである。


 「簡易課税制度選択届出書」を提出している場合であっても、基準期間における課税売上高が5,000万円を超える場合には、簡易課税により計算することはできない。したがって、事前に「簡易課税制度選択届出書」を提出している事業者の基準期間における課税売上高が5,000万円を超えたことにより本則課税が適用され、たまたまその課税期間中に高額特定資産を取得したようなケースでは、簡易課税制度の適用制限はされないこととなるのである。

事例8 新設法人が設立事業年度から簡易課税を選択したことにより還付を受けることができないケース

 資本金1,000万円で、株式会社(D社)を令和4年11月1日に設立し、設立事業年度(令和4年11月1日~令和4年12月31日)中に「簡易課税制度選択届出書」を提出して設立事業年度から簡易課税により消費税の申告をしていたが、設立3期目である翌期(令和6年1月1日~令和6年12月31日)の8月中に建物を3億円(税抜)で取得する予定であり、消費税の還付を受けたいと考えている。
 D社の事業年度は毎年1月1日から12月31日までであり、設立事業年度の課税売上高(税抜)は600万円であった。
 なお、D社は「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」を記載した「法人設立届出書」を設立事業年度中に提出している。
 また、「適格請求書発行事業者の登録申請書」は令和4年中に提出済である。

 還付を受けることはできない。
 なお、令和6年1月1日~令和6年12月31日事業年度の基準期間は設立事業年度となり、設立事業年度の課税売上高は、年換算した金額が1,000万円を超えることから、令和6年1月1日~令和6年12月31日事業年度について「課税事業者届出書」を提出する必要がある。
   600万円 ÷ 2 × 12 = 3,600万円 > 1,000万円

 新設法人については、設立事業年度中に「簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、設立事業年度あるいはその翌事業年度のどちらからでも簡易課税により計算することが認められている。
 「簡易課税制度選択届出書」を提出した場合には、簡易課税の適用を受けた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することはできない。
 したがって、本事例の場合には、簡易課税の適用を受けた課税期間の初日(令和4年11月1日)から2年を経過する日(令和6年10月31日)の属する課税期間(翌期)の初日(令和6年1月1日)以後でなければ「簡易課税制度選択不適用届出書」は提出できないことになり、翌期中に「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出した場合には、さらにその翌期(令和7年1月1日~令和7年12月31日)から簡易課税の効力は失効することになる。


 設立事業年度が1年未満の新設法人が、設立事業年度から簡易課税を選択した場合には、原則として3期目の末日までの期間は簡易課税が強制適用となることに注意されたい。
 また、課税期間を1か月に短縮したとしても、「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出できるのは、簡易課税を採用した課税期間の初日(令和4年11月1日)から2年を経過する日(令和6年10月31日)の属する課税期間(令和6年10月1日~令和6年10月31日)の初日以後となるので、令和6年8月中に予定されている建物の取得について、消費税の還付を受けることはできない。
 ところで、上記の事例において、設立事業年度(令和4年11月1日~令和4年12月31日)の課税売上高が1,000万円だったとしたらどうであろう……?
 年換算した金額は
   1,000万円 ÷ 2 × 12 = 6,000万円 > 5,000万円
 となり、令和6年1月1日~令和6年12月31日課税期間においては、基準期間における課税売上高が簡易課税制度の適用上限額の5,000万円を超えてしまうので、

簡易課税は使えない = 本則計算による消費税の還付が可能

ということになるのである!

事例9 新設法人が設立事業年度から簡易課税を選択した場合で還付が可能なケース

 資本金1,000万円で、株式会社(E社)を令和3年3月1日に設立し、設立事業年度(令和3年3月1日~令和3年12月31日)中に「簡易課税制度選択届出書」を提出して設立事業年度から簡易課税により消費税の申告をしていたが、設立3期目である当期(令和5年1月1日~令和5年12月31日)の10月中に建物を3億円(税抜)で取得する予定であり、消費税の還付を受けたいと考えている。
 E社の事業年度は毎年1月1日から12月31日までであり、設立事業年度の課税売上高(税抜)は2,000万円であった。
 なお、E社は「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」を記載した「法人設立届出書」を設立事業年度中に提出している。
 また、「適格請求書発行事業者の登録申請書」は令和4年中に提出済である。

<ポイント>
① 当期の基準期間は設立事業年度となり、設立事業年度の課税売上高は、年換算した金額が1,000万円を超えることから「課税事業者届出書」を提出する必要がある。
   2,000万円 ÷ 10 × 12 = 2,400万円 > 1,000万円
② 「簡易課税制度選択届出書」を提出した場合には、簡易課税の適用を受けた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することはできない。
  したがって、本事例の場合には、簡易課税の適用を受けた課税期間の初日(令和3年3月1日)から2年を経過する日(令和5年2月28日)の属する課税期間(当期)の初日(令和5年1月1日)以後でなければ「簡易課税制度選択不適用届出書」は提出できないことになる。
③ 令和5年10月中の設備投資について消費税の還付を受けるためには事業年度の中途より簡易課税をやめる必要があるので、課税期間を短縮したうえで、「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することになる。
④ 本則課税の適用期間中に高額特定資産を取得するので、新3年縛り(平成28年度改正法)の適用により、令和5年10月1日から令和8年9月30日まで本則課税が強制適用となる。
<スケジュール>
① 令和5年9月30日までに「課税期間特例選択・変更届出書」を提出し、課税期間を10月1日から3か月ごとに区分する。
  これにより、簡易課税の適用を受けた課税期間の初日(令和3年3月1日)から2年を経過する日(令和5年2月28日)の属する課税期間は、令和5年1月1日~令和5年9月30日となる。
② 令和5年9月30日までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することにより、令和5年10月1日から本則計算によることができる。
③ 令和5年10月1日~12月31日課税期間の確定申告で消費税の還付を受けることができる。
④ 令和8年10月1日~12月31日課税期間より再び簡易課税で計算するためには、「簡易課税制度選択届出書」を令和8年7月1日~9月30日課税期間中に提出する必要がある。
⑤ 令和8年7月1日~9月30日課税期間中に「課税期間特例選択不適用届出書」を提出することにより、令和8年10月1日より期間短縮の効力は失効する。ただし、令和8年10月1日~12月31日までの期間は一の課税期間とみなされるので、事業年度サイクルの申告に戻るのは令和9年1月1日~令和9年12月31日事業年度からとなる。
(注)令和7年7月1日~9月30日課税期間中に「課税期間特例選択不適用届出書」を提出した場合には、令和8年から事業年度単位の課税期間に戻ることになるが、この場合、令和9年1月1日~令和9年12月31日事業年度以降でなければ簡易課税制度の適用を受けることができない。

事例10 月単位の期間短縮制度の活用or事業年度を変更するケース

 10月決算法人であるF社は、簡易課税により消費税の申告をしていたが、令和5年10月中に本社ビルが完成し、消費税の還付が見込めるにもかかわらず「簡易課税制度選択不適用届出書」の提出を失念してしまった。
 社長から「なんとかならんもんでしょうか……?」と相談を受けたのですが、さてどうしたものでしょう……。
 なお、建築請負金額(税抜)は3億円であり、「適格請求書発行事業者の登録申請書」は令和4年中に提出済である。

ケース1 月単位の期間短縮制度を活用するケース

<ポイント>
① 令和5年10月中の設備投資について消費税の還付を受けるためには事業年度の中途より簡易課税をやめる必要があるので、課税期間を短縮したうえで、「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要がある。
② 本事例の場合には、令和5年10月1日から課税期間を短縮しなければ還付を受けることができないので、1か月単位の期間短縮制度を活用することになる。
③ 本則課税の適用期間中に高額特定資産を取得するので、新3年縛り(平成28年度改正法)の適用により、令和5年10月1日から令和8年9月30日まで本則課税が強制適用となる。
<スケジュール>
① 令和5年9月30日までに「課税期間特例選択・変更届出書」を提出し、課税期間を10月1日から1か月ごとに区分する。
② 令和5年9月30日までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することにより、10月1日から本則計算によることができる。
③ 令和5年10月1日~10月31日課税期間の確定申告で消費税の還付を受けることができる。
④ 令和8年10月1日~10月31日課税期間より再び簡易課税で計算するためには、「簡易課税制度選択届出書」を令和8年9月1日~9月30日課税期間中に提出する必要がある。
⑤ 令和8年9月1日~9月30日課税期間中に「課税期間特例選択不適用届出書」を提出することにより、令和8年10月1日より期間短縮の効力は失効する。
  ただし、令和8年10月1日~10月31日までの期間は一の課税期間とみなされるので、事業年度サイクルの申告に戻るのは令和8年11月1日~令和9年10月31日事業年度からとなる。
(注)令和7年9月1日~9月30日課税期間中に「課税期間特例選択不適用届出書」を提出した場合には、令和7年11月1日から事業年度単位の課税期間に戻ることになるが、この場合、令和8年11月1日~令和9年10月31日事業年度以降でなければ簡易課税制度の適用を受けることができない。


ケース2 事業年度を変更するケース

<ポイント>
① 法人の課税期間は、その法人が定めた事業年度とされているので、設備投資などのある前までに事業年度を変更する旨の届出書を所轄税務署長に提出し、新たな事業年度が始まる前までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することができる。
② 事業年度の変更は、株主(社員)総会の決議事項であり、登記などの手続きは必要ない。株主(社員)総会でその旨を決議し、株主(社員)総会議事録を作成しておけばよいわけである。
 私見ではあるが、中小企業にとって、消費税の還付が受けられるか否かは重要な問題であり、そのためには事業年度を変更することもやむを得ないことであると思われる。
③ 本則課税の適用期間中に高額特定資産を取得するので、新3年縛り(平成28年度改正法)の適用により、令和5年10月1日から令和8年9月30日まで本則課税が強制適用となる。
<スケジュール>
① 「事業年度の変更届出書」を提出し、決算日を10月31日から9月30日に変更したうえで「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する。
② 本社ビルが完成する令和5年10月1日~令和6年9月30日課税期間(事業年度)の確定申告で消費税の還付を受けることができる。
③ 高額特定資産を取得した課税期間の初日(令和5年10月1日)から3年を経過する日(令和8年9月30日)の属する課税期間(令和7年10月1日~令和8年9月30日)までは本則課税が強制適用となるので、令和7年10月1日~令和8年9月30日課税期間中に「簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、令和8年10月1日~令和9年9月30日課税期間から再び簡易課税により申告することができる。

事例11 仕入れ等の課税期間において売上高がゼロの場合

 資本金300万円で、株式会社(G社)を令和5年12月1日に設立予定であるが、G社は、設立事業年度(令和5年12月1日~令和5年12月31日)中に本社ビルが完成予定であるため、本社ビルの建築費について、消費税の還付を受けたいと考えている。
 本社ビルの建築費(税抜)は3億円であるが、G社の設立事業年度は開業準備行為だけで終了予定のため、売上高はゼロになる。
 ただし、設立事業年度の翌事業年度(令和6年1月1日~令和6年12月31日)以後の課税売上高は毎期2億円~3億円程度、課税売上割合は常に95%以上になるものと予想される。

<ポイント>
① 新設された法人は、課税期間(設立事業年度)の末日までに登録申請書を提出することにより、その課税期間の初日から登録事業者(課税事業者)になることができる。
② 「課税事業者選択届出書」を提出していないので旧3年縛り(平成22年度改正法)の適用はない。ただし、高額特定資産を取得するので、新3年縛り(平成28年度改正法)の適用を受けることになる。
  また、令和6年度~令和8年度までの申告で簡易課税制度の適用を受けることはできない。
③ G社が設立事業年度から課税事業者となる場合には、設立事業年度の課税売上割合は95%未満(0%)となるため、個別対応方式か一括比例配分方式により仕入控除税額を計算することになる。
④ 本社ビルの建築費は、個別対応方式を適用する場合、「共通用」に区分されるので、結果、仕入控除税額はゼロになる。
  また、一括比例配分方式を適用した場合にも、課税売上割合が0%なので仕入控除税額はない。
  このようなケースでは、設立事業年度に取得した調整対象固定資産について、第3年度の課税期間(令和8年度)で税の取戻し控除をすることができるので、「課税売上割合が著しく増加した場合の税額調整」の規定の適用を検討する必要がある。
⑤ 「課税売上割合が著しく増加した場合の税額調整」の規定の適用を受けるためには、仕入れ等の課税期間において「比例配分法」を適用する必要があるので、当然のことながら、設立事業年度から課税事業者であることが前提条件となる。
⑥ 「比例配分法」とは、次のいずれかの方法による仕入控除税額の計算をいう。
(イ)個別対応方式で調整対象固定資産を共通用に区分して計算する方法
(ロ)一括比例配分方式により計算する方法
  つまり、設立事業年度においては「比例配分法」を適用した結果、仕入控除税額がゼロになったという前提が必要となるのである。
⑦ 税額調整をする「第3年度の課税期間」は、仕入れ等の課税期間(令和5年12月1日~令和5年12月31日)の開始の日(令和5年12月1日)から3年を経過する日(令和8年11月30日)の属する課税期間(令和8年1月1日~令和8年12月31日)である令和8年度(設立4期目)となる。
⑧ 課税売上割合が著しく変動したか否かを判定する際の「変動率」の計算であるが、仕入れ等の課税期間において売上高がゼロの場合には、仕入れ等の課税期間の課税売上割合は0%となり、結果、変動率の分母もゼロとなって変動率の判定ができないことになってしまう。
  そこで、当初の設備投資に係る消費税額の取り戻しを認めるために、「通算課税売上割合が5%以上」の場合には、課税売上割合が著しく増加したものとして取り扱うこととしている(消基通12−3−2)。
<スケジュール>
① 登録申請書を令和5年12月31日までに提出し、令和5年12月1日から登録事業者(課税事業者)になる。
  なお、登録申請書は早めに提出するように心掛けて戴きたい。
② 設立事業年度は課税売上高も確定消費税額もないので確定申告は不要となる(消法45①前文ただし書)。
  ただし、第3年度の課税期間(令和8年度)で税額調整を予定しているので、課税標準額と確定税額をゼロと記載した確定申告書は提出しておいたほうが無難かと思われる(私見)。
③ 第3年度の課税期間(令和8年度)で「課税売上割合が著しく増加した場合の税額調整」の規定の適用を受け、本社ビルに課された消費税額の取戻し控除をすることができる。
④ 令和5年12月31日(設立事業年度の決算日)までに登録申請書を提出することにより、令和5年12月1日(設立年月日)から登録事業者となることができる。
⑤ 令和7年度(設立3期目)の特定期間である令和6年度(設立2期目)上半期(令和6年1月1日~6月30日)の課税売上高は1,000万円を超えることが予想されるので、「課税事業者届出書(特定期間用)」を提出する必要がある。
【計算例】
 本事例において、令和6年度から令和8年度までの売上高が下記のように推移した場合の令和8年度における調整税額は次のように計算する。

(3億円×10%)×78/100=23,400,000円……調整対象基準税額
 23,400,000円×96%=22,464,000円……令和8年度の調整前の税額に加算する税額

本記事につきましては、一部誤りがございましたのでお詫びして訂正いたします(本誌975号(2023.4.17)39頁参照)。
なお、本記事は、令和5年4月27日付けで訂正後のものを掲載しております。

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