税務ニュース2023年04月14日 想定事実で債権の回収可能額の算定不可(2023年4月17日号・№975) 審判所、債務者が経済破綻していることが客観的に明白であることが必要
本件は、請求人が貸付金債権等の金額の一部は財産評価基本通達205(貸付金債権等の元本価額の範囲)の「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」に当たるとして元本の価額に算入せず貸付金債権等の価額を評価して相続税の申告をしたところ、原処分庁が貸付金債権等の金額の一部は同通達の定めに該当しないとして更正処分等を行ったことから、原処分の全部の取消しを求めた事案である。
請求人は、評価通達205は貸付金債権等の「一部」の回収不能もあり得る定めになっており、「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」について実質的に回収が可能か不可能かにより判断すべきであるとし、債務者である会社の平均利益の額から計算した回収可能額と同社の清算価値から計算した回収可能額との平均額を超える部分がその実質的な回収不能額に当たると主張した。
審判所は、評価通達205はその(1)~(3)の事由のほか、「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」も評価通達204(貸付金債権の評価)による評価の例外的事由として掲げているが、評価通達205の(1)~(3)の事由と並列的に定められていることからすると、評価通達205に定める「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」とは、(1)~(3)の事由と同程度に、債務者が経済的に破綻していることが客観的に明白であり、そのため、貸付金債権等の回収の見込みがないか、又は著しく困難であると確実に認められるときをいうものと解すべきとの見解を示した。
その上で、審判所は、評価通達205の(1)~(3)の事由や、これと同程度に債務者が経済的に破綻していることが客観的に明白な事実もないのに、貸付金債権等の回収可能性の程度に応じて元本の一部不算入を認めるものではないとした。請求人が主張する想定される事実に基づいて個別に貸付金債権等の回収可能額を算定することは、会社の営業状況や将来性等必ずしも客観的一義的な評価方法が確立していない要素に左右されるとともに、納税者の恣意を許すことにもなると指摘した。
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