税務ニュース2023年06月09日 マンション評価、乖離要因に基づき補正(2023年6月12日号・№982) 国税庁有識者会議、約65%のマンションの評価額が市場価格の半分以下
国税庁は6月2日、「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」を開催した。有識者会議は、与党の令和5年度税制改正大綱において、相続税におけるマンションの評価方法の適正化を検討する旨が明記されたことを踏まえたものである。
マンションについては、「相続税評価額」と「市場価格」とが大きく乖離しているケースがあり、2回目となる今回の有識者会議では、国税庁から乖離の実態についての説明が行われた。国税庁の調査によると、マンションの乖離率は2.34倍(平成30年)となっており、一戸建ての乖離率の1.66倍を上回る。また、マンションの乖離率の分布では、約65%のマンションの相続税評価額が市場価格の半額以下になっている現状が報告されている。
相続税評価額が市場価格と乖離する主な要因としては、例えば、建物の評価額は1棟全体の再建築価格に基づく評価額を専有面積の割合で按分して算定されているが、市場価格はそれに加えて建物の総階数、マンション一室の所在階も考慮されているほか、評価額への築年数の反映が不十分だと評価額が市場価格に比べて低くなるケースがあるのではないかとしている。また、マンション一室を所有するための敷地利用権は、共有持分で按分した面積に平米単価を乗じて評価されるが、この面積は一般的に高層マンションほどより細分化され狭小となるため、敷地持分が狭小なケースは立地条件の良好な場所でも、評価額が市場価格に比べて低くなるのではとしている。
このような状況を踏まえ、有識者会議では、乖離を是正するために統計的手法を用いた評価方法を採用する方向で検討が進められている。具体的には、現行の相続税評価額を前提とした上で、市場価格との乖離要因と考えられる築年数、総階数、所在階、敷地持分狭小度といった指数を説明変数として乖離率を予測し、その乖離率を現行の相続税評価額に乗じて評価するというもの。乖離要因を説明変数とすることから、相続税評価額と市場価格の乖離を補正する方法として直截的であり、乖離要因に基づき補正すれば足りるため執行可能性も高いと評価している。
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