税務ニュース2023年06月09日 外国投資信託の分配金に非課税分なし(2023年6月12日号・№982) 審判所、信託財産の計理で「収益調整金」としての経理はなされず
本件は、原処分庁が、請求人の所得税等の確定申告について、外国投資信託の収益分配金に係る所得を申告しなかったなどとして更正処分等をしたことに対し、請求人が、収益分配金には非課税の特別分配金が含まれているなどとして、原処分の一部の取消しを求めた事案である。請求人は、外国投資信託の場合であっても、元本価値が値下がりしている際に払われた分配金には元本の払戻部分が含まれるのであるから、外国投資信託の収益分配金の中には、所得税法施行令27条(オープン型の証券投資信託の収益の分配のうち非課税とされるもの)に規定する「収益調整金のみに係る収益として分配される特別分配金」に該当する分配金が存在するなどと主張した。
オープン型の証券投資信託において追加信託がなされた場合、国内の法令・会計基準等によって、追加信託金は「投下元本に対応する部分」と分配金の原資となる「収益調整金」とに区分経理する必要があり、「収益調整金」は、証券投資信託の追加信託金を経理処理する際に用いる勘定科目であるが、審判所は、非課税規定(所令27)に規定する「収益調整金」とは、オープン型の証券投資信託の追加信託が行われる際に、黒字の「収益調整金として経理された金額」をいうものと解されるとした。
その上で本件では、各外国投資信託はいずれも外国の法令に基づいて設定された投資信託であるから、これらの信託財産の計理は、その設定国の法令・会計基準等に準拠して行われているものと考えられ、追加信託金を当然に収益調整金に区分経理しているとは認められないとした。加えて、収益調整金を区分経理する実益は、分配金の分配の際に、追加信託金のうち収益調整金を原資とする分配金(特別分配金:非課税)と、それ以外を原資とする分配金(課税)とを区別することにあるところ、本件各投資口座に係る取引明細書において、対象分配金の一部が「特別分配金に当たる金額」又は「収益調整金のみに係る収益の分配に当たる金額」である旨の記載がない以上、各外国投資信託に係る信託財産の計理において、収益調整金としての経理がされていないと認められるとした。
したがって、審判所は、外国投資信託においては非課税規定にいう「収益調整金」は存在しないと判断し、請求人の主張を斥けた。
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