会社法ニュース2023年06月30日 ISSBがS1基準・S2基準を6月26日に確定(2023年7月3日号・№985) 今後は財務情報とサステナビリティ関連財務情報の同時開示も課題に
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は6月26日、サステナビリティ関連財務情報の開示基準であるS1基準、S2基準を確定させた。日本のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)による国内基準も1年程度で公表される見込みとなっている。
サステナビリティ開示の本格化に伴い、今後日本企業が対応に苦慮しそうなのが、サステナビリティ関連財務情報の開示時期だ。ISSBでは、サステナビリティ関連財務情報は財務諸表を補完するものと位置付けており、財務諸表と「同時に」公表することを求めているが、サステナビリティ関連財務情報作成のために必要なデータが有報提出日までに入手できないか、入手できたとしても、有報提出日までの開示が困難ということが起こり得る。例えば、スコープ2排出量の算定には電力会社における対象年度の排出係数の情報が必要だが、当該年度の確定排出係数が入手できるのは翌年12月となる。したがって、有報に温室効果ガス排出量を盛り込む場合には、前年度の排出係数を基礎とした暫定的な数値の開示又は見積りに基づく開示とならざるを得ず、最終的なスコープ2排出量の算定には時間を要する。また、スコープ3の温室効果ガス排出に係る排出係数や、ファイナンスに伴う排出に係る投融資先の排出情報など、連結グループ外のサプライチェーンからも多くの情報や基礎データを入手しなければならない場合があるが、これらの情報がタイムリーに入手できるとは限らない。
こうした中、ISSBは、サステナビリティ関連財務情報の開示日を財務諸表と同一とすることを原則としつつも、2023年2月に行われたボード会議で、期中財務報告を提出することが要求されている場合、年度のサステナビリティ関連財務開示を翌年度の上半期、第2四半期の期中報告と同時に報告することを容認するなどの経過措置の導入を決定している。ただし、この経過措置はS1基準及びS2基準を適用する「最初の年次報告書」についてのみ利用可能とされている。
サステナビリティ関連財務情報と財務情報を併せて開示することが国際的な原則とされていることを踏まえると、日本でも将来的には両情報の公表時期を揃えていかざるを得ず、そのための環境整備や実務対応を早急に検討する必要がありそうだ。
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