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税務ニュース2023年07月07日 特殊関係非居住者関連訴訟、控訴断念(2023年7月10日号・№986) 国の勝訴確定も、立法当時の想定と現社会・経済情勢の齟齬を指摘する声

  • シンガポール在住日本人株主はCFC税制上の「特殊関係非居住者」に該当すると判断した東京地裁判決が、原告の控訴断念により確定。
  • 税務当局関係者が立法当時に執筆した書籍には「非居住者がそのような株式等を保有する事例はあまり多くない」旨の記述。専門家からは、立法当時の想定と現社会・経済情勢の齟齬を指摘する声も。

 既報の通り、タックスヘイブン対策税制(CFC税制)の適用の可否が争われた事案で、東京地裁は、対象会社の株式の50%を保有する外国法人のシンガポール在住日本人株主は「特殊関係非居住者」に該当するとの判断を示したが(本誌973号、977号参照)、本判決が原告の控訴断念により確定したことが本誌の取材により確認された。
 地裁判決は、基本的に「問題の法令(措令39の14③一)は、文理解釈によってその意味内容は明らかであり、原告のような限定解釈をする余地はない」などとした被告の主張を是認したものと言えるが、専門家の間では、特殊関係非居住者に係る規定の立法当時の想定と現社会・経済情勢の齟齬を指摘する声が聞かれる。地裁で国も主張しているように、同規定は「国外に居住する親族等に株式等を分散保有させることの懸念から、その恐れのある形態を類型化して形式的に定めたもの」だが、この立法趣旨に基づき形式的な類型を定めているに過ぎない現行規定をあらゆる場面に適用するのは困難との指摘もある。
 実際、特殊関係非居住者に係る規定の制定当時に税務当局関係者が執筆し昭和54年に初版が出版された書籍には、「非居住者がそのような株式等を保有する事例はあまり多くないと考えられよう」との記述がある。しかし、原告が「令和2年6月現在で外国籍の居住者(日本在住の外国人)の数は288万人であり、これらの者との関係での特殊関係非居住者は1,000万人超に上る」と指摘しているように、現在の社会・経済情勢を踏まえてもなお、同規定の制定当初の理解が妥当するのかという点は検証されるべきだろう(ただし、原告のような大雑把な主張ではなく、より統計的に精緻な議論が必要になろう)。
 元々、特殊非居住関係者の範囲は、法人税法の同族関係者の範囲(法人税法施行令4条1項各号)を基本的にそのまま借用した上で、内国法人の役員等を含める規定を追加しただけのものに過ぎない。一部の専門家が指摘するように、見直し等の要否を含め、本規定のあり方を検討すべき時期に来ているとも言えそうだ。

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