税務ニュース2023年07月28日 イノベーションボックス税制の試案判明(2023年7月31日号・№989) 対象所得計算でEBITを基礎とする間接方式の選択の是非など焦点に
これまで日本には、研究開発税制をはじめ、研究開発といった「インプット」の段階における税制優遇措置はあったが、研究開発の結果生まれた成果である知財という「アウトプット」に対する税制優遇措置(知財が生み出す所得に優遇税率を適用)は存在しなかった。この「アウトプット」に対する税制優遇措置であるイノベーションボックス税制の導入に向け、経済産業省は4月に「我が国の民間企業によるイノベーション投資の促進に関する研究会」を立ち上げ議論を重ねて来たが、7月25日の会合で中間とりまとめ(案)を提示するとともに、その中で「我が国におけるイノベーションボックス税制の制度設計試案」を示した。
中間とりまとめ(案)は非公開となっているが、日本のイノベーションボックス税制として、「直接方式」と「間接方式」が提案された模様。直接方式とは、知財に関連付けられる所得と費用を直接計算する方式だが、製品に多数の知財が組み込まれている場合、計算が煩雑になるという課題がある。これに対し間接方式とは、納税者全体の課税所得に対して、どの程度が知財由来と認められるかの比率(適格所得比率)を設定し、知財由来ではない所得を対象所得から排除するもの。
イノベーションボックス税制は、修正ネクサスアプローチの要請を踏まえ、支出と所得の追跡を求めることから、他の税制と比較して相対的に複雑な仕組みとならざるを得ないが、あまり複雑になると、仮に導入が実現したとしても、普及しない恐れがある。できるだけ簡素で実務負担の少ない仕組みとすることが重要になろう。企業の間では、対象所得の計算について、EBITを基礎にした間接方式を選択できる仕組みが実現するかに関心が集まっている。また、研究会では、対象所得や適格収益比率が適正かどうかを経済産業省などが確認する「事前確認」も論点となっているが、事前確認を制度適用の前提とするのではなく、希望する場合のみの「選択制」とする仕組みが実現するかもポイントとなりそうだ。
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