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税務ニュース2023年09月01日 青色事業専従者給与の相当性認められず(2023年9月4日号・№993) 給与額と労務との対価関係が不明確として必要経費算入不可

  • 開業医の妻に支払われた青色事業専従者給与年額1,800万円の相当性が争われた事案で、一審に続き控訴審でも納税者敗訴(東京高裁令和5年8月3日判決)。

 一審の長野地裁は、法人税法56条及び法人税法施行令164条1項の規定から、青色事業専従者に支払った給与の額が労務の対価として相当と認められるものとして事業所得等の計算上必要経費に算入することが認められるのは、当該青色事業専従者に支払った給与の額と提供された労務との対価関係が明確であるものに限られるとの解釈を示した。
 その上で、「本件配偶者は、本件看護師使用人と比較すると多様な業務に従事しており、看護師長兼事務長として責任のある業務を担当し、かつ、その労務に従事した時間も多大であったものと見受けられ、それらの状況を総合的に考慮した結果として、本件専従者給与の額が決められたことがうかがわれる」としながらも、「本件配偶者の労務内容や労務の量を客観的に示す証拠は断片的なものしかなく、それらが具体的に明らかであるとはいい難い」として、「本件専従者給与の額は、本件配偶者の労務と対価関係が明確であるとはいえない」と判断をした。
 また、原告の「本件配偶者は普通の3倍働いている」「看護師長と事務長を兼ねているから給与の額が1.5倍になる」との説明は単なる感覚の域を出ないものとした。
 そして、青色事業専従者給与年額1,800万円の算出方法は、一方で本件配偶者についてのみタイムカード等による労働時間の管理を行わず、その代償として管理職手当を計上していながら、他方で時間外労働等の対価として割増賃金を計上している自家撞着があることに加え、そもそも本件俸給表の7級37号棒相当と解すべき何らの根拠もなく、恣意的なこじつけといわざるを得ないと指摘。本件配偶者の業務内容の変化がないにも関わらず、僅か3年余りで2倍以上に増額となった経緯も不明で、その観点からも労務からの対価関係は明らかであるとはいい難いとした。
 結論として、本件配偶者の労務内容や労務の量を具体的に認定することができず、本件専従者給与の額は、本件配偶者の労務との対価関係が明らかでない以上、処分行政庁が推計計算によって本件における適正給与相当額を算出したことは相当であり、その推計方法も合理的と認め、課税処分を適法とした。これを不服とした納税者は、控訴審で、処分行政庁の調査が足りていないなどの主張を行ったが、東京高裁も一審判決を支持し、納税者の控訴を棄却した。

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