会計ニュース2023年09月29日 借手のリース、2区分モデルの選択不可(2023年10月2日号・№997) ASBJ、比較可能性の低下や会計基準の複雑化の弊害あり
IFRS第16号「リース」では、借手のリースについて、すべてのリースを金融の提供として捉えて、使用権資産に係る減価償却資産及びリース負債に係る金利費用をそれぞれ認識する単一の会計処理モデルが採用されている。一方、米国会計基準では、従来と同じくファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、ファイナンス・リースについては減価償却費及び金利費用を別個に認識し、オペレーティング・リースは通常均等な単一のリース費用を認識する会計処理モデル(2区分の会計処理モデル)が採用されている。
企業会計基準委員会(ASBJ)が5月2日に公表した企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等では、オペレーティング・リースの経済的な実態との整合性や適用上のコストの観点から両者のいずれが適しているかについての優劣はつけられないとしつつも、財務諸表利用者のニーズの観点からは損益計算書の調整が不要となる点や、リース負債を現在価値で測定することと整合的に損益計算書で金利費用が認識される点で、IFRS第16号と同様に、単一の会計処理モデルが採用されている。
この公開草案に対しては、「日本のリース会計基準の開発において、IFRSを基本とすることは適切であるが、米国基準も国際的な会計基準であることを勘案して、企業が2区分の会計処理モデルの費用処理が実態にあっていると判断するのであれば、その選択肢を用意することも必要」とのコメントが寄せられている。
この点について企業会計基準委員会は、仮に単一の会計処理モデルと2区分の会計処理モデルの選択適用を認めた場合には、企業がリースの実態に適合すると考える会計処理を財務諸表に反映することができるメリットはあるとしつつも、会計処理モデルの選択はリース会計の根幹をなす重要なものであるため、財務諸表の比較可能性が低下することや、選択適用を認めた場合の会計処理及び開示の定めが2つとなり複雑化するなどの弊害が大きいと指摘。公開草案と同じく、2区分の会計処理モデルとの選択適用は認めないこととしている。
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