カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2023年11月06日 判例評釈 実質所得者課税原則に基づく判断の結果納税者が勝訴した事例(東京地判令和4年2月1日)(2023年11月6日号・№1002)

判例評釈
実質所得者課税原則に基づく判断の結果納税者が勝訴した事例
(東京地判令和4年2月1日)(脚注1)
 弁護士 向笠太郎

第1 はじめに

 所得税法12条は、「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。」と規定し、実質所得者課税の原則を定めている(脚注2)。
 後に述べるように、所得税法12条については、法律的帰属説が通説であり、また、下級審裁判例の立場でもあるとされている。もっとも、法律的帰属説に立ったからといって、真実の法律関係を解明するにはどのような事実を主張立証していくべきか、が一義的に明確になるわけではない。
 このような中、東京地判令和4年2月1日判例秘書L07730605(以下「本判決」という。)は、実質所得者についての納税者(原告)の主張を認め、納税者勝訴の判決を下した。そこで、以下では、本判決や関連する裁判例の分析を通して、真実の法律関係を解明する際のポイントは何か、について検討したい。

第2 事案の概要

1 外国法人である原告の東京支店(以下「東京支店」という。)は、その事業資金を調達するために、英国ロンドン市にある原告の本店(以下「ロンドン本店」という。)に対して社債(以下「本件社債」という。)を発行した。
2 ロンドン本店は、外国法人かつ原告の完全子会社であるA(以下「A社」という。)に、A社は、内国法人であるB(以下「B社」という。)に、順次本件社債を譲渡した(以下、本件社債の譲渡に係る各契約を「本件各契約」といい、本件社債の発行及び譲渡に関する取引の全体を「本件資金調達取引」という。)。
  なお、本件各契約のうち、ロンドン本店及びA社間のファイナンス契約では、本件社債をA社に譲渡するとしつつも、A社は、ロンドン本店に対して平準化返済金額(本件社債の利払日においては東京支店が本店社債について支払う金額に相当する金額で、ファイナンス契約終了日には、当該支払日時点の本件社債の公正価格)を支払うこととなっていた。
  また、B社は、A社に対し、本件社債をロンドン本店から購入するための資金を貸し付け(資産担保ローン契約)、A社は、この貸付の担保として、B社に対し、本件社債を譲渡した(譲渡担保契約)。
3 本件社債の利子(以下「本件利子」という。)は、東京支店からB社の口座に支払われているところ、原告は、本件利子の各支払に際して源泉徴収をしなかった。
4 これに対してC税務署長が、本件利子の収益を実質的に享受している者はA社であり、本件利子の各支払は外国法人に対する利子の支払に当たるとして、本件利子についての源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び各不納付加算税賦課決定処分(以下「本件各処分」という。)を行った。
5 そうしたところ、原告が、本件利子の収益を実質的に享受している者はB社又はロンドン本店であるとして、本件各処分の取消しを求めるとともに、本件各処分に基づいてされた源泉所得税の本税、不納付加算税及び延滞税の各納付は法律上の原因なく行われたものであるとして、被告国に対し、過納金として53億4717万6776円の還付及びその還付加算金の支払を求めた。

第3 争点

 本件の争点は、本件利子の実質所得者(所得税法12条)がロンドン本店であるかA社であるかどうかである。なお、B社が本件利子の実質所得者ではないこと、及びロンドン本店が本件利子の実質所得者である場合には原告に本件利子に係る源泉徴収義務が生じないことは、当事者間に争いがない。

第4 判旨(請求認容)

1 判断枠組みについて
 「所得税法12条は、資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する旨規定しているところ(実質所得者課税の原則)、その趣旨は、課税物件の法律上(私法上)の帰属につき、その形式と実質が相違している場合には、実質に即して帰属を判断すべきとするものと解され、本件の課税物件である本件利子の実質所得者を判断するに当たっては、本件利子に係る経済的損益の帰属先のほか、本件資金調達取引全体の仕組み、本件資金調達取引に至る経緯あるいは関係者の認識、本件資金調達取引の実施状況など諸般の事情を総合的に考慮すべきものと解される。」
2 当てはめについて(脚注3)
 「本件各契約においては、東京支店から本件B社口座に支払われた本件利子につき、それらに相当する金額を、B社はA社に対して担保余剰金額として、A社はロンドン本店に対して平準化返済金額としてそれぞれ支払う義務を負うこととされ、本件利子に係る経済的な損益は、その支払義務の名目を変化させつつも、法的な支払義務を通じて最終的にロンドン本店に帰属するものとなっている。これに加え、【中略】本件各契約においては、本件ファイナンス契約の終了時において、ロンドン本店はA社に対して平準化LIBOR金額として25億ポンドを、A社はロンドン本店に平準化返済金額として本件社債の公正価格を支払う義務を負うとされていることなどが認められ、これらの事実に照らせば、本件資金調達取引は、ロンドン本店から本件社債が譲渡された後における本件社債の公正価格や為替の変動に伴う損益を含む本件社債等に関する損益の全てがロンドン本店に帰属するようその仕組みが構築されていることが認められる。」
 「また、【中略】本件資金調達取引は、本件本支店間融資取引の経済的実質を変えず、原告グループにおける財務効率を改善させることを目的として作り上げられたものであるところ、A社やB社の財務状況には一切悪影響を与えず、一定の手数料収入のみを取得させることを不可欠の要素としていたこと、本件各契約の関係者の財務諸表においても、本件社債及び本件利子についてはロンドン本店の資産又は収益として計上され、A社の資産又は収益としては計上されていないことが認められるなど、本件資金調達取引が行われるに至る経緯や関係者の認識としても本件社債等に係る損益につきロンドン本店に全て帰属させることを想定していたものである。
 加えて、【中略】A社については、原告の完全子会社という立場の下、日本の会計基準との関係において、本件資金調達取引がB社においてパス・スルーとして取り扱われるような仕組みとするためのいわば手段(導管)として本件資金調達取引に関わることとなったことが認められ、かかるA社の関与の経緯に照らしても、A社において本件利子に係る収益を取得するなどということは一切想定していなかったというべきである」。
 「そして、本件各契約締結後の本件資金調達取引の実施状況をみても、【中略】本件利子の各利払日とB社からA社に対する担保余剰金額の支払日との間に若干の時間差が生じたことに伴う修正措置を講じつつも、本件各契約が予定する損益状況に実質的な影響が生じないように本件各契約の関係者間における各種支払等がされていたことが認められる。」
 「以上のとおり、本件資金調達取引においては、本件利子に係る収益を含む本件社債等に関する経済的な損益につき、法的な権利義務関係を通じて、最終的にロンドン本店に帰属するという仕組みを採用していることのほか、本件社債等に係る損益を全てロンドン本店に帰属させることが本件資金調達取引を実施する不可欠の要素であることは、本件資金調達取引を行う関係者間における一貫した共通認識であって、本件資金調達取引の実際の実施状況もこれに沿う形で行われているものである。かかる本件利子の経済的損益の帰属先も含めた本件資金調達取引の仕組み、本件資金調達取引に至る経緯あるいは関係者の認識、本件資金調達取引の実施状況に鑑みれば、本件利子に係る収益については、実質的にロンドン本店が支配するものであり、B社あるいはA社が当該収益を支配するものではないというのが、本件資金調達取引の関係者間の真実の法律関係であると認めるのが相当であり、ロンドン本店が本件利子の実質所得者であるというべきである。」

第5 検討

1 所得税法12条の実質所得者課税の原則について
(1)所得税法12条については、①課税物件の法律上(私法上)の帰属につき、その形式と実質が相違している場合には、実質に即して帰属を判定すべきとする法律的帰属説と、②課税物件の法律上(私法上)の帰属と経済上の帰属が相違している場合には、経済上の帰属に即して課税物件の帰属を判定すべきとする経済的帰属説がある(脚注4)。
  このうち、①の法律的帰属説は、課税庁による執行を不必要に複雑化させず、また、納税者の予測可能性を高めることにも資するということから、通説とされている(脚注5)。
(2)下級審裁判例も、基本的には法律的帰属説に立っており、本判決も、上記第41のとおり、「所得税法12条【中略】の趣旨は、課税物件の法律上(私法上)の帰属につき、その形式と実質が相違している場合には、実質に即して帰属を判断すべきとするものと解され」と判示していることから、法律的帰属説に立っているのが見て取れる。
2 本判決の判断構造
(1)もっとも、法律的帰属説に立ち、実質に即して帰属を判定すべきであるとしても、具体的に、どのような基準や要素によって実質的な帰属、すなわち真実の法律関係を判断すべきであるか。
ア この点について、本判決は、上記第41のとおり、①本件利子に係る経済的損益の帰属先、②本件資金調達取引全体の仕組み、③本件資金調達取引に至る経緯あるいは関係者の認識、④本件資金調達取引の実施状況、といった事情を総合考慮する、としている。
  なお、①を考慮事情とすることは、経済的帰属説に親和性があり、法律的帰属説と相反するようにも見える。しかし、引用を省略したが、本判決は、実質所得者の判断に際して総合考慮するに当たり、「その一つの事情として経済的損益の帰属等を考慮することが許容されないものとは解され」ない、と判示している。
イ その上で、本判決は、以下のような当てはめをしている。
  「本件利子に係る経済的な損益は、その支払義務の名目を変化させつつも、法的な支払義務を通じて最終的にロンドン本店に帰属するものとなっている。」(上記①:本件利子に係る経済的損益の帰属先)
  「本件資金調達取引は、ロンドン本店から本件社債が譲渡された後における本件社債の公正価格や為替の変動に伴う損益を含む本件社債等に関する損益の全てがロンドン本店に帰属するようその仕組みが構築されている」(上記②:本件資金調達取引全体の仕組み)
  「本件資金調達取引が行われるに至る経緯や関係者の認識としても本件社債等に係る損益につきロンドン本店に全て帰属させることを想定していた」(上記③:本件資金調達取引に至る経緯あるいは関係者の認識)
  「本件各契約締結後の本件資金調達取引の実施状況をみても、【中略】本件利子の各利払日とB社からA社に対する担保余剰金額の支払日との間に若干の時間差が生じたことに伴う修正措置を講じつつも、本件各契約が予定する損益状況に実質的な影響が生じないように本件各契約の関係者間における各種支払等がされていた」(上記④:本件資金調達取引の実施状況)
ウ そして、以上の結果、「本件利子に係る収益については、実質的にロンドン本店が支配するものであり、B社あるいはA社が当該収益を支配するものではないというのが、本件資金調達取引の関係者間の真実の法律関係であると認めるのが相当であり、ロンドン本店が本件利子の実質所得者であるというべき」としている。
(2)本判決が総合考慮した上記の事情をよく見ると、本件利子に係る経済的損益の帰属先に関するもの(上記(1)ア①)と、本件資金調達取引の内容(上記(1)ア②~④)に分類できるといえる。そこで、この分類した2つの事情のうちどちらがより重要な要因か、であるが、仮に経済的損益の帰属先を重視しているとなると、それは、経済的帰属説を意味することになりかねず、法律的帰属説に立つ本判決がそのような見解に立っているとは考え難い。本判決が、上記(1)アのとおり「その一つの事情として経済的損益の帰属等を考慮すること」とあえて判示しているのも、経済的損益の帰属を重視しているのではなく、あくまで一つの事情にすぎないことを強調する趣旨であるようにも思われる(脚注6)。
  そもそも、真実の法律関係を明らかにするためには様々な事情を総合的に見ていくしかないと思われ、そうすると、本件において判断のポイントとなったのは、本件資金調達取引の内容(本件資金調達取引全体の仕組み、本件資金調達取引に至る経緯あるいは関係者の認識、本件資金調達取引の実施状況)であると考えられる。
(3)このことは、他の裁判例からも見て取ることができる。すなわち、親子間の土地使用貸借契約に係る駐車場収入の帰属が問題となり、子(被控訴人乙及び同丙)が単なる名義人であって、その収益を享受せず、父である亡甲がその収益を享受する場合に当たるとされた例(大阪高判令和4年7月20日裁判所ホームページ。請求棄却。以下「大阪高裁令和4年判決」という。)で、大阪高裁は、以下の①から⑥のような事情を挙げた上、「たとえ、本件各取引(注:亡甲と乙及び丙間の各土地の使用貸借契約、乙及び丙と各賃借人間の賃貸借契約、委任者を乙及び丙とする駐車場管理会社との駐車場管理契約等による一連の取引をいう。)後、本件各土地の駐車場の収益が被控訴人乙及び同丙の口座に振り込まれていたとしても、そのように亡甲が子である被控訴人乙及び同丙に対する本件各土地の法定果実収取権の付与を継続していたこと自体が、亡甲が所有権者として享受すべき収益を子に自ら無償で処分している結果であると評価できるのであって、やはりその収益を支配していたのは亡甲というべきであるから、平成26年2月以降の本件各駐車場の収益については、被控訴人乙及び同丙は単なる名義人であって、その収益を享受せず、亡甲がその収益を享受する場合に当たるというべきである。」と判示した。
① 駐車場収入は、本件各土地の使用の対価として受けるべき法定果実であるから(民法88条2項)、元来所有権者に帰属すべきである。
② 本件各取引は、亡甲が本件各土地の所有権の帰属を変えないまま、何らの対価も得ずに駐車場収入を乙及び丙に移転させたものといえる。
③ しかも、使用貸借における駐車場収入の付与は、その無償性から、その承諾を撤回し、将来に向かって付与しないことができると考えられる。
④ 本件各取引がなされた経緯は、亡甲が賃料収入の蓄積による同人名義の将来の遺産の増加を抑制することを企図するとともに、当面の所得税の節税をも企図したものであることが認められる。
⑤ 乙及丙は、本件各取引等に関し、特段の出捐もせず、また、管理業務に必要な役務を提供したとも認めるに足りない。
⑥ そうすると、本件各取引は、亡甲の相続にかかる相続税対策を主たる目的として、亡甲の存命中は、本件各土地の所有権はあくまでも亡甲が保有することを前提に、本件各土地による亡甲の所得を乙及び丙に形式上分散する目的であったと認められる。
(4)以上のとおり、大阪高裁令和4年判決は、駐車場の収益が乙及び丙の口座に振り込まれているにもかかわらず、本件各取引が使用貸借契約という弱い権利関係を前提にしていること、本件各取引を行い、駐車場の収入を乙及び丙に移した経緯及び当事者間における真の目的(節税目的)といった点を考慮し、亡甲が実質所得者であると判示している。つまり、この判決は、真実の法律関係を解明するに当たり、経済的損益の帰属先ではなく、取引全体の内容を重視しているといえる。
  そして、上記(2)で述べたとおり、本判決も経済的損益の帰属ではなく、本件資金調達取引の内容を重視しているものと思われ、大阪高裁令和4年判決と同じ考えに立っているといえよう。
3 取引全体の内容を重視することの具体的意味
(1)では、真実の法律関係の判断において重要なのは、本件資金調達取引の内容、すなわち、取引全体の内容であるとして、取引内容からどのような事情が認定できると実質所得者と認められるのだろうか。
(2)この点に関して参考になると思われるのが、牛枝肉問屋である原告の買受人に対する貸倒債権について、原告が消費税法39条1項による貸倒れに係る仕入税額控除の適用を主張できるとされた事例(大阪地判平成25年6月18日裁判所ホームページ。請求認容)である。
  この件で裁判所は、まず、消費税法13条が「資産の譲渡等を行った者の実質判定について規定し」、「かかる資産の譲渡等を行った者の実質判定は、その法的実質によるべきものと解される」と判示し、消費税法13条についても法律的帰属説が妥当であると判示している(脚注7)。
  その上で、「本件牛枝肉取引を含むA場における牛枝肉の取引において、【中略】制度上およそ原告が売買代金回収のリスクを負わない仕組みが構築されているものとはいえず、本件牛枝肉取引においても原告が本件各買受人からの売買代金回収のリスクを負うものであって、委託者(出荷者)は同リスクを何ら負わないこと、原告と買受人との間の牛枝肉の売買代金の合意(売買契約の締結)についても、委託者(出荷者)は特段の関与はしていないこと、買受人に対する瑕疵担保責任を負うのも原告であって委託者(出荷者)ではないことに照らせば、本件牛枝肉取引において、原告が、その法的実質として、単なる名義人として課税資産(本件牛枝肉)の譲渡を行ったものにすぎないということはできず、したがって、原告は、課税資産(本件牛枝肉)の譲渡を行ったものとして、本件牛枝肉取引に係る本件各債権について、消費税法39条1項の貸倒れに係る消費税額の控除の適用を受けるものと解するのが相当である。」と判示している。
(3)以上のとおり、この判決は、様々な事情を総合考慮して取引全体の内容を明らかにし、誰がリスクを負うのか、という観点から実質的に資産の譲渡等を行った者を判断していると見ることができる。
  このような視点で改めて本判決を見てみると、本判決も、様々な事情を総合考慮して本件資金調達取引の内容を明らかにした上で、為替変動に伴う損益を含む本件社債等に関する損益の全てがロンドン本店に帰属すると判示している。これは、言い換えれば、ロンドン本店が為替変動リスクを含む本件社債に関するリスクを負っていることを示しているといえる。
  そうすると、真実の法律関係を明らかにするために取引全体の内容を重視することの具体的意味としては、その取引によってリスクを負う者が誰であるかを明確にする、ということになると解される。
4 まとめ
 本稿では、本判決を中心に、実質所得者が争われた裁判例をいくつか検討した。その結果、以上で考察したとおり、法律的帰属説に立ち、真実の法律関係を解明するためには、様々な事情を総合考慮の上で取引全体の内容を明らかにし、その取引によりリスクを負う者が誰であるかを判明させることが重要、という結論に至った。
 この結論のみで実質所得者が争われる事案を全て処理できるかなど、検証すべき課題は残されているが、真実の法律関係解明に際して、本稿がいくらかでも役割を果たせれば望外の喜びである。

脚注
1 本判決の評釈としては、伊藤剛志「実質所得者課税の原則と真実の法律関係」(ジュリスト1577号10頁)、長島弘「実質所得者課税に基づき源泉徴収義務があるとした原処分が否定された裁判例」(月刊税務事例54巻7号)21頁等がある。
2 法人税法11条も同様の規定である。
3 判旨引用部分のうち、関係者(関係法人)については本稿の表記に合わせており、その点はご了承願いたい。
4 金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂、2021年)182頁
5 佐藤英明『スタンダード所得税法〔第3版〕』(弘文堂、2022年)309頁
6 付言すると、この判示は、被告国の「所得税法12条所定の実質所得者について、経済的効果や経済的目的に即して判断することは許容されない」という主張を排斥する場面でなされたものである。
7 消費税法13条についても、法律的帰属説が通説とされているようである(金子・前掲注1・183頁、浅妻章如「牛枝肉の問屋でもリスク負担者である場合貸倒れの仕入税額控除を主張できる」(ジュリスト1495号137頁))

向笠太郎 (むかさ たろう)
2009年上智大学法科大学院修了。10年弁護士登録。18年から22年まで東京国税不服審判所において任期付公務員(国税審判官)として勤務し、現在は、弁護士法人日本クレアス法律事務所所属。最近の論文として、「平成23年国税通則法改正と調査手続の瑕疵を理由とする課税処分の取消し」税理2023年8月号156頁、「滞納税額がある債権者からの債務免除−第二次納税義務における現存利益について−」税務弘報2023年9月号141頁がある。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索