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解説記事2023年12月11日 SCOPE 中間と四半期を統合する期中報告基準を開発へ(2023年12月11日号・№1006)

ASBJ、中間会計基準案を決定へ
中間と四半期を統合する期中報告基準を開発へ


 企業会計基準委員会(ASBJ)は12月13日にも四半期報告書廃止後の半期報告書の基準となる「(仮称)中間財務諸表に関する会計基準等(案)」(以下「中間会計基準案」)等を決定する方針だ。1か月程度意見募集を行い、来年3月末までに正式決定する。中間会計基準案は、基本的に企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」等(以下「四半期会計基準等」)の会計処理及び開示を踏襲することとしているほか、四半期会計基準等で認められている四半期特有の会計処理や簡便的な会計処理についても、改正金融商品取引法の施行日までの期間が短いことから経過措置等により継続して適用できることとしている。
 また、同委員会では、今後、中間決算と四半期決算の取扱いを統一する期中報告基準を開発する予定だ。金融商品取引法上は四半期報告制度が廃止されるものの、実務上、上場企業においては引き続き第1・第3四半期決算が行われるため、期中報告基準の検討が行われるまでの間は、四半期会計基準等は廃止しないこととしている。

実務に配慮し現行の四半期会計基準等を踏襲

 四半期報告書を廃止する旨を盛り込んだ金融商品取引法等の一部を改正する法律が11月29日に公布された。令和6年4月1日から金融商品取引法上の四半期開示義務(第1・第3四半期)が廃止されることになり、開示義務が残る第2四半期報告書を半期報告書として提出することになった(提出期限は決算後45日以内)。
 半期報告書では、中間財務諸表が開示されることになるため、今回の中間会計基準案では、中間財務諸表に係る会計処理及び開示に関する取扱いを定めるものとなっている。
四半期の簡便的な会計処理には経過措置
 中間会計基準案では、基本的に四半期会計基準等を踏襲する。また、改正金融商品取引法の公布日から施行日までの期間が短いことから、中間財務諸表に係る取扱いと四半期会計基準等の取扱いに差異が生じる可能性がある項目についても、現行の実務と同様の取扱いを継続して適用することができるようにしている。
 この点、四半期特有の会計処理である「原価差異の繰延処理」や「みなし取得日の取扱い」については、中間会計基準案に盛り込んでいるが、四半期の簡便的な会計処理である「有価証券の減損処理」「棚卸資産の簿価切下げに係る方法」「一般債権の貸倒見積高の算定における簡便的な会計処理」「未実現損益の消去における簡便的な会計処理」の4項目については経過措置として認めている(本誌1004号11頁参照)。

他の会計基準等の「四半期」は「中間」に読み替え
 改正金融商品取引法では、半期報告書に関する経過措置が定められており(改正法附則3条)、施行日(令和6年4月1日)以後に四半期報告書を提出する場合には、当該四半期が属する事業年度から、改正金融商品取引法が適用されることになる。したがって、最初に改正金融商品取引法に基づく半期報告書の提出が必要になるのは12月決算会社となる。一方、改正金融商品取引法は四半期報告書に関する経過措置も定めており(改正法附則2条)、令和6年8月中旬まで改正前の金融商品取引法の規定に基づく四半期報告書が提出される可能性がある。3月30日決算会社の場合が該当することになるが、この場合、中間会計基準(案)の適用後も、一定期間、四半期会計基準等は適用されることになる。
 このため、企業会計基準委員会では、他の会計基準等に「四半期財務諸表」に関する定めがある場合には、これを「中間財務諸表」に関する定めに読み替える見直しを行うとしている。

期中報告基準検討までは四半期会計基準等は存続

 改正金融商品取引法により、上場企業等は、法定開示としては中間財務諸表のみ作成することなる。このため、結果的には四半期会計基準等は廃止されることになる。とはいっても、上場企業は、証券取引所の規則により、四半期決算短信の提出が求められるため、引き続き3か月ごとに決算が行われる。四半期決算短信は証券取引所の規則に従うことになるが、上場企業としては四半期決算短信と中間財務諸表は連続したものとして作成することになるため、同じ会計基準に基づいて中間決算と四半期決算を行うべきであるとの意見が聞かれている。特に第3四半期については、中間会計基準は中間会計期間を1つの会計期間とした会計基準等であるため、中間会計基準(案)で取り扱うことができない点が問題になるとされている。
年次の経営成績を左右しないことが原則
 このような意見を踏まえ、企業会計基準委員会では、中間決算と四半期決算の取扱いを期中報告基準として統一する考えだ。この点、国際的な会計基準における期中報告基準においては、企業の報告の頻度(年次、半期、又は四半期)によって、年次の経営成績の測定が左右されてはならないとすることが原則とされており(IAS第34号「期中財務報告」第28項)、日本基準においても同原則を採用する方向で検討が進められることになりそうだ。
 なお、この場合には、中間会計基準案で措置した前述の4つの経過措置については、期中報告基準では会計基準等を変更することが検討されることになる。
 金融商品取引法上において四半期報告書制度が廃止されることに伴い、四半期会計基準等も廃止されることに戸惑う関係者の声も聞かれたが、上場企業においては引き続き第1・第3四半期決算が行わるため、企業会計基準委員会では、中間会計基準(案)と四半期会計基準等の統合に関する検討が行われるまでの間、四半期会計基準等は廃止しないこととする方針を示している。

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