税務ニュース2020年03月13日 社団法人事業、非営利型の条件満たさず(2020年3月16日号・№827) 審判所、会員への事業活動は「特定の個人に特別の利益を与える」と判断
今回の事案は、一般社団法人である請求人が収益事業から生じた所得についてのみ法人税等の確定申告を行ったところ、原処分庁が請求人は普通法人に該当するから、全所得が課税対象となるなどとして法人税の更正処分等をしたもの。請求人は法人税法上の非営利型法人に該当するなどと主張して原処分の一部の取消しを求めていた。
法人税法施行令3条1項では「一般社団法人で、特定の個人……に特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがある場合には、非営利型法人に該当しない」とされており、これを受けた法人税基本通達1-1-8では、「特別の利益を与えること」とは「経済的利益の供与又は金銭その他の資産の交付で、社会通念上不相当なものをいう」と定めている。
これを踏まえ審判所は、非営利型法人又は普通法人のいずれに該当するかは法人が行った各支出が「特定の個人に特別の利益を与えること」に該当するか否かによって判断するとの見解を示した。
その上で、請求人の会員等に対する家財等共済掛金や敬老祝金などの事業活動は、「特定の個人に特別の利益を与えること」に該当するものであると判断。請求人は非営利型法人の要件を満たしていないため、法人税法に規定する普通法人に該当するとの判断を示した。
ただし、請求人は公益目的の事業のほかに不動産賃貸業の一部として土地賃貸借契約に基づく賃貸料の受領に関する委任業務を行っている事実が認められると指摘。法人税法上は公益法人等とみなされ、収益事業から生じた所得にのみ法人税が課税される法人に該当するとした。そして、本件受取手数料の額で損金に算入すべき金額のうち、本件受取手数料に係る直接費用については、支出の全額が本件受取手数料に係る業務のみ要した費用であり、間接費用については、一部金額を控除して算出することが相当であるとした。
したがって、本件受取手数料に係る直接費用及び間接費用には、損金の額に算入すべき理由があるため、原処分庁の主張は採用できず、法人税の更正処分の一部を取消すべきであると結論付けた。
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