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解説記事2024年07月15日 税制改正解説 令和6年度における法人税関係の改正について(上)(2024年7月15日号・№1035)

税制改正解説
令和6年度における法人税関係の改正について(上)
 村瀬 拳

はじめに

 令和6年度税制改正においては、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を上回る持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から、所得税・個人住民税の定額減税の実施や、賃上げ促進税制の強化等を行うこととされ、また、資本蓄積の推進や生産性の向上により、供給力を強化するため、戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制を創設し、スタートアップ・エコシステムの抜本的強化のための措置を講ずることとされ、加えて、グローバル化を踏まえてプラットフォーム課税の導入等を行うとともに、地域経済や中堅・中小企業の活性化等の観点から、事業承継税制の特例措置に係る計画提出期限の延長や外形標準課税の適用対象法人の見直し等を行うこととされ、関係法令の改正が行われた。
 このうち法人税法(国際課税関係を除く。)の改正では、法人が保有する暗号資産の期末時価評価課税の見直し、公益信託制度改革に伴う寄附金の損金不算入制度の見直し、適格現物出資の対象範囲及び対象資産等の内外判定の見直し等の改正が行われ、租税特別措置法等の改正では、給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(賃上げ促進税制)の改正、事業適応設備を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除制度の改正(戦略分野国内生産促進税制の創設等)、特許権等の譲渡等による所得の課税の特例(イノベーションボックス税制)の創設等が行われる一方で、事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却制度の廃止等、既存の租税特別措置の整理合理化が行われた。

Ⅰ 法人税法の改正

1 暗号資産
(1)暗号資産の期末時価評価損益

 内国法人が事業年度終了の時(以下「期末時」という。)において有する暗号資産については、次の暗号資産の区分に応じそれぞれ次の方法により評価した金額をもって、その期末時における評価額とすることとされた。なお、下記②の暗号資産にあっては、時価法又は原価法のうちその内国法人が選定した方法によることとし、その内国法人がその方法を選定しなかった場合には原価法によることとされた。
① 市場暗号資産(次の暗号資産を除く。)……時価法
 イ 特定譲渡制限付暗号資産
   特定譲渡制限付暗号資産とは、譲渡についての制限その他の条件が付されていることにつき適切に公表されるための手続が行われてい る一定の暗号資産をいい、一定の暗号資産とは、次の要件の全てに該当する暗号資産をいう。
 (イ)その暗号資産につき、譲渡についての制限その他の条件として暗号資産交換業者に関する内閣府令(以下「交換業府令」という。)第23条第1項第9号に規定する移転制限が付されていること。
  (注)交換業府令第23条第1項第9号に規定する移転制限とは、移転についての制限その他の条件として認定資金決済事業者協会(資金決済に関する法律第2条第22項に規定する認定資金決済事業者協会をいい、暗号資産交換業者(同条第16項に規定する暗号資産交換業者をいう。以下同じ。)をその会員とするものに限る。以下同じ。)の規則(金融庁長官の指定するものに限る。)に定めるものをいう。なお、金融庁長官の指定する規則は、「移転制限が付された暗号資産の情報提供及び公表に関する規則」(一般社団法人日本暗号資産取引業協会)とされた。
 (ロ)その暗号資産につき、暗号資産交換業者が認定資金決済事業者協会を通じて上記(イ)の譲渡についての制限その他の条件(特定条件)が付されていることを公表するための一定の手続を行っていること。
   一定の手続は、暗号資産交換業者が公表等措置を講ずるためのその暗号資産交換業者に対する交換業府令第23条第1項第9号イの要請若しくは同号ロの通知又は他の者に対するその他の者が同号ロの通知をすることの要請とされた。なお、同号ロの通知は、暗号資産交換業者がその内容を確認することができるものに限ることとされた。
  (注)公表等措置とは、交換業府令第23条第1項第9号に掲げる措置をいい、具体的には、移転制限が付され、又は付されることが予定されている暗号資産について、上記の認定資金決済事業者協会の規則の定めるところにより、その種類及び数量、保有者、保有の目的並びに移転制限の期間、方法その他の内容に関する情報をその認定資金決済事業者協会に提供し、かつ、その種類及び数量をその認定資金決済事業者協会のウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により公表する措置をいう。
 ロ 特定自己発行暗号資産
② 市場暗号資産に該当する特定譲渡制限付暗号資産(自己発行暗号資産を除く。)……時価法又は原価法
(注1)自己発行暗号資産とは、自己が発行し、かつ、その発行の時から継続して有する暗号資産をいう。
(注2)内国法人が適格合併又は適格分割(適格分割にあっては、分割法人が行っていた暗号資産の発行に関する事業が移転されるものに限る。)により被合併法人又は分割法人から移転を受けた暗号資産のうち、その移転の直前の時において自己発行暗号資産に該当していたものが、その内国法人において自己発行暗号資産に該当するかどうかの判定については、その内国法人が、その被合併法人又は分割法人がその暗号資産を発行した時においてその暗号資産を発行し、かつ、その発行の時からその移転の時まで継続してその暗号資産を有していたものとみなすこととされた。
(注3)原価法とは、期末時において有する暗号資産について、その期末時における帳簿価額をもってその暗号資産のその期末時における評価額とする方法をいう。
③ 上記①及び②以外の暗号資産……原価法
(2)暗号資産の1単位当たりの帳簿価額の算出等における暗号資産の種類
 暗号資産の1単位当たりの帳簿価額の算出等における暗号資産の種類は、次の暗号資産のいずれかに区分した後のそれぞれの種類とすることとされた。
① 特定譲渡制限付暗号資産に該当する暗号資産であって自己発行暗号資産に該当しないもの
② 特定譲渡制限付暗号資産に該当する暗号資産であって自己発行暗号資産に該当するもの
③ 特定自己発行暗号資産に該当する暗号資産
④ 上記①から③までの暗号資産以外の暗号資産
(3)自己発行暗号資産が特定譲渡制限付暗号資産に該当する場合及び該当していた場合の法人税法第61条の規定の適用
 内国法人が有する自己発行暗号資産で、特定譲渡制限付暗号資産に該当するもの又は特定譲渡制限付暗号資産に該当していたものについては、特定自己発行暗号資産に該当しないものとみなして、法人税法第61条(第5項及び第7項から第9項までを除く。)の規定を適用することとされた。
(4)特定譲渡制限付暗号資産の評価の方法の選定手続等
① 選定特定譲渡制限付暗号資産の評価の方法の選定手続
  上記(1)②の特定譲渡制限付暗号資産(以下「選定特定譲渡制限付暗号資産」という。)の評価の方法の選定手続は、法人税法施行令第118条の6第4項から第6項までの規定を準用することとされた。具体的な手続は次のとおりである。
 イ 選定特定譲渡制限付暗号資産の評価の方法は、その種類ごとに選定しなければならないこととされた。
 ロ 内国法人は、選定特定譲渡制限付暗号資産の取得をした場合には、その取得をした日の属する事業年度に係る確定申告書の提出期限(仮決算による中間申告書を提出する場合には、その中間申告書の提出期限)までに、その選定特定譲渡制限付暗号資産と種類を同じくする選定特定譲渡制限付暗号資産につき、時価法又は原価法のうちそのよるべき方法を書面により納税地の所轄税務署長に届け出なければならないこととされた。
② 市場暗号資産に該当しない特定譲渡制限付暗号資産の評価の方法の選定手続
  内国法人が、特定譲渡制限付暗号資産(自己発行暗号資産を除く。)の取得をした場合は、これらの特定譲渡制限付暗号資産が市場暗号資産に該当しないときであっても、その特定譲渡制限付暗号資産を選定特定譲渡制限付暗号資産に該当するものとして、上記①の選定手続を行うこととされた。
③ 選定特定譲渡制限付暗号資産の評価の方法の変更手続
  選定特定譲渡制限付暗号資産(上記②により選定特定譲渡制限付暗号資産に該当するものとされたものを含む。以下③において同じ。)の評価の方法の変更手続は、法人税法施行令第30条(棚卸資産の評価の方法の変更手続)の規定を準用することとされた。具体的な手続は次のとおりである。
 イ 内国法人は、選定特定譲渡制限付暗号資産につき選定した評価の方法を変更しようとするときは、納税地の所轄税務署長の承認を受けなければならないこととされた。
(注)上記の「選定特定譲渡制限付暗号資産につき選定した評価の方法」には、上記①又は②により評価の方法を届け出なかった内国法人がよるべきこととされている方法(原価法)を含むこととされた。
 ロ 上記イにより納税地の所轄税務署長の承認を受けようとする内国法人は、その新たな評価の方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに、その旨、変更しようとする理由及び次の事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされた。
 (イ)申請をする内国法人の名称、納税地及び法人番号並びに代表者の氏名
 (ロ)その評価の方法を変更しようとする選定特定譲渡制限付暗号資産の種類
 (ハ)現によっている評価の方法及びその評価の方法を採用した日
 (ニ)採用しようとする新たな評価の方法
 (ホ)その他参考となるべき事項
 ハ 税務署長は、上記ロの申請書の提出があった場合において、その申請書を提出した内国法人が次のいずれかに該当するときは、その申請を却下することができることとされた。
 (イ)その内国法人が現によっている評価の方法を採用してから相当期間を経過していないとき。
 (ロ)変更しようとする評価の方法によってはその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算が適正に行われ難いと認めるとき。
 ニ 税務署長は、上記ロの申請書の提出があった場合において、その申請につき承認又は却下の処分をするときは、その申請をした内国法人に対し、書面によりその旨を通知することとされた。
 ホ 上記ロの申請書の提出があった場合において、新たな評価の方法を採用しようとする事業年度終了の日までにその申請につき承認又は却下の処分がなかったときは、同日においてその承認があったものとみなすこととされた。
 (注)新たな評価の方法を採用しようとする事業年度について中間申告書を提出すべき内国法人については、上記の事業年度終了の日は、その事業年度(その内国法人が通算子法人である場合には、その事業年度開始の日の属するその内国法人に係る通算親法人の事業年度)開始の日以後6月を経過した日の前日である。
 ヘ 次の内国法人がそれぞれ次の日の属する事業年度において、選定特定譲渡制限付暗号資産につき選定した評価の方法を変更しようとする場合において、その事業年度に係る確定申告書の提出期限までに、その旨及び上記ロ(イ)から(ホ)までの事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出したときは、その届出書をもって上記ロの申請書とみなし、その届出書の提出をもって上記イの承認があったものとみなすこととされた。この場合には、上記ニは適用されない。
 (イ)新たに収益事業を開始した内国法人である公益法人等及び人格のない社団等……その開始した日
 (ロ)収益事業を行っていない公益法人等に該当していた普通法人又は協同組合等……その普通法人又は協同組合等に該当することとなった日
④ 選定特定譲渡制限付暗号資産に該当することとなった場合の評価方法
  上記②により評価の方法の選定の手続を行った特定譲渡制限付暗号資産が選定特定譲渡制限付暗号資産に該当することとなったときは、上記①ロにより届け出た方法(上記③によりその方法の変更の承認を受けた場合には、その変更後の方法)をもって、その暗号資産について選定した評価の方法とすることとされた。
(5)暗号資産の区分変更等によるみなし譲渡
 内国法人が暗号資産を自己の計算において有する場合において、その暗号資産が特定自己発行暗号資産に該当しないこととなったこと等の一定の事実が生じたときは、その生じた事実の区分に応じて、その暗号資産を譲渡し、かつ、その暗号資産を取得したものとみなして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算することとされた。みなし譲渡を認識する一定の事実、その場合における譲渡損益の認識方法については、次のとおりとされた。
① 上記の一定の事実は、次のとおりとされた。
 イ 内国法人の有する暗号資産が特定自己発行暗号資産に該当しないこととなったこと。
 ロ 内国法人の有する暗号資産について次の事実のいずれかが生じたこと。なお、その暗号資産がその事業年度開始の時からその事実が生ずる直前の時(その事実が次の(ハ)の事実である場合には、その事業年度終了の時)までの期間内のいずれかの時において市場暗号資産に該当するもの(以下「2号暗号資産」という。)である場合に限るものとされ、その暗号資産がその直前の時において特定自己発行暗号資産に該当するものである場合を除くこととされた。
 (イ)その暗号資産が特定譲渡制限付暗号資産に該当することとなったこと。
 (ロ)その暗号資産が特定譲渡制限付暗号資産に該当しないこととなったこと(その暗号資産がその事業年度開始の時からその該当しないこととなった時までの期間内のいずれかの時において時価法選定特定譲渡制限付暗号資産に該当するものであった場合に限る。)。
 (注)時価法選定特定譲渡制限付暗号資産とは、特定譲渡制限付暗号資産であって時価評価金額をもってその事業年度終了の時における評価額とするものをいう。
 (ハ)その暗号資産がその評価の方法の変更により時価法選定特定譲渡制限付暗号資産に該当しないこととなったこと。
 (ニ)その暗号資産が特定譲渡制限付暗号資産に該当しないこととなったこと((ロ)の事実を除く。)。
 ハ 内国法人の有する暗号資産であって2号暗号資産に該当しないものについて次の事実のいずれかが生じたこと(その暗号資産がその事実の生ずる直前の時において特定自己発行暗号資産に該当するものである場合を除く。)。
 (イ)その暗号資産が特定譲渡制限付暗号資産に該当することとなったこと。
 (ロ)その暗号資産が特定譲渡制限付暗号資産に該当しないこととなったこと。
 ニ 内国法人の有する暗号資産がその事業年度の期間内のいずれかの時において市場暗号資産に該当しないこととなったこと(次のいずれかの場合に該当する場合を除く。)。
 (イ)その暗号資産がその事業年度終了の時において市場暗号資産、特定譲渡制限付暗号資産(その事業年度の期間内のいずれかの時において時価法選定特定譲渡制限付暗号資産に該当していたものを除く。)又は特定自己発行暗号資産に該当するものである場合
 (ロ)その暗号資産にその事業年度の期間内のいずれかの時において上記ロの事実が生じ、その生じた時においてその暗号資産が市場暗号資産に該当しないものであった場合
 (注)上記ロの事実から上記ロ(ハ)の事実を除くこととされた。また、その事業年度の期間内に上記ロの事実が2以上生じた場合には、その生じた時のうち最も遅い時が上記の「その生じた時」となる。
 (ハ)その暗号資産にその事業年度の期間内のいずれかの時において上記ロ(ハ)の事実が生じた場合
② 内国法人が上記①イ、ロ(ニ)又はハの事実が生じた暗号資産に該当する暗号資産を自己の計算において有する場合には、その事実が生じた時において、その暗号資産をその生じた時の直前の帳簿価額により譲渡し、かつ、その暗号資産をその帳簿価額により取得したものとみなして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算することとされた。
③ 内国法人が上記①ロ(イ)から(ハ)まで又はニの事実が生じた暗号資産に該当する暗号資産を自己の計算において有する場合には、その事実が生じた時において、その有する期末保有暗号資産等(直近売買価格等公表日の翌日からその事業年度終了の日までの間にその暗号資産(上記①ニの事実が生じた暗号資産に該当するものに限る。)と種類及び上記(2)の区分を同じくする暗号資産の取得をしていた場合には、その取得をした数量に相当するものを除く。以下「期末保有暗号資産等」という。)を次のいずれかの金額に期末保有暗号資産等の数量を乗じて計算した金額により譲渡し、かつ、その期末保有暗号資産等をその金額により取得したものとみなして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算することとされた。
(注1)上記の「その事実が生じた時」は、上記①ロ(ハ)又はニの事実が生じた場合には、その事実が生じた時の属する事業年度終了の時とされた。
(注2)上記の「直近売買価格等公表日」とは、価格等公表者によってその日における上記①ロ(イ)から(ハ)まで又はニの事実が生じた暗号資産の最終の売買価格等が公表された日で次の暗号資産の区分に応じそれぞれ次の日をいう。
 イ 上記①ロ(イ)又は(ロ)の事実が生じた暗号資産に該当するもの……その事実が生じた日前の日のうちその事実が生じた日に最も近い日
 ロ 上記①ロ(ハ)又はニの事実が生じた暗号資産に該当するもの……その事業年度終了の日前の日のうちその終了の日に最も近い日
(注3)上記の取得には、適格合併による被合併法人からの引継ぎを含むものとし、適格分社型分割、適格現物出資又は適格現物分配で残余財産の全部の分配に該当しないものによる分割法人、現物出資法人又は現物分配法人からの取得及び法人税法施行令第118条の6第6項各号に掲げる取得を含まないこととされた。
 イ 価格等公表者によって公表された直近売買価格等公表日における期末保有暗号資産等の最終の売買の価格
 ロ 価格等公表者によって公表された直近売買価格等公表日における期末保有暗号資産等の最終の交換比率に、その交換比率により交換される他の暗号資産の価格等公表者によって公表された直近売買価格等公表日における最終の売買の価格を乗じて計算した金額
  なお、内国法人が移動平均法によりその1単位当たりの帳簿価額を算出する期末保有暗号資産等であって上記①ニの事実が生じた暗号資産に該当するものについて上記③により所得の金額を計算する場合において、直近売買価格等公表日の翌日からその事業年度終了の日までの間にその期末保有暗号資産等と種類及び上記(2)の区分を同じくする暗号資産の取得をしていたときは、その期末保有暗号資産等の上記の譲渡に係る原価の額は、直近売買価格等公表日における1単位当たりの帳簿価額にその期末保有暗号資産等の数量を乗じて計算した金額とすることとされた。

2 新たな公益信託制度の創設に伴う措置
 新たな公益信託制度の創設に伴い、次の措置が講じられた。
(1)公益信託の信託財産に帰せられる収益及び費用については、委託者及び受託者の段階で法人税を課税しないこととされた。
(2)公益信託の信託財産とするために支出したその公益信託に係る信託事務に関連する寄附金の額については、一定の金額を限度として、一般の寄附金の損金算入限度額とは別に損金の額に算入することとされた。

3 その他
(1)現物出資について、次の見直しが行われた。
① 適格現物出資の対象となる現物出資から、被現物出資法人である外国法人に無形資産等の移転を行う一定の現物出資が除外された。
② 現物出資により移転する資産又は負債が、国内資産等又は国外資産等のいずれに該当するか(内外判定)は、内国法人の本店等若しくは外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係る資産若しくは負債又は内国法人の国外事業所等若しくは外国法人の本店等を通じて行う事業に係る資産若しくは負債のいずれに該当するかによることとされた。
(2)公共法人の範囲に、国立研究開発法人情報通信研究機構が追加された。
(3)公益法人等について、次の見直しが行われた。
 ① 公益法人等の範囲について、金融経済教育推進機構、脱炭素成長型経済構造移行推進機構及び外国人育成就労機構が追加されるとともに、外国人技能実習機構及び国立研究開発法人情報通信研究機構が除外された。
 ② 社会医療法人について、社会医療法人の認定要件のうち救急医療等確保事業に係る業務の基準に、新興感染症発生・まん延時における医療の確保に必要な事業に関する基準が追加されるとともに、認定要件の見直し後の社会医療法人を引き続き公益法人等とすることとされた。
 ③ 収益事業から除外される事業の範囲について、次の見直しが行われた。
  イ 金銭貸付業から除外される事業に、広域的運営推進機関が認定整備等事業者に対し認定整備等計画に基づく電気工作物の整備又は更新に必要な資金を貸し付ける業務として行う金銭貸付業が追加された。
  ロ 請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。)から除外される事業に、国民健康保険団体連合会が国等の委託を受けて行うものであること等の一定の要件に該当するものが追加された。
  ハ 医療保健業から除外される公的医療機関に該当する病院等を設置する一定の厚生農業協同組合連合会が行う医療保健業の要件について、その厚生農業協同組合連合会の行う事業が公的に運営されるものであることその他の厚生労働大臣及び農林水産大臣の定める基準に該当することとの要件が追加された。
(4)減価償却資産について、次の見直しが行われた。
 ① 減価償却資産の範囲に、無形固定資産として漁港水面施設運営権が追加された。
 ② 鉱業権のうち、石油又は可燃性天然ガスに係る試掘権の耐用年数が6年(改正前:8年)に、アスファルトに係る試掘権の耐用年数が5年(改正前:8年)に、それぞれ短縮された。
(5)役員給与の損金不算入制度について、一定の業績連動給与の算定方法の内容が開示されていることとの要件における開示の方法から四半期報告書に記載する方法によるものが除外された。
(6)第二次納税義務に係る納付税額の損金不算入制度における国税徴収法等の第二次納税義務の規定により納付し、又は納入すべき国税等に、偽りその他不正の行為により国税を免れた株式会社の役員等の第二次納税義務の規定により納付すべき国税等が追加された。
(7)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度について、対象となる国庫補助金等に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の供給確保事業助成金及び独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法に基づく独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の供給確保事業助成金が追加された。

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