解説記事2024年07月22日 税制改正解説 令和6年度における法人税関係の改正について(下)(2024年7月22日号・№1036)
税制改正解説
令和6年度における法人税関係の改正について(下)
村瀬 拳
Ⅱ 租税特別措置法等(法人税関係)の改正
1 税額控除関係
(1)研究開発税制について、次の見直しが行われた。
① 試験研究費の額の範囲から、内国法人が国外事業所等を通じて行う事業に係る費用の額が除外された。
② 一般試験研究費の額に係る税額控除制度について、増減試験研究費割合が0に満たない場合の税額控除割合が次の事業年度の区分に応じそれぞれ次の割合とされるとともに、税額控除割合の下限が1%から0に引き下げられた。
イ 令和8年4月1日から令和11年3月31日までの間に開始する事業年度……8.5%から、その増減試験研究費割合が0に満たない場合のその満たない部分の割合に30分の8.5を乗じて計算した割合を減算した割合
ロ 令和11年4月1日から令和13年3月31日までの間に開始する事業年度……8.5%から、その増減試験研究費割合が0に満たない場合のその満たない部分の割合に27.5分の8.5を乗じて計算した割合を減算した割合
ハ 令和13年4月1日以後に開始する事業年度……8.5%から、その増減試験研究費割合が0に満たない場合のその満たない部分の割合に25分の8.5を乗じて計算した割合を減算した割合
(2)国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、対象事業の見直し等が行われた上、その適用期限が令和8年3月31日まで2年延長された。
(3)国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、令和6年4月1日以後に取得等をした特定機械装置等(同日以前に受けた指定に係る指定法人事業実施計画に同日において記載されているものを除く。)の特別償却限度額及び税額控除割合が次のとおり引き下げられるとともに、対象事業の見直しが行われた上、その適用期限が令和8年3月31日まで2年延長された。
① 特別償却限度額……その取得価額の30%(建物等及び構築物については、15%)相当額(改正前:その取得価額の34%(建物等及び構築物については、17%)相当額)
② 税額控除割合……8%(建物等及び構築物については、4%)(改正前:10%(建物等及び構築物については、5%))
(4)地域経済牽(けん)引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、特別償却割合又は税額控除割合の引上げに係る措置の対象となる承認地域経済牽引事業が、地域の事業者に対して著しい経済的効果を及ぼすものである場合には、その対象となる機械装置及び器具備品の税額控除割合を6%とすることとされた。
(5)地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、次の見直しが行われた上、地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定期限が令和8年3月31日まで2年延長された。
① 特定建物等の範囲に、認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に記載された特定業務児童福祉施設のうち特定業務施設の新設に併せて整備されるものに該当する建物等及び構築物が追加された。
② 中小企業者(適用除外事業者又は通算適用除外事業者に該当するものを除く。)以外の法人の適用対象となる特定建物等の取得価額に係る要件が、3,500万円以上(改正前:2,500万円以上)に引き上げられた。
③ 特別償却限度額及び税額控除限度額の計算の基礎となる特定建物等の取得価額の上限が、80億円とされた。
(6)地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度について、次の見直しが行われた上、地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定期限が令和8年3月31日まで2年延長された。
① 地方事業所特別基準雇用者数に係る措置について、地方事業所特別税額控除限度額の計算の基礎となる地方事業所特別基準雇用者数が、無期雇用かつフルタイムの雇用者の数に限ることとされた。
② 特定業務施設の新設に係る地方活力向上地域等特定業務施設整備計画における適用年度に含まれる期間の起算日が、その特定業務施設を事業の用に供した日(改正前:計画の認定を受けた日)とされた。
③ 適用要件のうち離職者に関する要件について、離職者がいないこととの要件を満たさなければならない事業年度が本制度の適用を受けようとする事業年度及びその事業年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度(改正前:本制度の適用を受けようとする事業年度及びその事業年度開始の日前1年以内に開始した各事業年度)とされた。
(7)給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度について、次の見直しが行われた。
① 法人の継続雇用者給与等支給額が増加した場合に係る措置
イ 税額控除割合の見直し
税額控除割合の上乗せ措置について、本措置の適用を受けようとする事業年度(以下「適用事業年度」という。)において次の要件を満たす場合には、原則の税額控除割合にそれぞれ次の割合を加算した割合を税額控除割合とし、適用事業年度において次の要件のうち2以上の要件を満たす場合には、原則の税額控除割合にそれぞれの割合を合計した割合を加算した割合を税額控除割合とする措置に見直されるとともに、原則の税額控除割合が10%(改正前:15%)とされた。これにより、税額控除割合の最大値は、改正前と同様、35%となる。
(イ)継続雇用者給与等支給増加割合が4%以上であること……次の割合
A 継続雇用者給与等支給増加割合が4%以上5%未満である場合……5%
B 継続雇用者給与等支給増加割合が5%以上7%未満である場合……10%
C 継続雇用者給与等支給増加割合が7%以上である場合……15%
(ロ)次の要件の全てを満たすこと……5%
A その法人のその適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額からその比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が10%以上であること。
B その法人のその適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額のその法人の雇用者給与等支給額に対する割合が0.05%以上であること。
(ハ)その適用事業年度終了の時において次の者のいずれかに該当すること……5%
A 次世代育成支援対策推進法第15条の3第1項に規定する特例認定一般事業主
B 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第13条第1項に規定する特例認定一般事業主
ロ 適用要件の見直し等
本措置の適用を受けるためにマルチステークホルダー方針を公表しなければならない者に、適用事業年度終了の時においてその法人の常時使用する従業員の数が2,000人を超える法人が追加された。
また、マルチステークホルダー方針について、適切な関係の構築の方針を公表する対象である「下請事業者その他の取引先」に消費税の免税事業者が含まれることが明確化された。加えて、マルチステークホルダー方針のホームページへの公表は、適用事業年度の終了の日までに行わなければならないこととされた。
ハ 適用期限の延長
本措置の適用期限が、令和9年3月31日まで3年延長された。
ニ 地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度の適用を受ける場合の控除対象雇用者給与等支給増加額の調整計算の見直し
ホ 雇用者給与等支給額等の見直し
次の額の算定に際し、給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額のうち役務の提供の対価として支払を受ける金額は、給与等の支給額から控除しないこととされた。
(イ)継続雇用者給与等支給増加割合に関する要件の判定における継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額
(ロ)控除対象雇用者給与等支給増加額の算定の基礎となる雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等支給額
(ハ)控除対象雇用者給与等支給増加額の上限となる調整雇用者給与等支給増加額の算定の基礎となる雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等支給額
すなわち、給与等の支給額から役務の提供の対価として支払を受ける金額を控除しないで計算する。
② 特定法人の継続雇用者給与等支給額が増加した場合に係る措置の追加
イ 措置の概要
この措置は、青色申告書を提出する法人が、令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合で、かつ、その事業年度終了の時において特定法人に該当する場合において、その事業年度において継続雇用者給与等支給増加割合が3%以上であるときは、その法人のその事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額(その事業年度において、地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度の適用を受ける場合には、その適用による控除を受ける金額の計算の基礎となった者に対する給与等の支給額として計算した金額を控除した残額)の10%(その事業年度において次の要件を満たす場合には、それぞれ次の割合(その事業年度において次の要件のうち2以上の要件を満たす場合には、それぞれの割合を合計した割合)を加算した割合)相当額(以下「特定税額控除限度額」という。)の税額控除ができるというものである。なお、控除を受ける金額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされた。
(イ)継続雇用者給与等支給増加割合が4%以上であること……15%
(ロ)次の要件の全てを満たすこと……5%
A その法人のその事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額からその比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が10%以上であること。
B その法人のその事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額のその法人の雇用者給与等支給額に対する割合が0.05%以上であること。
(ハ)次の要件のいずれかを満たすこと……5%
A その事業年度終了の時において次世代育成支援対策推進法に規定する特例認定一般事業主に該当すること。
B その事業年度において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の認定を受けたこと(同法の女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供及び雇用環境の整備の状況が特に良好な場合に限る。)。
C その事業年度終了の時において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に規定する特例認定一般事業主に該当すること。
ただし、事業年度終了の時において、法人の資本金の額又は出資金の額が10億円以上であり、かつ、その法人の常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合には、マルチステークホルダー方針を公表している場合として一定の場合に該当する場合に限り、本措置の適用を受けることができることとされている。
ロ 適用対象法人
この措置の適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人とされた。なお、下記ニ(ロ)で述べるとおり、常時使用する従業員の数に係る要件がある。
ハ 適用事業年度
この措置は、令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において適用できることとされた。ただし、次の事業年度は、除外された。
(イ)上記①の措置の適用を受ける事業年度
(ロ)設立事業年度
(ハ)解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度
(ニ)清算中の各事業年度
ニ 適用要件
この措置は、適用対象法人が、適用事業年度において、次の(イ)から(ハ)までの全ての要件を満たす場合に適用できることとされた。ただし、適用事業年度終了の時において、適用対象法人の資本金の額又は出資金の額が10億円以上であり、かつ、適用対象法人の常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合には、次の(イ)から(ハ)までの要件に加え、次の(ニ)の要件も満たす必要がある。
(イ)国内雇用者に対して給与等を支給すること。
国内雇用者は、具体的には、法人の国内に所在する事業所につき作成された労働基準法に規定する賃金台帳に記載された者とされた。
また、給与等とは、所得税法第28条第1項に規定する給与等、すなわち、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与をいう。
(ロ)適用事業年度終了の時において特定法人に該当すること。
特定法人は、具体的には、常時使用する従業員の数が2,000人以下の法人をいう。
なお、適用対象法人及びその適用対象法人との間にその適用対象法人による法人税法第2条第12号の7の5に規定する支配関係がある他の法人の常時使用する従業員の数の合計数が1万人を超える法人は、除外された。
(ハ)継続雇用者給与等支給増加割合が3%以上であること。
A 継続雇用者給与等支給増加割合
継続雇用者給与等支給増加割合とは、その適用対象法人の継続雇用者給与等支給額からその継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合をいう。
B 継続雇用者に該当し得る国内雇用者
継続雇用者に該当し得る国内雇用者は、一般被保険者に該当する者に限るものとされた。また、適用対象法人の就業規則において継続雇用制度を導入している旨の記載があり、かつ、次の書類のいずれかにその者がその継続雇用制度に基づき雇用されている者である旨の記載がある場合のその者を除くこととされた。
(A)雇用契約書その他これに類する雇用関係を証する書類
(B)その適用対象法人の国内に所在する事業所につき作成された労働基準法に規定する賃金台帳
C 継続雇用者
継続雇用者とは、次の場合の区分に応じそれぞれ次のとおりとされた。
(A)適用事業年度の月数と前事業年度の月数とが同じ場合
上記Bの国内雇用者のうちその適用対象法人の国内雇用者として適用事業年度及び前事業年度の期間内の各月分のその適用対象法人の給与等の支給を受けた者が継続雇用者となる。
(注1)前事業年度とは、適用事業年度開始の日の前日を含む事業年度をいう。
(注2)適用事業年度開始の日の前日を含む事業年度が外国法人である人格のない社団等の新たに収益事業を開始した日を含む事業年度である場合には、その開始した日からその事業年度終了の日までの期間のみが上記(注1)の前事業年度となる。
(B)前事業年度の月数が適用事業年度の月数に満たない場合
上記Bの国内雇用者のうちその適用対象法人の国内雇用者として適用事業年度の期間及び前1年事業年度特定期間内の各月分のその適用対象法人の給与等の支給を受けた者が継続雇用者となる。
(注)前1年事業年度特定期間とは、適用事業年度開始の日前1年以内に終了した各事業年度の期間をいう。ただし、適用事業年度開始の日前1年以内に終了した各事業年度のうち、適用事業年度開始の日から起算して1年前の日を含む事業年度にあっては、適用事業年度開始の日から起算して1年前の日からその事業年度終了の日までの期間のみが前1年事業年度特定期間に含まれる。
(C)前事業年度の月数が適用事業年度の月数を超える場合
上記Bの国内雇用者のうちその適用対象法人の国内雇用者として適用事業年度の期間及び前事業年度特定期間内の各月分のその適用対象法人の給与等の支給を受けた者が継続雇用者となる。
(注)前事業年度特定期間とは、前事業年度の期間のうち適用事業年度の期間に相当する期間で前事業年度終了の日に終了する期間をいう。したがって、前事業年度が12か月で適用事業年度が6か月の場合には、前事業年度のうち最後の6か月間が前事業年度特定期間となる。
D 継続雇用者給与等支給額
継続雇用者給与等支給額とは、雇用者給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額とされた。
E 継続雇用者比較給与等支給額
継続雇用者比較給与等支給額とは、次の場合の区分に応じそれぞれ次のとおりとされた。
(A)上記C(A)の場合
上記C(A)の適用対象法人の前事業年度に係る給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額が、継続雇用者比較給与等支給額となる。
給与等支給額とは、適用対象法人の事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう。この給与等の支給額からは、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除することとされた。ただし、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額のうち雇用安定助成金額及び役務の提供の対価として支払を受ける金額は、給与等の支給額から控除しないこととされた。
(注)他の者には、その適用対象法人が外国法人である場合の法人税法第138条第1項第1号に規定する本店等を含むこととされた。
(B)上記C(B)の場合
上記C(B)の適用対象法人の適用事業年度開始の日前1年以内に終了した各事業年度に係る給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額(前1年事業年度特定期間に対応する金額に限る。)の合計額に適用事業年度の月数を乗じてこれを前1年事業年度特定期間の月数の合計数で除して計算した金額が、継続雇用者比較給与等支給額となる。
(C)上記C(C)の場合
上記C(C)の適用対象法人の前事業年度に係る給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額(前事業年度特定期間に対応する金額に限る。)が、継続雇用者比較給与等支給額となる。
F 継続雇用者比較給与等支給額が0である場合
継続雇用者比較給与等支給額が0である場合には、継続雇用者給与等支給増加割合が3%以上であるときに該当しないものとされた。したがって、本措置の適用を受けることができない。
(ニ)期末において資本金の額又は出資金の額が10億円以上であり、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合の追加要件
適用事業年度終了の時において、適用対象法人の資本金の額又は出資金の額が10億円以上であり、かつ、適用対象法人の常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合には、給与等の支給額の引上げの方針、下請事業者その他の取引先との適切な関係の構築の方針その他の事業上の関係者との関係の構築の方針に関する事項として厚生労働大臣、経済産業大臣及び国土交通大臣が告示で定める事項(マルチステークホルダー方針)を、適用対象法人のホームページに公表し、その公表した旨を経済産業大臣に届け出て、確定申告書等に、適用対象法人がその告示で定める事項を公表していることについて届出があった旨を経済産業大臣が証する書類の写しの添付がある場合に限り、本措置の適用を受けることができることとされた。
上記の「告示で定める事項」は、次のとおりである。
A 給与等の支給額の引上げ及び教育訓練等の実施の方針
B 下請事業者その他の取引先(消費税法第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を含む。)との適切な関係の構築の方針
C A及びBの事項のほか、その他の事業上の関係者との関係の構築の方針を定めているときは、その内容
(注)確定申告書等とは、法人税法第2条第30号に規定する中間申告書で同法第72条第1項各号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144条の4第1項各号又は第2項各号に掲げる事項を記載したもの並びに同法第2条第31号に規定する確定申告書をいう。
ホ 特定税額控除限度額の計算
特定税額控除限度額は、控除対象雇用者給与等支給増加額の10%に相当する金額とされた。
なお、この特定税額控除限度額が適用対象法人の適用事業年度の調整前法人税額の20%相当額を超える場合には、控除を受ける金額は、その調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされた。
(イ)税額控除割合の上乗せ
税額控除割合は、適用事業年度において次の要件を満たす場合には、10%にそれぞれ次の割合を加算した割合とし、適用事業年度において次の要件のうち2以上の要件を満たす場合には、10%にそれぞれの割合を合計した割合を加算した割合(最大で35%)とすることとされた。
A 継続雇用者給与等支給増加割合が4%以上であること……15%
B 次の要件の全てを満たすこと……5%
(A)その適用対象法人の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額からその比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が10%以上であること。
(B)その適用対象法人の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額のその適用対象法人の雇用者給与等支給額に対する割合が0.05%以上であること。
C 次の要件のいずれかを満たすこと……5%
(A)適用事業年度終了の時において次世代育成支援対策推進法第15条の3第1項に規定する特例認定一般事業主に該当すること。
(B)適用事業年度において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第9条の認定を受けたこと(同法第4条の女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供及び同条の雇用環境の整備の状況が特に良好な場合として財務省令で定める場合に限る。)。
この「財務省令で定める場合」は、その認定が女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令第8条第1項第3号に規定する事業主の類型に係るものである場合(適用事業年度終了の日までに女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第11条の規定によりその認定が取り消された場合を除く。)とされた。
(C)適用事業年度終了の時において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第13条第1項に規定する特例認定一般事業主に該当すること。
(ロ)調整前法人税額
調整前法人税額は、一定の規定を適用しないで計算した場合の法人税の額をいい、附帯税の額を除くこととされた。
(ハ)控除対象雇用者給与等支給増加額
控除対象雇用者給与等支給増加額とは、適用対象法人の雇用者給与等支給額からその比較雇用者給与等支給額を控除した金額をいう。ただし、その金額が調整雇用者給与等支給増加額を超える場合には、調整雇用者給与等支給増加額が控除対象雇用者給与等支給増加額となる。
A 雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等支給額
雇用者給与等支給額とは、適用対象法人の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいい、比較雇用者給与等支給額とは、適用対象法人の適用事業年度の前事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう。
給与等の支給額は、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額とされた。ただし、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額のうち、雇用安定助成金額及び役務の提供の対価として支払を受ける金額は、給与等の支給額から控除しないこととされた。
B 調整雇用者給与等支給増加額
調整雇用者給与等支給増加額とは、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額をいうが、調整雇用者給与等支給増加額の計算における雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等支給額の計算においては、これらの支給額からその支給額の計算の基礎となる給与等に充てるための雇用安定助成金額を控除することとされた。
(ニ)地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度の適用を受ける場合の控除対象雇用者給与等支給増加額の調整
適用事業年度において租税特別措置法第42条の12の規定(地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度)の適用を受ける場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額から、その適用による控除を受ける金額の計算の基礎となった者に対する給与等の支給額として計算した金額を控除して、特定税額控除限度額を計算することとされた。
(ホ)教育訓練費の額及び比較教育訓練費の額
上記(イ)Bで述べたとおり、適用対象法人の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額が比較教育訓練費の額の1.1倍以上であり、かつ、適用対象法人の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額の適用対象法人の雇用者給与等支給額に対する割合が0.05%以上である場合には、税額控除割合を5%上乗せすることとされた。
比較教育訓練費の額とは、適用対象法人の適用事業年度開始の日前1年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額の合計額をその1年以内に開始した各事業年度の数で除して計算した金額をいう。
なお、適用事業年度において、教育訓練費の額が比較教育訓練費の額の1.1倍以上であり、かつ、教育訓練費の額の雇用者給与等支給額に対する割合が0.05%以上であるとして、上記(イ)Bの税額控除割合の上乗せの適用を受ける場合には、教育訓練費の明細を記載した書類を保存しなければならないこととされた。
次に、比較教育訓練費の額が0である場合において、適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額も0であるときは、「適用対象法人の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額が比較教育訓練費の額の1.1倍以上であること(上記(イ)B(A))」の要件を満たさないものとすることとされた。一方、それ以外のとき、すなわち、比較教育訓練費の額が0である場合において、適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額が1円以上あるときは、上記(イ)B(A)の要件を満たすものとすることとされた。
③ 中小企業者等の雇用者給与等支給額が増加した場合に係る措置
イ 税額控除割合の上乗せ措置の見直し
税額控除割合の上乗せ措置について、本措置の適用を受けようとする事業年度(以下「適用事業年度」という。)において次の要件を満たす場合には、15%にそれぞれ次の割合を加算した割合を税額控除割合とし、適用事業年度において次の要件のうち2以上の要件を満たす場合には、15%にそれぞれの割合を合計した割合を加算した割合(最大で45%)を税額控除割合とする措置に見直された。
(イ)雇用者給与等支給増加割合が2.5%以上であること……15%
(ロ)次の要件の全てを満たすこと……10%
A その中小企業者等のその適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額からその比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が5%以上であること。
B その中小企業者等のその適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額のその中小企業者等の雇用者給与等支給額に対する割合が0.05%以上であること。
(ハ)次の要件のいずれかを満たすこと……5%
A その適用事業年度において次世代育成支援対策推進法第13条の認定を受けたこと(同法第2条に規定する次世代育成支援対策の実施の状況が良好な場合として財務省令で定める場合に限る。)。
この「財務省令で定める場合」は、その認定が次のものである場合(その適用事業年度終了の日までに次世代育成支援対策推進法第15条の規定によりその認定が取り消された場合を除く。)とされた。
(A)次世代育成支援対策推進法施行規則第4条第1項第1号に規定する事業主の類型に係るもの
ただし、次世代育成支援対策推進法施行規則の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第185号)附則第2条第2項の規定に基づきなお従前の例により行った次世代育成支援対策推進法第13条の申請(以下「認定申請」という。)に基づき受けたものを除くこととされた。
(B)次世代育成支援対策推進法施行規則第4条第1項第2号に規定する事業主の類型に係るもの
ただし、次世代育成支援対策推進法施行規則の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第185号)附則第2条第2項の規定に基づきなお従前の例により行った認定申請に基づき受けたもの及び同条第3項の規定により次世代育成支援対策推進法施行規則第4条第1項第2号イに規定する要件を満たしているものとみなされて受けたものを除く。
B その適用事業年度終了の時において次世代育成支援対策推進法第15条の3第1項に規定する特例認定一般事業主に該当すること。
C その適用事業年度において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第9条の認定を受けたこと(同法第4条の女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供及び同条の雇用環境の整備の状況が良好な場合として財務省令で定める場合に限る。)。
この「財務省令で定める場合」は、その認定が女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令第8条第1項第2号又は第3号に規定する事業主の類型に係るものである場合(その適用事業年度終了の日までに女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第11条の規定によりその認定が取り消された場合を除く。)とされた。
D その適用事業年度終了の時において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第13条第1項に規定する特例認定一般事業主に該当すること。
ロ 適用期限の延長
本措置の適用期限が、令和9年3月31日まで3年延長された。
ハ 地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度の適用を受ける場合の控除対象雇用者給与等支給増加額の調整計算の見直し
適用事業年度において租税特別措置法第42条の12の規定(地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度)の適用を受ける場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額から、その適用による控除を受ける金額の計算の基礎となった者に対する給与等の支給額として計算した金額を控除して、中小企業者等税額控除限度額を計算することとされた。
この調整計算を行うことは改正前と同様だが、地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度に改正があったことに伴い、調整の方法が変更された。
ニ 雇用者給与等支給額等の見直し
次の額の算定に際し、給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額のうち役務の提供の対価として支払を受ける金額は、給与等の支給額から控除しないこととされた。
(イ)雇用者給与等支給増加割合に関する要件の判定における雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等支給額
(ロ)控除対象雇用者給与等支給増加額の算定の基礎となる雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等支給額
(ハ)控除対象雇用者給与等支給増加額の上限となる調整雇用者給与等支給増加額の算定の基礎となる雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等支給額
④ 中小企業者等税額控除限度超過額の繰越控除制度の創設
イ 制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人の各事業年度においてその法人の雇用者給与等支給額がその比較雇用者給与等支給額を超える場合において、上記③による控除をしてもなお控除しきれない金額(繰越税額控除限度超過額)を有するときは、その控除しきれない金額につき5年間繰り越して税額控除ができるというものだ。なお、控除を受ける金額は、上記①及び③並びに上記②の措置と合計して当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされた。
ロ 適用対象法人
この制度の適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人とされた。この制度の適用を受ける場合には、税額控除限度超過額の生じた事業年度終了の時において中小企業者等である必要はあるが、その繰越控除を行う事業年度において中小企業者等に該当することは要件とされていない。
ハ 適用事業年度
この制度は、青色申告書を提出する法人の各事業年度において適用できることとされた。ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、除外された。
ニ 適用要件
この制度は、適用対象法人が、適用事業年度において、次のイ及びロの要件を満たす場合に適用できることとされた。
(イ)適用対象法人の雇用者給与等支給額がその比較雇用者給与等支給額を超えること。
雇用者給与等支給額とは、適用対象法人の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいい、比較雇用者給与等支給額とは、適用対象法人の適用事業年度の前事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう。
給与等の支給額は、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額とされた。ただし、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額のうち、雇用安定助成金額及び役務の提供の対価として支払を受ける金額は、給与等の支給額から控除しないこととされた。
上記①ホ及び③ニにおける雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等支給額と同様である。
なお、比較雇用者給与等支給額が0である場合には、雇用者給与等支給額がその比較雇用者給与等支給額を超える場合に該当しないものとされた。したがって、比較雇用者給与等支給額が0である場合には、本制度の適用を受けることができない。
(ロ)繰越税額控除限度超過額を有していること。
繰越税額控除限度超過額とは、適用対象法人の適用事業年度開始の日前5年以内に開始した各事業年度(その適用事業年度まで連続して青色申告書の提出をしている場合の各事業年度に限る。)における中小企業者等税額控除限度額のうち、上記③による控除をしてもなお控除しきれない金額(既に本制度によりその各事業年度において調整前法人税額から控除された金額がある場合には、その金額を控除した残額)の合計額をいう。
ホ 税額控除限度額の計算
税額控除限度額は、繰越税額控除限度超過額相当額とされた。
なお、この繰越税額控除限度超過額が適用対象法人の適用事業年度の調整前法人税額の20%相当額を超える場合には、控除を受ける金額は、その調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされた。ただし、適用事業年度において上記①又は③又は上記②の措置によりその適用事業年度の調整前法人税額から控除される金額がある場合には、その金額を控除した残額とすることとされた。
(8)事業適応設備を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、次の見直しが行われた。
① カーボンニュートラルに向けた投資促進税制について、次の見直しが行われた。
イ 本制度の対象となる法人が、青色申告書を提出する法人で産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行の日(令和3年8月2日)から令和8年3月31日までの間にされた産業競争力強化法の認定に係る同法に規定する認定事業適応事業者(その認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画にその計画に従って行うエネルギー利用環境負荷低減事業適応のための措置として生産工程効率化等設備を導入する旨の記載があるものに限る。)であるものとされ、対象資産が、その認定を受けた日から同日以後3年を経過する日までの間に、取得等をして、その法人の事業の用に供した生産工程効率化等設備とされた。
ロ 税額控除割合が、次の区分に応じそれぞれ次のとおりとされた。
(イ)中小企業者(適用除外事業者又は通算適用除外事業者に該当するものを除く。)が事業の用に供した生産工程効率化等設備……次の生産工程効率化等設備の区分に応じそれぞれ次の割合
A エネルギーの利用による環境への負荷の低減に著しく資する生産工程効率化等設備……14%
B 上記A以外の生産工程効率化等設備……10%
(ロ)中小企業者(適用除外事業者又は通算適用除外事業者に該当するものを除く。)以外の法人が事業の用に供した生産工程効率化等設備……次の生産工程効率化等設備の区分に応じそれぞれ次の割合
A エネルギーの利用による環境への負荷の低減に特に著しく資する生産工程効率化等設備……10%
B 上記A以外の生産工程効率化等設備……5%
ハ 対象資産について、次の見直しが行われた。
(イ)対象資産である生産工程効率化等設備に、車両のうち、列車の走行に伴う二酸化炭素の排出量の削減に資する鉄道車両として国土交通大臣が定めるものが追加された。
(ロ)対象資産から次の資産が除外された。
A 生産工程効率化等設備のうち、広く一般に流通している照明設備及びエアコンディショナー(使用者の快適性を確保するために使用されるものに限る。)
B 需要開拓商品生産設備
(ハ)令和6年4月1日前に認定の申請がされた認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に記載された資産が除外された。
ニ 事業適応計画の認定要件のうち事業所等の炭素生産性に係る要件等の見直しが行われた。
② 次のイ及びロの措置で構成される戦略分野国内生産促進税制が創設された。
イ 青色申告書を提出する法人で産競法等改正法の施行の日から令和9年3月31日までの間にされた産業競争力強化法の認定に係る認定事業適応事業者であるものが、その認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に記載された産業競争力基盤強化商品のうち半導体の生産をするための設備の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る機械その他の減価償却資産(以下「半導体生産用資産」という。)の取得等をして、その法人の事業の用に供したときは、その事業の用に供した日からその認定の日以後10年を経過する日までの期間(イにおいて「対象期間」という。)内の日を含む各事業年度において、その半導体生産用資産により生産された半導体のうちその事業年度の対象期間において販売されたものの数量等に応じた金額とその半導体生産用資産及びこれとともにその半導体の生産をするために直接又は間接に使用する減価償却資産に対して投資した金額の合計額(その半導体生産用資産について既に本措置により調整前法人税額から控除された金額及び繰越控除の対象となった金額を除く。)とのうちいずれか少ない金額の税額控除ができる措置
なお、控除を受ける金額は、デジタルトランスフォーメーション投資促進税制及びカーボンニュートラルに向けた投資促進税制の税額控除と合計して当期の調整前法人税額の20%を上限とし、税額控除限度超過額は3年間の繰越しができることとされた。
ロ 青色申告書を提出する法人で産競法等改正法の施行の日から令和9年3月31日までの間にされた産業競争力強化法の認定に係る認定事業適応事業者であるものが、その認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に記載された産業競争力基盤強化商品(半導体を除く。以下「特定産業競争力基盤強化商品」という。)の生産をするための設備の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る機械その他の減価償却資産(以下「特定商品生産用資産」という。)の取得等をして、その法人の事業の用に供したときは、その事業の用に供した日からその認定の日以後10年を経過する日までの期間(ロにおいて「対象期間」という。)内の日を含む各事業年度において、その特定商品生産用資産により生産された特定産業競争力基盤強化商品のうちその事業年度の対象期間において販売されたものの数量等に応じた金額とその特定商品生産用資産及びこれとともにその特定産業競争力基盤強化商品の生産をするために直接又は間接に使用する減価償却資産に対して投資した金額の合計額(その特定商品生産用資産について既に本措置により調整前法人税額から控除された金額及び繰越控除の対象となった金額を除く。)とのうちいずれか少ない金額の税額控除ができる措置
なお、控除を受ける金額は、デジタルトランスフォーメーション投資促進税制及びカーボンニュートラルに向けた投資促進税制の税額控除並びに上記イの措置と合計して当期の調整前法人税額の40%を上限とし、税額控除限度超過額は4年間の繰越しができることとされた。
(9)法人税の額から控除される特別控除額の特例における特定税額控除制度の不適用措置について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和9年3月31日まで3年延長された。
① 継続雇用者給与等支給額に係る上乗せ要件の対象となる場合に、次のいずれにも該当する場合が追加された。
イ 当該事業年度終了の時においてその法人の常時使用する従業員の数が2,000人を超える場合
ロ 当該事業年度が設立事業年度及び合併等事業年度のいずれにも該当しない場合であって当該事業年度の前事業年度の所得の金額が0を超える一定の場合又は当該事業年度が設立事業年度若しくは合併等事業年度に該当する場合
② 国内設備投資額に係る要件について、次のいずれにも該当する場合又は上記①イ及びロのいずれにも該当する場合には、国内設備投資額が当期償却費総額の40%(改正前:30%)相当額を超えることとされた。
イ 当該事業年度終了の時において、その法人の資本金の額又は出資金の額が10億円以上であり、かつ、その法人の常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合
ロ 当該事業年度が設立事業年度及び合併等事業年度のいずれにも該当しない場合であって当該事業年度の前事業年度の所得の金額が0を超える一定の場合又は当該事業年度が設立事業年度若しくは合併等事業年度に該当する場合
③ 継続雇用者給与等支給額に係る要件の判定上、継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額の算定に際し、給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額のうち役務の提供の対価として支払を受ける金額は、給与等の支給額から控除しないこととされた。
(10)通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額の特例について、特例の対象に創設された一定の税額控除規定等が追加された。
2 特別償却関係
(1)環境負荷低減事業活動用資産等の特別償却制度のうち基盤確立事業用資産に係る措置について、次の見直しが行われた上、制度の適用期限が令和8年3月31日まで2年延長された。
① 基盤確立事業用資産の適合基準に、専ら化学的に合成された肥料又は農薬に代替する生産資材を生産するために用いられる機械等及びその機械等と一体的に整備された建物等であることについて基盤確立事業実施計画に係る認定の際、確認が行われたものであることが追加された。
② 法人が、その取得等をした機械等につき本措置の適用を受ける場合には、その機械等につき本措置の適用を受ける事業年度の確定申告書等にその機械等が基盤確立事業用資産に該当するものであることを証する書類を添付しなければならないこととされた。
(2)青色申告書を提出する法人でスマート農業法の認定生産方式革新事業者であるものが、同法の施行の日から令和9年3月31日までの間に、その認定生産方式革新事業者として行う生産方式革新事業活動の用に供するための認定生産方式革新実施計画に記載された設備等を構成する機械その他の減価償却資産のうち農作業の効率化等を通じた農業の生産性の向上に著しく資する一定のもの等(以下「生産方式革新事業活動用資産等」という。)の取得等をして、これをその法人のその生産方式革新事業活動等の用に供した場合には、その用に供した日を含む事業年度において、その生産方式革新事業活動用資産等の区分に応じ次の特別償却限度額の特別償却ができる制度が創設された。
① 認定生産方式革新実施計画に記載された生産方式革新事業活動の用に供する設備等を構成する機械装置、器具備品、建物等及び構築物……その取得価額の32%(建物等及び構築物については、16%)相当額
② 認定生産方式革新実施計画に記載された促進措置の用に供する設備等を構成する機械装置……その取得価額の25%相当額
(3)特定地域における工業用機械等の特別償却制度について、次の見直しが行われた。
① 過疎地域等に係る措置の適用期限が令和9年3月31日まで3年延長された。
② 奄美群島に係る措置は、その適用期限(令和6年3月31日)の到来をもって廃止された。
(4)事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却制度は、廃止された。
(5)輸出事業用資産の割増償却制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和8年3月31日まで2年延長された。
① 対象資産から、開発研究の用に供される資産が除外された。
② 農林水産物等の生産の合理化等に関する要件のうち一定の交付金の交付を受けた資産でないこととの要件の見直しが行われた。
(6)倉庫用建物等の割増償却制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和8年3月31日まで2年延長された。
① 対象資産について、次の見直しが行われた。
イ 到着時刻表示装置を有する倉庫用の建物等及び構築物について、貨物自動車運送事業者から到着時刻管理システムを通じて提供された貨物の搬入及び搬出をする数量に関する情報その他の情報を表示できる到着時刻表示装置を有するものに限ることとされた。
ロ 対象資産から、特定搬出用自動運搬装置を有する貯蔵槽倉庫(到着時刻表示装置を有するものを除く。)用の建物等及び構築物が除外された。
② 本制度の適用を受けることができる事業年度について、供用日以後5年以内の日を含む各事業年度のうちその適用を受けようとする倉庫用建物等が流通業務の省力化に特に資するものとして一定の要件を満たす特定流通業務施設であることにつき証明がされた事業年度に限ることとされた。
(7)特別償却等に関する複数の規定の不適用措置について、法人の有する減価償却資産につき当該事業年度前の各事業年度において租税特別措置法の規定による特別償却又は税額控除制度に係る規定のうちいずれか一の規定の適用を受けた場合には、その減価償却資産については、そのいずれか一の規定以外の租税特別措置法の規定による特別償却又は税額控除制度に係る規定は、適用しないこととされた。
3 準備金等関係
(1)海外投資等損失準備金制度について、対象となる株式等から独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法の規定による助成金の交付を受けた内国法人がその助成金をもって取得するその助成金の交付の目的に適合した株式等が除外された上、その適用期限が令和8年3月31日まで2年延長された。
(2)中小企業事業再編投資損失準備金制度について、次の見直しが行われた。
① 青色申告書を提出する法人で産競法等改正法の施行の日から令和9年3月31日までの間に産業競争力強化法の特別事業再編計画について認定を受けた同法の認定特別事業再編事業者である法人が、各事業年度においてその認定に係る特別事業再編計画に従って行う特別事業再編のための措置(他の会社の株式又は持分の取得で一定のものに限る。)として他の法人の株式又は出資(以下「株式等」という。)の取得(購入による取得に限る。)をし、かつ、これをその取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している場合(その取得をした株式等(以下「特定株式等」という。)の取得価額が100億円を超える金額又は1億円に満たない金額である場合及び同日においてその措置に基因し、又は関連する損害を填補するための特定保険契約を締結している場合を除く。)において、その特定株式等の価格の低落による損失に備えるため、その特定株式等の取得価額に、次の特定株式等の区分に応じそれぞれ次の割合を乗じて計算した金額以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額を損金の額に算入することができる措置が追加された。
イ その認定特別事業再編計画に従って行う最初の特別事業再編のための措置として取得をした株式等……90%
ロ 上記イ以外の株式等……100%
なお、この準備金は、各事業年度終了の日において前事業年度から繰り越された金額のうち積立事業年度終了の日の翌日から10年を経過したものがある場合には、その各事業年度において、積立金額の5年均等額を益金の額に算入することとされた。
② 経営力向上計画に係る措置について、次の見直しが行われた上、経営力向上計画の認定の期限が令和9年3月31日まで3年延長された。
イ 事業承継等による株式等の取得の日を含む事業年度終了の日において、その事業承継等に基因し、又は関連する損害を填補する特定保険契約を締結している場合には、その株式等に係る中小企業事業再編投資損失準備金の積立額を損金算入できないこととされた。
ロ 中小企業事業再編投資損失準備金を積み立てている法人が、特定保険契約を締結した場合で、その特定保険契約に係る事業承継等として他の法人の株式等の取得をしていた場合には、その締結した日における当該他の法人に係る中小企業事業再編投資損失準備金の金額は、その日を含む事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することとされた。
4 土地税制関係
(1)収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等について、適用対象に次の場合が加えられた。
① 土地収用法に規定する事業の施行者が行うその事業の施行に伴う漁港水面施設運営権の消滅により、補償金を取得する場合
② 漁港管理者が漁港及び漁場の整備等に関する法律の規定に基づき行う漁港水面施設運営権を取り消す処分に伴う資産の消滅等によって補償金を取得する場合
(2)特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度について、次の見直しが行われた。
① 適用対象となる場合に、古都保存法又は都市緑地法の規定により対象土地が都市緑化支援機構に買い取られる一定の場合が追加された。
② 適用対象となる古都保存法、都市緑地法等の買取請求に基づき地方公共団体等に土地等が買い取られる場合に係る措置について、都市緑地法の規定により土地等が緑地保全・緑化推進法人に買い取られる場合に係る措置が除外された。
(3)特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度のうち一団の宅地の造成に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合に係る措置の適用期限が、令和8年12月31日まで3年延長された。
5 その他の特別措置関係
(1)青色申告書を提出する法人が、令和7年4月1日から令和14年3月31日までの間に開始する各事業年度において、特許権譲渡等取引を行った場合に、特許権譲渡等取引に係る所得の金額に研究開発費割合を乗じて計算した金額の30%相当額を、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができる制度が創設された。
(2)国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例について、所得控除割合が18%(改正前:20%)に引き下げられたほか、対象事業の見直しが行われた上、内国法人の指定期限が2年延長された。
(3)交際費等の損金不算入制度について、交際費等の範囲から除外される飲食費が1人当たり1万円以下(改正前:5,000円以下)とされた上、制度の適用期限が令和9年3月31日まで3年延長された。
(4)技術研究組合の所得の計算の特例について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和9年3月31日まで3年延長された。
① 対象となる試験研究用資産について、新たな知見を得るため又は利用可能な知見の新たな応用を考案するために行う試験研究の用に直接供する固定資産に限定された。
② 対象となる試験研究用資産から、電気ガス供給施設利用権が除外された。
(5)特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例のうち独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済事業に係る措置について、法人の締結していた共済契約につき解除があった後共済契約を締結したその法人がその解除の日から同日以後2年を経過する日までの間にその共済契約について支出する掛金については、本特例を適用しないこととされた。
(6)中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置の適用期限が、令和8年3月31日まで2年延長された。
(7)特定事業活動として特別新事業開拓事業者の株式の取得をした場合の課税の特例の適用期限が、令和8年3月31日まで2年延長された。
(8)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象法人から電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により法人税の確定申告書等に記載すべきものとされる事項を提供しなければならない法人のうち常時使用する従業員の数が300人を超えるものが除外された上、その適用期限が令和8年3月31日まで2年延長された。
(9)投資法人に係る課税の特例について、配当等の額の支払額が配当可能利益の額の90%相当額を超えていることとする要件における配当可能利益の額の計算上税引前当期純利益金額から控除することとされる繰越利益等超過純資産控除項目額の計算の基礎となる純資産控除項目額から、貸借対照表において評価・換算差額等に区分された金額が除外された。
(10)特定の協同組合等の法人税率の特例について、物品供給事業における物品の範囲に電気が含まれることが明確化された。
(11)認定株式分配に係る課税の特例について、認定株式分配が適格株式分配に該当するための要件にその認定株式分配に係る完全子法人の主要な事業における事業活動が新事業活動であることとの要件が追加された上、事業再編計画の認定期限が令和10年3月31日まで4年延長された。
6 震災税特法関係
(1)特定復興産業集積区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、その適用期限が令和8年3月31日まで2年延長された上、令和7年4月1日から令和8年3月31日までの間に取得等をした特定機械装置等の特別償却限度額及び税額控除割合が、次のとおりとされた。
① 特別償却限度額……その取得価額の45%(建物等及び構築物については、23%)相当額(改正前:その取得価額の50%(建物等及び構築物については、25%)相当額)
② 税額控除割合……14%(建物等及び構築物については、7%)(改正前:15%(建物等及び構築物については、8%))
(2)特定復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度について、法人指定の期限が令和8年3月31日まで2年延長された上、令和7年4月1日から令和8年3月31日までの間に認定地方公共団体の指定を受けた法人がその認定地方公共団体の作成したその認定を受けた復興推進計画に定められた特定復興産業集積区域内に所在する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等に対して支給する給与等の額の税額控除割合が、9%(改正前:10%)とされた。
(3)特定復興産業集積区域における開発研究用資産の特別償却等制度について、その適用期限が令和8年3月31日まで2年延長された上、令和7年4月1日から令和8年3月31日までの間に取得等をした開発研究用資産の特別償却限度額が、その取得価額の30%(その法人が中小企業者等である場合には、45%)相当額(改正前:その取得価額の34%(その法人が中小企業者等である場合には、50%)相当額)とされた。
(4)再投資等準備金制度は、法人指定の期限(令和6年3月31日)の到来をもって廃止された。
(5)再投資設備等の特別償却制度は、上記(4)の再投資等準備金制度の廃止に併せて廃止された。
(6)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例は、適用期限(令和6年3月31日)の到来をもって廃止された。
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