税務ニュース2024年08月02日 更正等期間延長の対象となる情報交換は(2024年8月5日号・№1038) 要請に基づく情報交換のみ、自発的・自動的情報交換は想定されず
経済のグローバル化に伴い、近年、課税当局は国外取引等を注視している。こうした中、令和2年税制改正では国外取引等の課税に係る更正・決定等の期間制限に関する特例(通則法71①四)が導入されたところだ。同特例により、(1)課税当局が60日を超えない範囲で期限を定めて納税者に国外取引・国外財産に関する書類の提出等を求めたにもかかわらず提出がなかった場合に、(2)租税条約等の規定に基づき条約等相手国等にその国外取引・国外財産に関する情報の提供を要請し、相手国等から提供があつた情報に照らし非違があると認められるときは、その要請に係る書面が発せられた日から3年間、更正・決定等の期間が延長されることとなる(以下「国外取引更正等特例」)。国外取引更正等特例が適用されるには、「租税条約等の規定に基づく情報の提供の要請」が行われることが要件となるが、通常この要請は「情報交換」によることが想定される。情報交換には主に「要請に基づく情報交換」「自発的情報交換」「自動的情報交換」の3種類が存在するが、本誌が課税当局に取材したところ、国外取引更正等特例が想定している情報交換は「要請に基づく情報交換のみ」であり、「自発的情報交換及び自動的情報交換は想定し難い」との見解であることが確認された。
また、国外取引更正等特例が適用された場合、情報交換要請の対象とされた国外取引・国外財産に関する部分とは関係のない他の取引分についても延長対象とされるのか、という疑問が生じる。この点、本誌の取材によると、課税当局は「通則法通達(国税の調査)9−2の考え方に基づくことになる」との見解を示している。課税当局が挙げた同通達では、「相手国等から提供があった情報から非違があると直接的に認められる場合のみならず、その情報が直接的に非違に結びつかない場合であっても、その情報とそれ以外の情報とを総合勘案した結果として非違があると合理的に推認される場合も含まれる」とされている。個別の事情ごとの判断になるのだろうが、更正・決定の期限が延長されるのは、必ずしも情報交換の対象となった国外取引・国外財産だけとは限らないということに留意したい。
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