会社法ニュース2024年09月13日 共同で議決権行使、大量保有報告に違反(2024年9月16日号・№1043) 証券監視委、サカイHD株式の大量保有報告書不提出で課徴金勧告
証券取引等監視委員会は9月10日、サカイホールディングス(東証スタンダード市場)株式に係る大量保有報告書等の不提出及び変更報告書の虚偽記載を行ったとして、株式会社サカイ(非上場)及び株式会社サンワ(非上場)の2者に対し課徴金を課すよう内閣総理大臣及び金融庁長官に勧告した。課徴金はそれぞれ10万円となる(大量保有報告書等の不提出の場合の課徴金額は株券等の発行者の時価総額の10万分の1の額)。証券取引等監視委員会が大量保有報告書等の不提出等で課徴金勧告をしたのは、6月の三ッ星株式に係る大量保有報告書等の不提出に続き3件目となる。
証券取引等監視委員会が令和5年1月27日に公表した中期活動方針では、「市場の公正性を脅かしかねない非定型・新類型の事案等(例えば、潜脱的な大量保有・買付け、新たな類型の偽計等)についても、積極的に対応します」としており、今回の課徴金勧告はこの中期活動方針に沿った対応であるとしている。
大量保有報告制度では、法人・個人にかかわらず、①上場会社の株券等の保有割合が5%を超えた場合、②その割合が1%以上増減するなどした場合には、該当した日から5日以内に「大量保有報告書」「変更報告書」を提出しなければならないとされている。株券等の保有割合の計算にあたっては、共同保有者の保有株券等の数も加算することとされており、本件では、サカイとサンワはサカイHDの令和4年12月株主総会において株主提案(取締役の選任)を行うこと及びその賛成について、共同して株主としての議決権を行使することを合意していたと認定。違反行為者がそれぞれ共同保有者であることを認定した初めての事案となっている。
金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」の議論では、大量保有報告書等の不提出等の違反の件数に比べて課徴金納付命令の発出件数が少なすぎるとの意見を踏まえ、報告書には、「まずは大量保有報告制度違反に対する当局の対応を強化していくことが重要である」と明記されている。前述の証券取引等監視委員会の中期活動方針と相まって、課徴金勧告は増えていくことが予想される。
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