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会社法ニュース2024年10月25日 スコープ3が誤りも虚偽記載の責任なし(2024年10月28日号・№1048) 海外サステナ情報の臨報提出は本邦開示していない企業が対象

  • スコープ3排出量に関する定量情報が事後的に誤りであることが発覚しても、虚偽記載等の責任は負わず。開示ガイドラインを改正へ。
  • 企業がサステナビリティ情報の開示を海外に向けて行った場合は、有価証券報告書において本邦のサステナビリティ開示基準に準拠した開示を行っていない企業のみ、臨時報告書で開示へ。

 金融審議会に設置された「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(座長:神作裕之学習院大学大学院法務研究科教授)の4回目の会合が10月10日に開催され、サステナビリティ開示基準の開示方法などについて検討が行われた。
 初めてサステナビリティ開示基準に準拠した開示を行う場合には二段階開示によることを認めるとしているが、一段階目の開示は前回のWGの提案(本誌1034号参照)を変更し、現行の開示規制に基づく開示事項(有価証券報告書において、2023年3月期から開始しているサステナビリティ情報の開示)とし、二段階目の開示は、訂正報告書においてサステナビリティ開示基準に準拠した開示を一括で行うことが提案されている。訂正報告書による二段階目の開示は、半期報告書の提出期限までに行うこととしている。
 この二段階開示の方法については、多くのWGのメンバーからおおむね賛同が得られている。ただし、二段階目の開示を有価証券報告書の訂正によることとしている点については、企業側からすると、訂正報告書を提出することはかなり抵抗感が強いことから、半期報告書や臨時報告書との選択適用を認めてほしいとの意見がでている。
 また、前回のWGでは、企業が欧州CSRD等の海外制度に基づくサステナビリティ情報の開示を海外に向けて行った場合において、日本の投資家に対して臨時報告書で開示することが提案され、強い反対意見が寄せられていたが、今回は、有価証券報告書において本邦のサステナビリティ開示基準に準拠した開示を行っていない企業を対象に、CSRD等の連結ベースでの開示を求める海外のサステナビリティ開示基準に基づく開示を行った場合に限り、臨時報告書を提出することとされた。臨時報告書の開示事項としては、①海外のサステナビリティ開示基準に基づいた開示を行った旨、②開示を行っている場所(リンク先等)、③保証を受けている場合にはその旨、④保証業務提供者の名称とされている。
 今回の提案についてはおおむね賛同が得られているが、一部からは臨時報告書ではなく、自社のホームページで開示すればよいとの意見もあった。
 スコープ3排出量の開示では、会社のバリュー・チェーンの上流及び下流の主体から提供されたデータなど、企業の統制の及ばない第三者から取得した情報や見積りによる情報の開示が求められている。
 この点、企業側からすると、スコープ3排出量に関する定量情報が事後的に誤りであることが発覚し、虚偽記載等の責任を負うことになる可能性があると、情報開示に二の足を踏んでしまうことになる。このため、①統制の及ばない第三者から取得した情報を利用することの適切性や、見積りの合理性について会社内部で適切な検討が行われたことが説明されている場合であって、②その開示の内容が一般的に合理的と考えられる範囲のものである場合には、虚偽記載等の責任を負わないことにするよう、開示ガイドラインを改正することとしており、この点もおおむね賛同が得られている。
 そのほか、サステナビリティ開示基準は、2027年3月期から時価総額3兆円以上、2028年3月期からは時価総額1兆円以上、2029年3月期から時価総額5,000億円以上のプライム上場企業を対象に適用することとなっているが、保証制度に関しては、それぞれ開示基準の適用義務化の翌年度に導入する方向性が示された。この場合でも一定期間はスコープ1、2のみに限定することが提案されている。スコープ3を除外している点については、最初から保証制度の範囲に加えるべきとの意見もあった。
 保証業務実施者については、監査法人だけでなく、その他の保証業務提供者も対象として想定している旨が説明された。保証業務実施者は、新たな制度の下で登録を受けることが必要となるが、保証制度導入後一定期間は仮登録で運用するとしている。また、保証水準については、限定的保証とし、今後、実務の状況や海外の動向等を踏まえ、合理的保証への移行の可否について検討するとしている。
 なお、保証制度に関しては、今回はあくまでも方向性であり、次回以降のWGで詳細について検討が行われる予定だ。

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