税務ニュース2024年11月01日 税理士間の業務委託にコンプラリスク(2024年11月4日号・№1049) 委託側は税理士法、受託側は税理士会規則に抵触する可能性
「税理士制度のQ&A」という文書が国税庁ウェブサイトに掲載されているが、この問3−4には「開業税理士は、他の税理士又は税理士法人の補助者として税理士業務を行うことはできません」との回答が示されている。同問の解説では、開業税理士が他の税理士の事務所で補助者として税理士業務に従事するのであれば、税理士登録を開業税理士から所属税理士に変更するか、又は、納税者等から直接の委嘱(共同代理)若しくは特別の委任(個別的な委任)を受ける必要があるとされている。同問で触れられていないのが、税理士が自己の顧客に関する税理士業務を他の開業税理士に委託をするケースだ。例えば、税理士事務所に勤務していた税理士が退職して独立開業した場合、前勤務先からの委託を受けて、退職後も引き続き前勤務時代の顧問先を担当することがある。この場合、税理士間では業務委託契約を締結する一方、受託側開業税理士と委託側税理士の顧問先との間では特段契約は締結しないのが一般的となっているが、非税理士への委託ではなく税理士間の業務委託なので問題ないのではないかと考える税理士も少なくないだろう。しかし、国税庁ウェブサイトに上記問3−4のような見解が示されているため、税理士間で業務委託を行うことを懸念する声も聞かれる。そこで本誌が課税当局に取材したところ、税理士間での業務委託では、委託側税理士は税理士法38条の守秘義務に抵触するリスクがあり、受託側開業税理士は税理士会規則における「会員は、委嘱者から直接業務委嘱を受けなければならない」との規定(税理士会綱紀規則10条2項)に抵触するリスクがあるという見解を持っていることが確認された。税理士間の業務委託であっても税理士法上問題なしとはいえない、というわけだ。ただし、税理士が自己の知識を増やすために特定分野に明るい他の税理士に助言を求めるケースなどは、「税理士業務ではなく自己研鑽」であれば、原則として税理士法に抵触するリスクは低いという。とはいえ、前述の課税当局の見解を考慮すれば、この場合にも守秘義務について配慮する必要はあろう。
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