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解説記事2024年12月16日 最新判決研究 評価通達6項の存在意義と適用要件(2024年12月16日号・№1055)

最新判決研究
評価通達6項の存在意義と適用要件

東京高裁令和6年8月28日判決(令和6年(行コ)第36号)
東京地裁令和6年1月18日判決(令和3年(行ウ)第22号)

 筑波大学名誉教授・弁護士・税理士 品川芳宣

一、事実

(1)被相続人Tは、薬局の経営、医薬品の製造・販売等を業とするO社(昭和55年5月12日設立、株式会社、従業員数393人)の代表取締役を務め、О社株式総数6万株のうち2万1400株(以下「本件株式」という。)を有していたが、平成26年6月11日(以下「本件相続開始日」という。)死亡した。相続人は、Tの妻M、Tの子X1(原告、被控訴人)及びX2(原告、被控訴人)(以下X1及びX2を「Xら」という。)であり、本件株式をMが1万700株、X1及びX2がそれぞれ5350株相続することにした。M及びXらは、平成27年2月27日、本件株式の価額を財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)180に定める類似業種比準価額により1株当たり8186円(総額1億7518万円余)として、相続税の申告をした。
 これに対し、処分行政庁は、平成30年8月7日、評価通達6を適用し、K社が作成した平成30年2月28日付の株式価値算定報告書(以下「本件算定報告書」という。)に基づき、本件株式の価額を1株当たり8万373円(総額17億2000万円)として、更正等(以下「本件各更正等」という。)をした。Xらは、国(被告、控訴人)に対し、本件各更正等を不服として、前審手続を経て本訴を提起した。
(2)本件株式を含むO社株式をめぐる本件相続開始日前後の取引の動きは、次のとおりである。
① 平成26年1月16日 Tは、医薬品卸売業を主な事業内容とするV社との間で、O社株式をV社に対して売却・資本提携等を前提とする協議を進めるに当たり、相互の秘密保持契約を締結した。
② 平成26年2月28日 Tは、O社の売却・資本提携等に関して、M銀行との間で、M&A等のアドバイスに係る契約を締結した。
③ 平成26年5月29日 Tは、V社との間で、O社株式の全部を取りまとめ又は買い集めた上で、V社に譲渡するものとし、その譲渡価額は63億408万円(1株当たり10万5068円)(以下「譲渡予定価格」という。)とする基本合意(以下「本件基本合意」という。)を締結し、本件基本合意は当事者を法的に拘束するものではないとした(当時、O社株式については、Tが所有する本件株式のほか、Mが1万3000株、Xらがそれぞれ3600株、X1の夫と子が合計800株、O社の他の取締役らが合計1万760株所有していた。)。
④ 平成26年6月18日 Tの死亡(同年6月11日)に伴い、O社の取締役会が開かれ、MがO社の代表取締役となり、TとV社との間で進められていたO社株式の売却プロセスを進めることになった。
⑤ 平成26年7月8日 Tの死亡(同年6月1日)に伴い、О社の取締役会において、M以外の全株主が所有するО社株式について平成26年7月14日を譲渡予定日としてМに譲渡すること及びこの株式譲渡が実行されることを前提にМがО社株式6万株を同日を譲渡予定日としてV社に譲渡することが承認された。また、M及びV社は、MがV社に対し、譲渡日を平成26年7月14日とし、MがV社に対しO社株式6万株を譲渡価格63億408万円(1株当たり10万5068円)(以下「本件売却価格」という。)で譲渡する契約(以下「本件株式譲渡契約」という。)を締結した。
⑥ 平成26年7月14日 本件株式譲渡契約に係る代金決済が行われ、MはO社株式6万株をV社に譲渡した。

二、争点及び当事者の主張

1 争  点
 本件の争点は、次のとおりである。
① 本件株式を評価通達6により評価することの適否
② 評価通達6に基づき評価した本件株式の価額の適否
③ 過少申告加算税の賦課における「正当な理由」の存否(この争点については、一審判決及び控訴審判決とも、本件更正を違法とし、過少申告加算税の賦課決定を審理する必要がなくなったので、以下記述を省略する。)

2 国の主張
(1)時価の評価は評価通達に定められた評価方法によるべきであるとする趣旨が、租税負担の実質的な公平の実現にあることからすれば、実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかな場合には、別の評価方法によることが許されるものと解すべきである。このことは、評価通達6において定められていることからも明らかである。
(2)最高裁判所令和4年4月19日第三小法廷判決・民集76巻4号411頁(以下「最高裁令和4年判決」という。)は、相続財産の価額について、評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、当該財産の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとする合理的な理由があるとして、平等原則に違反しないとの一般的な判断枠組みを示したものと解されるが、「実質的な租税負担の公平に反するというべき事情」の有無を判断するに当たって考慮すべき要素については一般的に示しておらず、被相続人の行為により課税価格及び相続税額が大きく減少したこと、租税負担の軽減を意図して当該行為をしたことを必須の要素としたとは判示していない。
(3)本件相続開始日において明示されていた譲渡予定価格は、独立した当事者間において金融機関等による一定の客観性ある意見も踏まえ、慎重に時間をかけて形成されて合意された価格である。そうすると、本件株式は、形式的には取引相場のない株式であるものの、本件相続開始日において、既に当事者間において合意された取引価格が存在し、当該取引価格が売買当事者間の主観的事情を離れた当該株式の客観的交換価値を反映したものと認められることから、本件相続開始日における本件株式の状況は、取引相場のない株式に係る評価通達の趣旨に当てはまらず、評価通達が本来的に想定していない状況といえる。
(4)本件算定報告書は、公認会計士が一般的な株主価値の算定方法であるDCF法、株価倍率法及び取引事例比較法に基づいて算定された本件相続開始日における本件株式の価額を算定したものである。

3 Xらの主張
(1)評価通達6の歯止めのない運用は、租税法律主義に反する。評価通達6は、元来、納税者を救済するために作られた通達であった。そもそも評価通達6を適用して納税者に不利な課税をすることは、憲法84条に明白に違反している。
(2)評価通達は、これに基づいて相続財産を評価することで課税の公平を図ろうとするものであるから、課税の予測可能性の確保や課税の公平性の観点からみると、納税者は、評価通達の定めに従って課税される権利があり、課税庁が評価通達の定めによらずに鑑定評価等で構成することは原則として許されず、評価通達による算定額と時価(通常価額)との間に、どんなにかい離があってもこれを否認することはできないのが原則である。最高裁令和4年判決も判示したとおり、評価通達による算定額と鑑定評価額との間の大きなかい離を納税者側が作出したことが評価通達6の適用要件であるが、本件相続に当たって、TもXらも本件通達評価額と本件算定報告額とのかい離を作出していないから、本件各更正は平等原則に違反する。
(3)株式の価値は、純資産の価値と自己創設のれんの価値を反映したものであるが、本件各更正等は、評価通達165に反し、DCF法を利用して本件相続株式の自己創設のれんを不当に高く評価した違法なものである。Xらは、本件株式の売却後に平成26年分の所得税の確定申告により本件株式の売却による利益については納税をしているから、のれんに課税をすることは二重課税となり許されない。
(4)相続開始前に取りまとめた本件基本合意は、最終契約に至る前の段階までに当事者間で合意した内容を確認するものであり、ここで合意された内容は、買収監査を経たものではなく、買収監査の結果やその後の交渉状況によっては、最終契約に至らない場合もあり、至らなくても当事者が法的責任を負うことはないから、最終契約である本件株式譲渡契約と同視することはできない。
(5)企業価値評価ガイドラインは、企業価値評価を実施するために準拠しなければならない基準やマニュアルではないし、株式価格の算定が課税目的に用いられることを念頭に置いていない。よって、本件算定報告書に基づく評価額は、適正ではない。

三、一審判決要旨

請求認容。
(1)最高裁令和4年判決は、実質的には、特段の事情がある場合に評価通達6を適用することを肯定しているものと解されるが、当該特段の事情としてどのようなものが挙げられるかについて一般論として明示はしておらず、被相続人側の租税回避目的による租税回避行為がない場合について直接判示したものとは解されない。
 本件においては、最高裁令和4年判決の事案とは異なり、本件被相続人及び本件相続人らが相続税その他の租税回避の目的でO社株式の売却を行った(又は行おうとした)とは認められない。そうすると、本件各更正等の適否は、本件相続開始日以前に本件通達評価額を大きく超える金額での売却予定があったO社株式について、実際に本件相続開始日直後に当該金額で予定どおりの売却ができ、その代金を本件相続人らが得たことをもって、この事実を評価しなければ、「(取引相場のない大会社の株式を相続しながら評価通達の定める方法による評価額を大幅に超えるこのような売却による利益を得ることができなかった)他の納税者とXらとの間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反する」(最高裁令和4年判決)といえるかどうかによって判断すべきこととなる。
(2)本件では、本件相続開始日直後に本件売却価格という評価通達の定める方法による評価額を大幅に上回る高値で本件株式を売却することができたという事情に加え、本件相続開始日以前からTがO社株式の売却の交渉をしており、かつ、その生前の段階でV社との間でその譲渡予定価格まで基本合意していたという事情が認められる。しかしながら、この場合であっても、最終的に本件株式の売却が成立し、本件相続人らが本件通達評価額を大幅に上回る代金を現に取得したという事情がなければ、およそ本件算定報告額をもって課税しなければ他の納税者との間に看過し難い不均衡が生ずるということはできない。しかも、本件基本合意が本件相続の後も本件相続人らとの間でそのまま存続するか否か自体、本件相続開始日においては不透明な状況であったといわざるを得ない。
(3)また、評価通達は、評価通達6が適用される場合を除き、公開株式のように個別性が低く客観的な価格が容易に算定され又は判明するような相続財産でない限り、不動産など個別の評価において、あらかじめ定められた一定の方法で算出された価格をもって当該相続財産の価格と評価することとしており、当該方法によって算定された価格ではなく、相続開始後に行われた当該財産の具体的な取引価格を参照したり、類似の取引事例を考慮して当該財産を評価したりする方法は採用していない。仮に、課税庁が相続開始後の取引といった個別事情を考慮するとなれば、相続開始日と売却時期がどの程度接近していれば当該売却の事実を考慮するのか、評価通達の定める方法による評価額と売却価額の間にどの程度の差があれば評価通達6に基づく個別評価をするか、個別評価をするとしてどのように評価するかといった点が問題になるところ、これらについての基準はなく、課税庁が個別的にその適否を判断することにならざるを得ない。しかしながら、そのようなこと自体、課税庁による恣意的判断が介入したり、他の事例との間で不合理な差異が生じたりする余地があって、評価通達の趣旨や平等原則の要請に反するというべきであり、適用の有無やその具体的方法の差異について、納税者間に不均衡又は不利益が生ずる可能性を否定することができない。

四、控訴審要旨

控訴棄却(請求認容)。
(1)当裁判所の判断は、次のとおり補正するほか、原判決に記載のとおりであるから、これを引用する。
(2)国は、本件において評価通達6を適用すべき根拠として、本件株式につき、本件通達評価額と本件相続開始日における交換価値との間に著しいかい離があり、Xらがそのことを十分に認識することは可能であった旨主張する。
 しかし、取引相場のない株式の交換価値は、本来、専門的評価を経ない限り判明し得ないものであって、(現に、国は、K社に評価を委託している。)、外形的事実によって取引相場のない株式の交換価値を合理的に推測することが可能であるとは必ずしもいえない。とりわけ、M&Aが行われる場合においては、高度な経営判断や双方の交渉の結果等により株式の売買代金が決定されるのであって、売買代金が交換価値を反映しているとは限らないというべきである。
 このことは、結果的に、専門的評価により交換価値と評価通達180に定める類似業種比準価額とのかい離の程度が著しいと判定された場合においても変わらないのであって、本件株式について、譲渡予定価格(10万5068円)と本件算定報告額(8万0373円)が比較的近く、これらが本件通達評価額(8186円)と大きくかい離しているからといって、更正処分の時点にさかのぼって、譲渡予定価格が交換価値を反映したものであるとして、評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情(特段の事情)が存在していたということにはならない。
 そして、評価通達6の適用に当たり、上記かい離の有無を公平に判断するためには、他の相続案件も含め、取引相場のない株式その他市場性のない相続財産の全てについて、専門的評価を行うべきであって、合理的な理由がないのに、特定の相続財産のみについて専門的評価を行い、これを基にして課税処分を行うことは、平等原則に反するものというべきである。
(3)国は、取引相場のない株式について、売買契約が成立し、その所有権が買主に移転する前に、当該株式の所有者である売主が死亡した場合、売主の相続財産は売買代金債権になり、その価額は原則として売買代金額で評価される(最高裁昭和61年12月5日第二小法廷判決・訟務月報33巻8号2149頁(以下「最高裁昭和61年判決」という。)参照)とした上で、相続開始時に売買契約成立に至っていなかったとしても、近い将来売買契約が成立し、売買代金債権に転化する蓋然性が高い場合には、当該株式の価値が現実的に実現する蓋然性が高いものとして、当該株式の価値としては、その売買代金相当額が一つの基準になり得るところであるとも主張する。
 しかし、上記最高裁判決は、農地の売買契約が成立し、代金の相当部分の履行があったという場合において、農地法所定の要件が具備される前であっても、相続財産は売買残代金債権である旨判断したものであって、本件のように、売買契約が未だ成立していない場合とは明らかに状況を異にするというべきである。すなわち、売買契約が成立していない状況において上記のような蓋然性を判断するためには、中間合意の存在・内容、想定される売買契約の内容、契約を締結しようとした動機・目的、交渉経過、当事者の関係、契約締結前の仮の履行行為の有無・内容等、種々の事情を考慮する必要があり、信義則や権利濫用のような一般条項以外の場面でこのような不明確な基準によることは不適切であるといわざるを得ない。さらには、国は、当該株式の価値は売買代金相当額に反映されていると主張するもののようであるが、そのこと自体、専門家による判定を経ない限り明らかであるとはいえないし、とりわけ、非上場会社の買収においては、上場会社と比較して個別性が強いため、買収価格が交換価値を反映しているという経験則が存すると直ちにいうこともできない。
 したがって、国の主張するような、近い将来における売買契約の成立及び売買代金債権への転嫁の蓋然性の程度を基準にすることは適切でない。
 なお、仮に、上記蓋然性の程度を基準とすることが許容されると解したとしても、本件相続開始日において、XらとV社との間で本件株式の売買契約が成立し、譲渡予定価格による売買代金債権に転化する蓋然性が高かったと認めることはできない。
(4)最高裁令和4年判決は、評価通達6の適用の有無に当たり、被相続人が、相続税の負担を減じ又は免れさせる行為をしたことを考慮しているところ、T及びXらによるこれに類する行為があったとは認め難い。
 すなわち、O社が設立されてから本件相続開始日まで、O社株式は、一貫して定款による譲渡制限のある株式であったのであり、また、O社株式の評価額を下げるような行為がされたことはうかがわれない。
 そして、譲渡予定価格が、その時点で相続が発生した場合における評価通達180による評価額を大きく上回るものであったことは、本件の経過に照らし明らかであるから、本件基本合意は、Tの生存中に売買契約が成立した場合、代金債権に転化し、又は代金が支払われることによって、相続税の負担を増大させる可能性を有するものであり、相続税の負担を減じ、又は免れさせるという効果は存しない。
 T又はXらが、相続税の負担を減じ、又は免れさせる行為をしたと認めることができない以上、T又はXらの行為に着目した場合に、他の納税者との関係で不公平であると判断する余地はない。
 他に、不公平が生じる要素として、同種の遺産を相続により取得した者との均衡が考えられるところ、取引相場のない株式を遺産として取得した者を比較の対象とした場合、当該遺産は、評価通達180の定める類似業種比準価額により評価することになるのであって、被控訴人らとの間で不公平が生じる余地はない。また、取引相場のある株式を相続により取得した者を比較の対象とした場合、遺産の種類が異なる以上、不公平が生じる余地はない。
 国は、本件売却価格が本件株式の客観的交換価値を反映したものであるとも主張するが、そのようなことは、相続開始時における交換価値について専門家による判定を行わない限り認定し得ないものであることは、前記説示のとおりであり、評価通達6を適用すべき特段の事情に該当するとはいえない。

五、解説

はじめに
 本件の各判決は、注目された最高裁令和4年判決後初めて評価通達6を適用した課税処分の適否を裁いたものであり、しかも、各判決とも、当該課税処分を違法として取り消したことで、大きな関心を呼んでいる。ただし、最高裁令和4年判決の事案が、評価通達上の評価額と取引価額の差額を利用した租税回避的な事案であるのに対し、本件の事案が、事業承継の一環としてのM&Aの最中に相続が発生したということで、別の観点から評価通達6の適用のあり方が注目されているものである。この場合、最高裁令和4年判決の射程の範囲をどう考えるかによって、その結論が異なることになる。
 ともあれ、最高裁令和4年判決以降、評価通達6の適用のあり方が種々議論され、誌(紙)上を賑わしているが、それらは、評価通達の法的性格なり評価通達6の存在意義を無視し、専ら最高裁令和4年判決と本件各判決等の文言の分析、検討に終始しているものが多い。それでは、事の本質に迫ることは難しいものと考えられる。
 そこで、本稿では、評価通達の法的性格と評価通達6の存在意義を明らかにし、最高裁令和4年判決以外の参考裁判例をも参照した上で、本件各判決の当否を評釈し、かつ、評価通達6の適用要件についても言及することとする。

1 税務通達の法的性格
(1)税務通達の法的根拠は、国家行政組織法14条2項にある。同項は、「各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。」と定めている。すなわち、国税庁長官が発する税務通達は、国税庁内部の職務命令として発出されるものであるから、当然、税務署長等は遵守義務を負うことになる(国家公務員法98①)。そして、当該命令に違反した場合には、懲戒処分の対象にもなる(同法82)。したがって、税務通達は、税務職員に対しては厳しい法的拘束力を有することになる。
 しかし、税務通達は、租税法律主義における法の存在形式である法源には該当しないから、納税者が、税務通達に法的に拘束されることはない。もっとも、それは、講学上の問題であって、納税者は、実務的には、税務通達に拘束され、あるいは依存することになる。すなわち、納税者は、税務通達が税務署長に対する強制力があるが故に、税務通達の取扱いに反した納税申告を行えばそれを否認する課税処分を受けるが故に、間接的拘束を受けることになる。また、納税者は、税務通達の取扱いが便宜で有利なことがあるので、それに依存することになる。更に、税理士が税務通達の取扱いを無視して納税申告等の代理を行い納税者に損害を与えると、当該税理士が損害賠償の責務を負うことになる。したがって、納税者にとっても、実質的に税務通達の取扱いに拘束されることとなり、税務通達の存在なくして、租税法律主義が保障する予測可能性も適わないことになる(注1)。
(2)前述のように、税務通達が税務署長等を厳しく拘束するが故に、税務通達の取扱いに反する課税処分が行われることは考え難いところであるが、争訟上、税務通達の取扱いに反した課税処分の効力がしばしば問題になることがある。税務通達の取扱いに反した課税処分の効力については、主として、信義則違反、平等原則違反、行政先例法違反等が問題となる。
 信義則違反については、税務通達が信義則の適用要件の一つである「公的見解の表示」に該当することになるので、他の要件を充足することになれば、当該課税処分は無効となる(注2)。平等原則違反については、納税者Aに対しては相続税法上の「時価」よりも評価通達が定める低額の路線価で相続財産を評価し、Bに対しては法律どおりの「時価」(客観的交換価値)で評価すれば、Bに対する評価が法律どおりであったとしても平等原則違反は免れないことになる。行政先例法については、未だ講学上の概念にとどまっている。
 もっとも、税務通達違反の問題については、税務通達の取扱いの中に、原則規定と例外規定があってその例外規定が適用されると、平等原則違反等が惹起されることもある。しかし、それは、税務通達の文理上の問題であって、厳密の意味での税務通達違反問題ではないはずである。特に、本件でも問題になっているように、評価通達6の取扱いについてその問題が惹起されることになるので、詳細は後述する。

2 評価通達の特殊性−評価通達6の存在意義−
(1)相続税法22条は、「相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価によ」ると定めている。この「時価」の意義については、学説、判例とも、「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」すなわち「客観的交換価値」であると解されている。このような時価概念については、所得税法及び法人税法においても、無償取引等における当該資産の「その時の価額」(所法36②、59①、法法37⑧等)の解釈を要するか、それらの解釈と共通している。
 それにもかかわらず、所得税法及び法人税法においては、「その時の価額」の解釈について、それぞれの基本通達において数箇条で済ましているにもかかわらず、相続税法においては、独立した評価通達の中で200数十箇条にのぼる定めを設けている。これは、相続(税)の偶発性、非取引性等の特殊性から要請され、かつ、相続等により取得した財産の全てに「時価」評価を要し、かつ、それが困難であること等から要請される。
(2)具体的には、評価通達1(2)が、「……時価とは、課税時期(〈略〉)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。」(編注=アンダーライン筆者)と定め、同通達2以下において、各財産の具体的な評価方法(評価額)を定めている。
 もっとも、このようにして定められた評価額は、当該相続財産等の課税時期前に予め定めておくが故に「標準価額」にほかならない。そのことは、宅地の評価における路線価方式(評基通13、14)を定める評価基準制度に代表される(注3)。このような評価基準制度の問題は、当該評価額が「標準価額」であるが故に、各納税者が実際に課税時期において取得した財産の「時価」(客観的交換価値)と乖離することがあり得ることである。例えば、路線価方式による評価額は、その年の1月1日現在の「時価」を定め、その1年間適用するのであるが、その1年間に時価が変動したら、各課税時期における「時価」と乖離することになる。その乖離が、租税法律主義上の合法性の原則(注4)において許容されないようであれば、何らかの措置が必要になるはずである。
(3)そのため、評価通達の中にも、特定の取引等により取得した財産の価額については、客観的交換価値が反映されるような個別の評価方法(評価額)による旨の個別的限定条項(評基通169(2)、185かっこ書等)を設けており、それで対処できないものについて、包括的限定条項を設けている。すなわち、包括的限定条項である評価通達6は、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」と定めている。このような規定については、合法性の原則の要請とはいえ、納税者側からすると、予測可能性や法的安定性が害されることになり、特定の納税者に適用されるが故に平等原則違反も惹起されることになる。そのため、評価通達6の廃止論も聞かれることになる。
 しかしながら、評価通達における評価基準制度と評価通達6は、前述のように、相続税法の執行においてセットとして定められているものであるから、評価通達6のみを廃止すべきとする見解には首肯し難いことになる。また、評価基準制度は、路線価方式一つとっても、納税者にも多大な便宜を与えており、評価通達が定める取引相場のない株式の評価方法は、所得税法及び法人税法の解釈にも準用されている(所基通59−6、法基通9−1−14等)。よってそれらの便宜性をそのままにして、評価通達6のみを廃止すべきとするのは、評価通達の存在それ自体を理解していないことになる。
 なお、評価通達6の存在は、合法性の原則から要請されるものであるから、必ずしも租税回避防止のためにのみ設けられているわけではない。

3 参考となる重要裁判例
 本件は、被相続人TがV社との間でM&Aの交渉においてO社株式の譲渡方法と譲渡価額について基本的合意が成立した段階で相続が開始したということで、最高裁令和4年判決の事案のような租税回避的な事案ではない。そこで、本件各判決の当否を判断するにあたって、最高裁令和4年判決と対比するのみではなく、従前に租税回避的事案でなくても評価通達6の適用が問題となった事案とも対比する必要がある。そこで、最高裁令和4年判決を含めた次の3例を参照する。
 ① 東京地裁昭和53年9月27日判決(税資102号551頁)、東京高裁昭和56年1月28日判決(行裁例集32巻1号106頁、以下「東京高裁昭和56年判決」という。)及び最高裁昭和61年判決(注5)
 この事件では、市街化農地の売買において、売主が、売買代金4539万円余のうち手付金600万円、内金1000万円を受領し、残代金の決済と所有権移転登記を予定していた1週間前に死亡し、相続が発生した場合に、相続人が、当該相続財産は当該市街化農地であり、その価額は路線価の2018万円余である旨申告したことに対し、当該市街化農地は売却済であり、相続財産は受領済の金員と残代金である旨の課税処分が行われ、当該課税処分の適否が争われた。前掲の東京地裁判決は、所有権が移転していないから相続財産は当該市街化農地であると認定し、当該課税処分を取り消した。
 これに対し、東京高裁昭和56年判決は、国側の主張に対応し、相続財産は当該市街化農地であると認定したものの、評価通達の定めによらないことを正当と是認されるような「特別の事情」がある場合には当該定めによらないことができ、それが評価通達6の制定趣旨であるとし、当該市街化農地については、売買されることが確実になっているという「特別の事情」が認められるから、当該価額は当該売買価額で評価できるとして、原判決を取り消した。この判決は、売買途上にある土地の価額について、裁判例上初めて「特別の事情」を容認した画期的なものであった(注6)。
 これに対し、最高裁昭和61年判決は、原判決の結論は維持したものの、当該相続財産は債権化していると認定して、原判決のような評価上の「特別の事情」を認めたわけではないが、当該市街化農地について評価通達が定める評価額を認めなかったことについては原判決と変りはない。
 ② 東京地裁平成17年10月12日判決(税資255号順号10156、以下「東京地裁平成17年判決」という。)(注7)
 この事件では、電子秤等の製造会社の経営者が、取引先である外国会社の経営者(少数株主)に対し、自社株式を1株当たり100円(評価通達上の配当還元価額は75円)で譲渡したところ、処分行政庁が、当該株式は取引銀行に対しては1株当たり793円から796円で譲渡していることを事由に、評価通達6を適用して、1株当たり794円とする課税処分(みなし贈与)をした場合に、当該課税処分の適否が争われた。前掲判決は、評価通達の定められた評価方法によらないことが正当と是認されるような「特別の事情」があれば、当該譲渡価額によって評価することは不当とはいえない旨判示したものの、本件における取引銀行に対する譲渡価額は融資等が条件とされているので客観性を備えたものでないから「特別の事情」は認められないとして、当該課税処分を取り消した。
 この判決は、評価通達6を適用した課税処分を初めて取り消したということで注目されたが、国も控訴しなかった。
 ③ 東京地裁令和元年8月27日判決(平成29年(行ウ)第539号)、東京高裁令和2年6月24日判決(令和元年(行コ)第239号)及び最高裁令和4年判決(注8)
 この事件では、札幌市居住の被相続人が、平成21年中に、杉並区及び川崎市所在の賃貸マンション等の不動産を総額13億8700万円で取得し(銀行から総額10億800万円借入れ)、平成24年6月に死亡して相続が発生し、相続人らが、当該不動産の価額を評価通達上の評価額3億3670万円余と評価して相続税の申告をしたのに対し、処分行政庁が、評価通達6を適用して、当該不動産の価額を不動産鑑定士の鑑定評価額12億7300万円とする課税処分を行った場合に、当該課税処分の適否が争われた。
 前掲の東京地裁判決及び東京高裁判決は、本件において従前の裁判例と同様に、「特別の事情」を認めて当該課税処分を適法と認めたが、最高裁令和4年判決は、原判決を適法と認めたものの、その理由付けについて「特別の事情」という用語を使用せず、次のように判示した。
 「国税庁が、特定の者の相続財産の価額についてのみ評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは、たとえ当該価額が客観的な交換価値としての時価を上回らないとしても、合理的な理由がない限り、上記の平等原則に違反するものとして違法というべきである。もっとも、上記に述べたところに照らせば、相続税の課税価格に算入される財産の価額について、評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、合理的な理由があると認められるから、当該財産の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが上記の平等原則に違反するものではないと解するのが相当である。
〈中略〉
 そうすると、本件各不動産の価額について評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことは、本件購入、借入れのような行為をせず、又はすることのできない他の納税者と上告人らとの間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきであるから、上記事情があるものということができる。」
 この最高裁判決は、評価通達上の画一的な評価額(標準価額)に対しての例外的評価(評価通達6の適用)をした場合に、「合理的な理由」があれば、平等原則違反を阻却するとし、「実質的な租税負担の公平に反するというべき事情」があれば、「合理的な理由」に該当するとし、当該事案の租税回避的行為は当該「事情」に該当すると判示したのであって、租税回避的行為以外のものが「実質的な租税負担の公平に反するというべき事情」に該当しないと判示しているわけではない。もっとも、最高裁判決は、前述した評価通達6の存在意義を十分に認識しているとも思われない。

4 本判決の要点と問題点
(1)本件では、前述のように、O社の代表取締役であったTが、平成26年1月頃から、V社との間で、O社株式の売却・資本提携等を協議し、同年5月29日、O社株式全部を取りまとめた上で、V社に譲渡することとし、譲渡価額1株当たり10万5068円とすることで合意(本件基本合意)したものの、同年6月11日に死亡し、相続人らが、本件基本合意を進めることとし、同年7月14日、本件基本合意どおりにO社株式を譲渡し、平成27年2月27日、本件株式の価額を評価通達上の評価額1株当たり8186円として相続税を申告したことに対し、処分行政庁が、評価通達6を適用して1株当たり8万393円とする本件各更正等を行い、当該処分の適否が争われた、というものである。
 一審判決は、前述のように、「本件相続人らが本件通達評価額を大幅に上回る代金を現に取得したという事情がなければ、およそ本件算定報告額をもって課税しなければ他の納税者との間に看過し難い不均衡が生ずるということはできない。」等と判示して、本件各更正等を取り消した。
(2)また、控訴審判決も、前述のように、原判決を引用しつつ、「評価通達6の適用に当たり、上記かい離の有無を公平に判断するためには、他の相続案件も含め、取引相場のない株式その他市場性のない相続財産の全てについて、専門的評価を行うべきであって、合理的な理由がないのに、特定の相続財産のみについて専門的評価を行い、これを基にして課税処分を行うことは、平等原則に反するものというべきである。」と判示し、国が主張する最高裁昭和61年判決との類似性については、「上記最高裁判決は、農地の売買契約が成立し、代金の相当部分の履行があったという場合において、農地法所定の要件が具備される前であっても、相続財産は売買残代金債権である旨判断したものであって、本件のように、売買契約が未だ成立していない場合とは明らかに状況を異にするというべきである。」と判示した上で、「最高裁令和4年判決は、評価通達6の適用の有無に当たり、被相続人が、相続税の負担を減じ又は免れさせる行為をしたことを考慮しているところ、T及びXらによるこれに類する行為があったとは認め難い。」として、Xらの請求を認容した。
(3)以上のように、本件の各判決とも、最高裁令和4年判決の内容とその射程を狭く解し、本件が当該射程外であることを強調しているのであるが、両判決とも、評価通達が評価基準制度を設けざるを得ない理由や評価通達6の存在意義が理解されていないものと思料されるところではある。例えば、一審判決は、「本件相続人らが本件通達評価額を大幅に上回る代金を現に取得したという事情」がなければ評価通達6は適用できない旨判示しているが、仮に、「代金を現に取得したという事情」があれば、それは、評価の問題ではなく相続財産の種類(株式から現金へ)の問題になるだけのことである。
 また、控訴審判決は、「評価通達6の適用に当たり、上記かい離の有無を公平に判断するためには、他の相続案件も含め、取引相場のない株式その他市場性のない相続財産の全てについて、専門的評価を行うべきであ」る旨判示しているが、それができれば、評価通達も評価基準制度もいらないことになる。
 ただし、控訴審判決は、国が主張する最高裁昭和61年判決の事案と本件との相違について、前者については売買契約が成立していたという代金回収の確実性が高いことをあげ、本件基本合意との相違を指摘しているが、それは、評価通達6適用の考慮要件の一つに該当するものと考えられる。そのため、国も上告を断念したものと考えられる。
 ともあれ、本件の各判決は、注目された最高裁令和4年判決後に、評価通達6を適用した課税処分を初めて取り消したということで注目されるものである。

5 評価通達6の適用要件
(1)前記2で述べたように、評価通達6の適用は、それが評価基準制度の下で必要な措置であるにしても、納税者側の予測可能性に支障を来たすことになるので、何らかのルール(適用要件)が必要であると考えられるところ、国税当局は、記者会見等を通して、次の三要素を明らかにしているようである(注9)。
① 評価通達に定められた評価方法以外にほかの合理的な評価方法(不動産鑑定士による不動産鑑定評価や非上場株式の場合は専門家による企業価値評価など)が存在するか。
② 評価通達に定められた評価方法による評価額と他の合理的な評価方法による評価額との間に著しい乖離が存在するか。
③ 課税価格に算入される財産の価額が、客観的交換価値としての時価を上回らないにしても、評価通達の定めによって評価した価額と異なる価額とすることについて合理的な理由があるか(評価通達の定めによって画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するという事情があるか)。
 このような適用要件については、①については、従前評価通達6の適用が問題になった財産について合理的な評価方法なり取引価額がないものはなかったもの(全ての財産にあるはず)と考えられるし、③については、「実質的な租税負担の公平に反するというべき事情」を明らかにすることが「適用要件」であること等を考えると、必ずしも実効性のあるものとは考えられない。
(2)そこで、評価通達6の適用要件について、次の3点を提案しておくこととする。その理由等については、紙幅の都合上他稿に譲ることとする(注10)。
① 評価通達上の評価額(標準価額)と「時価」(客観的交換価値)との間に相当大幅な乖離があること。
② 当該乖離に関した(利用した)取引が行われ、当該取引をしなかった場合に比し、多額な税負担が軽減していること。又は、当該取引により評価通達上の評価額(標準価額)を大幅に上回る客観的交換価値に相当する利益が確実に見込まれること。
③ ②の取引と税負担の軽減(又は客観的交換価値の実現)との間に相当因果関係があること(当該取引と税負担の軽減等の間は3~4年程度(長くとも5年)が相当と考えられる。)。
(注1)詳細については、品川芳宣「詳解 財産・資産評価の実務研究」(大蔵財務協会 令和4年)38頁以下、同「節税と税務否認の分岐点」(ぎょうせい 令和6年)221頁以下等参照。
(注2)信義則の適用要件の詳細については、最高裁昭和62年10月30日第三小法廷判決(判例時報1262号91頁)、品川芳宣「税法における信義則の適用について−その法的根拠と適用要件−」税務大学校論叢8号1頁等参照。
(注3)評価基準制度の詳細については、品川芳宣「租税法律主義と税務通達」119頁、前出(注1)各書参照。
(注4)租税法律主義の内容の一つである合法性の原則は、租税行政庁に対し、租税の減免の自由も租税を徴収しない自由も認めず法律で定められたとおりの税額を徴収することを要請している。
(注5)品川芳宣「重要租税判決の実務研究 第四版」(大蔵財務協会 令和5年)1138頁参照。
(注6)詳細については、品川芳宣「傍流の正論」(大蔵財務協会 令和5年)110頁参照。
(注7)前出(注5)1209頁参照。
(注8)前出(注5)1216頁、前出(注1)「詳解 財産・資産評価の実務研究」613頁等参照。
(注9)税のしるべ 令和5年12月18日号3頁、笹岡宏保「評価通達6項の是否認ポイント」(ぎょうせい 令和5年)128頁、税務通信 令和6年9月23日号4頁等参照。
(注10)品川芳宣「評価通達6項の存在意義と適用要件」資産承継 令和6年11月号150頁、同「東京高裁令和6年8月28日判決と評価通達6項の適用要件」税理 2024年12月号130頁参照。

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