税務ニュース2024年12月20日 販売預託商法の債権を回収不能と認めず(2024年12月23日号・№1056) 地裁、相続開始時のジャパンライフの破綻は客観的に明白でないと判断
原告らの亡母(被相続人)は、ジャパンライフ(株)(以下、J社)とレンタルオーナー商品預託契約を締結し、商品購入代金として合計6,125万円を支払い、J社は相続開始日前までに合計約2,000万円をレンタル料として亡母に支払っていた。亡母は平成26年12月に死亡。本件契約に係る権利を相続した原告M氏は、合計1,620万円のレンタル料を受け取ったが、J社は、消費者庁からの4度にわたる行政処分、銀行取引停止処分を経て、平成30年2月、裁判所から破産手続き開始決定を受けた。
その後、令和2年に原告M氏が本件各契約解除の意思表示をしたことにより、亡母は相続開始時において、J社に対し、6,125万円の原状回復費を有していたということになった。原告らは、J社に対する債権を有期定期金として相続税の申告をしたが、J社は相続開始当時、既に実質的な破綻状態にあり、当該債権の一部は相続財産としての実態を伴っていなかったとして、更正の請求を行った。
本件の争点は、本件原状回復請求権が、本件相続開始時において、「その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれる」(評価通達205)状態にあったか否かである。
東京地裁はまず、①J社は、平成18年以降当期純利益が一貫して赤字であり、平成22年3月期に債務超過に陥ってから、その財務状況は非常に厳しい状況にあった、②レンタルオーナー制度は構造的に利益が出ないものであり、少なくとも平成22年以降は、いわゆる自転車操業の状態であったと認定した。
その一方で東京地裁は、①J社は、本件相続開始時において、営業を継続して多額の現金収入を得ており、金融機関からの新たな融資により相当額の現金及び預金残高を自由に引き出すことができる状態にあり、債権者に対する支払が遅滞又は停止していたなどの事実も認められない、②また、本件相続開始時においては、会社更生手続等の法的な処理が行われていたものではないなどと指摘。
結論として、本件相続開始時において、J社が、経済的に破綻していることが客観的に明白で本件原状回復請求権の回収の見込みがない又は著しく困難であると確実に認められるものであったとはいえないとして、原告らの請求を斥けている。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-

-

団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -















