税務ニュース2025年02月07日 評価単位が複数ある場合の評価乖離率(2025年2月10日号・№1062) マンション敷地利用権が複数棟に及ぶ場合は各棟の合計敷地面積で算定
例えばA棟、B棟、C棟から構成されるマンション(各棟の敷地は私道により明確に区分)のうちA棟の一室(専有部分)を所有している場合、その専有部分に係る敷地利用権がA~Cの各棟の敷地に及ぶケースがある。この場合における当該敷地利用権の相続税評価額は「令和5年12月31日まで」に相続等によりマンションを取得していれば、各棟の敷地を評価し、それぞれに敷地権割合を乗じた額の合計額とされていた。一方、「令和6年1月1日以後」に取得した場合には、本件敷地利用権の評価上用いる評価乖離率、具体的には、評価乖離率の算定に用いる「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」の「⑥敷地の面積」欄(敷地面積欄)に算入する面積は、①A棟の敷地面積か、あるいは②A~C棟の合計敷地面積か、判断に迷うところだ。
この点、令和6年5月14日付資産評価企画官情報第2号「居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A」の8頁の(注1)には、「一棟の区分所有建物の敷地の面積は、原則として、利用の単位となっている1区画の宅地(評価単位)の地積による」とある。本事例の場合、評価単位が3つのため、一見すると①A棟の敷地面積が妥当するように見える。しかし、当該情報は、「ただし、例えば、分譲マンションに係る登記簿上の敷地の面積のうちに、私道の用に供されている宅地(歩道上空地などを含む)があった場合でも、その宅地の面積を含んだ登記簿上の敷地の面積によることとしても差し支えない」としている。さらに、この但し書きの趣旨について令和5年10月11日付資産評価企画官情報第2号「「居住用の区分所有財産の評価について」(法令解釈通達)の趣旨について(情報)」の8頁の(3)(注1)では、「評価乖離率に基づき評価することとした理由の一つが、申告納税制度の下で納税者の負担を考慮したものであるから、同様の趣旨により、納税者自身で容易に把握可能な登記簿上の敷地の面積によることとしても差し支えない」としているため、②A~C棟の合計敷地面積が妥当することになると考えられる。これは、A棟、B棟、C棟を建てる際に建築基準法等の所定の要件を満たすには、通常、各棟の敷地を合わせた敷地面積が必要になるため、①A棟の敷地面積では正しい敷地持分狭小度は計算できないことからも裏付けられる。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.