税務ニュース2025年02月07日 天災等以外も損耗減点補正率の適用可(2025年2月10日号・№1062) 札幌高裁、長期間放置の家屋の登録価格を取消し
本件は、不動産会社である被控訴人(原審原告)が、研究所として建築された家屋を含む不動産を公売により取得したところ、家屋の固定資産評価額を3億1,556万7,800円とされたため、本件家屋は約17年間放置されていたなどの損耗による評価減点事情があることなどから、本件登録価格が決定されたことは違法であるとして、その取消しを求めたものである。
固定資産評価基準(以下、評価基準)では、家屋の損耗の状況による減点補正率は、原則として経年減点補正率によって求めることとされているが、天災、火災その他の事由により当該非木造家屋の状況からみて経過年数に応ずる減点補正率によることが適当でないと認められる場合は、損耗の程度に応ずる減点補正率(損耗減点補正率)によって求めることができるとされており、裁判では、損耗減点補正率を適用すべきか否かが争点となった。
原審の札幌地裁の判決では、本件家屋は約17年間使用されていないのみならず、低層階の窓ガラスの多くが破損するなど、通常の維持管理で生じる損耗を超えた損耗が明らかに生じていることから、地方自治体が損耗減点補正率による評価を行わなかったことは、本件家屋の登録価格を決定するに当たり違法があるとの判断を示した(本誌1025号40頁参照)。しかし、これに対して地方自治体は、評価基準の定める損耗減点補正率は、天災、火災に類するような家屋の価値に重大な影響を及ぼす特別な事情が存在する場合に限って適用されるものであるなどと主張し、控訴した。
札幌高裁(佐久間健吉裁判長)は令和6年4月19日、原審の札幌地裁に引き続き、家屋は客観的事情から見て通常の維持管理で生じる損耗を超える損耗が生じていることが明らかであるとし、地方自治体の控訴を棄却。地方自治体が決定した登録価格を取り消した。札幌高裁は原審の判断を引用したほか、経年減点補正率の適用が不適当な場合に当たるか否かは、家屋の状況をみた上で判断するのであるから、天災や火災以外の場合であっても、家屋の損耗状況を確認して適正に評価することを評価基準は当然に予定しているとの見解を示した。
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