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解説記事2020年03月30日 法令解説 「時価の算定に関する会計基準」等の公表に伴う財務諸表等規則等の改正について(2020年3月30日号・№828)

法令解説
「時価の算定に関する会計基準」等の公表に伴う財務諸表等規則等の改正について
 金融庁企画市場局企業開示課 課長補佐 小作恵右
 金融庁企画市場局企業開示課 専門官  服部拓郎

Ⅰ はじめに

 2020年(令和2年)3月6日に「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(令和2年内閣府令第9号)が公布・施行され、あわせて関係ガイドラインが改正・公表された(以下、内閣府令第9号と関係ガイドラインをあわせて「改正府令」という)。
 改正府令は、2019年(令和元年)7月4日付で企業会計基準委員会(ASBJ)から公表された企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」(以下、「時価算定会計基準」という)等を踏まえ、以下の規則及びこれらのガイドラインについて、所要の改正を行うものである。
・財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下、「財規」という)
・中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下、「中間財規」という)
・四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下、「四半期財規」という)
・連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下、「連結財規」という)
・中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下、「中間連結財規」という)
・四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下、「四半期連結財規」という)
 本稿は、改正府令の主な内容について解説を行うものであるが、意見にわたる部分については、筆者らの私見であることをあらかじめ申し添えておく。

Ⅱ 改正の経緯・概要

 我が国においては、従来、時価の算定方法に関する詳細なガイダンスは定められていなかった。一方、国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)は、2011年(平成23年)5月に、それぞれほぼ同一内容の「公正価値測定」(IASBにおいてはIFRS第13号、FASBにおいてはTopic820)を公表し、IFRS第13号は2013年(平成25年)1月1日以後開始する事業年度から、Topic820は2011年(平成23年)12月15日より後に開始する事業年度から適用することとされた。
 こうした中、ASBJにおいて、我が国の会計基準を国際的に整合性のあるものとするための取組みの一つとして、2019年(令和元年)7月に時価算定会計基準等が公表された。開発にあたっては、IFRS第13号の定めを基本的にすべて取り入れることに加えて、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮し、財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせない範囲で、個別項目に対するその他の取扱いを定めることが基本的な方針とされた。
 時価算定会計基準等では、時価を「算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格」(出口価格)と定義したうえで、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下、「金融商品会計基準」という)における金融商品等を対象として、時価の算定に関する会計上の取扱いを明らかにしている。
 改正府令においては、時価算定会計基準等の公表を踏まえ、注記に関する規定の改正及び定義に関する規定の整備を行っている。

Ⅲ 注記に関する規定

1 金融商品に関する注記
 金融商品会計基準第40-2項(3)及び企業会計基準適用指針第19号「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」第5-2項において、金融商品に関する注記として「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」が新設された。これを受けて、改正府令においては、既存の金融商品に関する注記の一部として、次の事項を新設している(財規第8条の6の2第1項第3号)。また、連結財規においても、同様の規定を新設している(連結財規第15条の5の2第1項第3号)。
 なお、金融商品の時価を分類するにあたっては、異なるレベルに区分される複数のインプットを用いており、これらのインプットに、時価の算定に重要な影響を与えるインプットが複数含まれる場合には、これら重要な影響を与えるインプットが属するレベルのうち、時価の算定における優先順位が最も低いレベルに当該時価を分類する(時価算定会計基準第12項)ことに留意する必要がある(財規ガイドライン8の6の2-1-2)。

 財規第8条の6の2第1項第3号における注記の対象については、同項第2号により金融商品の時価に関する事項を注記した金融商品に限られ、市場価格のない株式、出資金その他これらに準ずる金融商品については、同項第2号に掲げる事項の記載は要しない(その旨並びに当該金融商品の概要及び貸借対照表計上額は注記しなければならない)としている(財規第8条の6の2第2項)。これは、時価の把握が極めて困難な場合には、注記することを要しないとしていた規定を改正するものであり、従来、時価の把握が極めて困難であるとして注記を要しないこととしていた金融商品のうち、市場価格のない株式、出資金その他これらに準ずる金融商品以外の金融商品については、財務諸表に改正財規の規定を適用した後は、同項第2号に掲げる事項の記載を要することになることに留意する必要がある。
 なお、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合その他これに準ずる事業体への出資については、「当分の間」は財規第8条の6の2第1項第2号に掲げる事項の記載を省略することができる(この場合には、その旨及び貸借対照表計上額を注記しなければならない)としている(改正府令附則第2条第5項、下記「3 投資信託等の取扱い」も参照のこと)。また、現金及び短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似するものについても、同項第2号に規定する注記を省略することができるとしている(財規ガイドライン8の6の2-1-2)。
 これらに対して、金融商品取引法第2条第1項第10号に掲げる投資信託又は外国投資信託の受益証券、同項第11号に掲げる投資証券又は外国投資証券その他これらに準ずる有価証券を含む金融商品については、財規第8条の6の2第1項第2号に掲げる事項について記載は省略されないものの、同項第3号に掲げる事項については、「当分の間」は記載を省略することができる(この場合には、その旨及び貸借対照表計上額を注記しなければならない)としている(改正府令附則第2条第6項、下記「3 投資信託等の取扱い」も参照のこと)。

2 棚卸資産に関する注記
 時価算定会計基準は、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」(以下、「棚卸資産会計基準」という)におけるトレーディング目的で保有する棚卸資産に対しても適用され、棚卸資産会計基準第19-2項に注記に関する定めが新たに設けられている。
 これを受けて、改正府令においては、新たに独立した注記項目として「棚卸資産に関する注記」を設けている(財規第8条の33)。財規第8条の33に規定する注記は、上記「1 金融商品に関する注記」で新設した財規第8条の6の2第1項第3号の規定に準じて注記することとなるが、その内容は、「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用される場合の注記であることを明らかにしている(財規ガイドライン8の33)。これは、棚卸資産会計基準第19-2項において、「(中略)売買目的有価証券に関する注記に準じて、金融商品会計基準第40-2項(3)「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」のうち、売買目的有価証券について注記される項目(中略)」として注記事項が定められていることを受けたものである。また、連結財規においても、同様の規定を新設している(連結財規第15条の27)。

3 その他の注記
 時価算定会計基準において、「時価」が時価の算定日における出口価格と定義されたことに伴い、その他有価証券の貸借対照表価額に期末前1ヶ月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いることができるとする定めが廃止されており、重要な会計方針(有価証券の評価方法)として当該価額を用いることは認められなくなったほか、時価の算定単位として例外的な取扱いを行った場合には重要な会計方針として注記することとされている。これらを受けて、関連する財規ガイドラインの改正を行っている(財規ガイドライン8の2-1及び8の2-10)。

Ⅳ 個別財務諸表、中間(連結)財務諸表及び四半期(連結)財務諸表における取扱い

1 個別財務諸表における取扱い
 金融商品会計基準及び棚卸資産会計基準において、上記「1 金融商品に関する注記」及び「2 棚卸資産に関する注記」については、「連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表において記載することを要しない」こととされている。改正府令では、連結財務諸表を作成している場合には、個別財務諸表における注記は記載を要しないこととしている(財規第8条の6の2第7項及び第8条の33第2項)。

2 中間(連結)財務諸表における取扱い
 金融商品に関する注記は、第二四半期(連結)財務諸表に代えて中間(連結)財務諸表を提出する金融機関等にとって、中間(連結)会計期間に係る企業(集団)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する有用な情報を、中間(連結)財務諸表の利用者に対して提供するために重要な注記であると考えられる。また、時価算定会計基準が開発された経緯として、「特に金融商品を多数保有する金融機関において国際的な比較可能性が損なわれているのではないかとの意見」が聞かれていたことが挙げられている(時価算定会計基準第23項)。
 これらを踏まえると、(連結)財務諸表と同様に、時価の相対的な客観性や信頼性、算定方法及び期中変動の要因等に関する情報を提供することは、中間(連結)財務諸表の利用者が、企業(集団)の保有する金融商品、経営者による時価算定の主観性の程度及び損益への影響等を理解し、評価するうえで重要であると考えられることから、改正府令においては、中間(連結)財務諸表が提供する情報の内容は年度の(連結)財務諸表に準ずるものとするため、(連結)財規と同様の注記に関する規定を中間(連結)財規についても準用することとしている(中間財規第5条の3の2及び中間連結財規第15条の2)。なお、棚卸資産に関する注記についても同様の取扱いとしている(中間財規第5条の22及び中間連結財規第17条の17)。

3 四半期(連結)財務諸表における取扱い
 企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」第80項(3)④において、「時価をもって貸借対照表価額とする金融資産及び金融負債について、適切な区分に基づき、四半期貸借対照表日におけるレベル1の時価の合計額、レベル2の時価の合計額及びレベル3の時価の合計額」を注記する定めが新設されている。これを受けて、改正府令においては、既存の金融商品に関する注記の一部として、次の事項を新設している(四半期財規第8条の2第3項)。また、四半期連結財規においても、同様の規定を新設している(四半期連結財規第15条の2第3項)。なお、これまでの金融商品に関する注記と同様に、総資産の大部分を金融資産が占め、かつ、総負債の大部分を金融負債及び保険契約から生じる負債が占める(連結)財務諸表提出会社を除いて、第一四半期(連結)会計期間及び第三四半期(連結)会計期間においては、注記を省略することができる(四半期財規第10条の2及び四半期連結財規第17条の2)。

3 時価で四半期貸借対照表に計上している金融商品については、当該金融商品に関する四半期貸借対照表の科目ごとに、会社の事業の運営において重要なものとなっており、かつ、当該金融商品を適切な項目に区分し、その項目ごとに、当該金融商品の時価を当該時価の算定に重要な影響を与える時価の算定に係るインプットが属するレベルに応じて分類し、それぞれの金額に前事業年度の末日に比して著しい変動が認められる場合には、次に掲げる事項を注記しなければならない。
一 当該項目ごとの次に掲げる事項
 イ 四半期貸借対照表日におけるレベル一に分類された金融商品の時価の合計額
 ロ 四半期貸借対照表日におけるレベル二に分類された金融商品の時価の合計額
 ハ 四半期貸借対照表日におけるレベル三に分類された金融商品の時価の合計額
二 前号ロ又はハの規定により注記した金融商品の時価の算定に用いる評価技法又はその適用を変更した場合には、その旨及びその理由

 四半期財規第8条の2第3項では、①当該金融商品に関する四半期貸借対照表の科目ごとに、会社の事業の運営において重要なものとなっており、かつ、②当該金融商品を適切な項目に区分し、その項目ごとに、当該金融商品の時価を当該時価の算定に重要な影響を与える時価の算定に係るインプットが属するレベルに応じて分類し、それぞれの金額に前事業年度の末日に比して著しい変動が認められる場合には注記しなければならないとしている。これは、②への該当可否を判定する単位は、適切な項目ごとの各レベルそれぞれの金額であって、適切な項目ごとの間又は各レベルの間でそれぞれの金額を合算し、変動を相殺したうえで判定するものではないことを明確にしているものである。
 なお、上記②への該当可否を判定した結果として、四半期貸借対照表の科目のうち一部の金融商品を適切な項目として注記することとする場合であっても、四半期貸借対照表の科目への調整が可能となるような情報を記載することに留意する必要がある(財規ガイドライン8の6の2-1-3を準用する四半期財規ガイドライン8の2)。

Ⅴ 定義に関する規定の整備

 改正府令においては、前述した金融商品の注記に関する規定の改正に伴い、関連する用語の意義を規定すべく、次のとおり当該用語の定義に関する規定を新設している(財規第8条第64項、第65項、第66項、第67項及び第68項)。
 また、連結財規においては、財規を引用せず、財規と同様の定義に関する規定を新設している(連結財規第2条第56号、第57号、第58号、第59号及び第60号)。
 なお、これらの用語の定義については、法令としての規範性等の観点から時価算定会計基準に定める用語の定義等を若干修正等したうえで規定している場合があるが、実質的な意味が異なるものではない。

1 時価の算定に係るインプット
 時価算定会計基準第4項(5)では、「インプット」は「市場参加者が資産又は負債の時価を算定する際に用いる仮定(時価の算定に固有のリスクに関する仮定を含む。)」と定義され、「相場価格を調整せずに時価として用いる場合における当該相場価格も含まれる」とされている。これを踏まえ、改正府令においては、「市場参加者が資産又は負債の時価を算定する際に用いると仮定した基礎数値その他の情報(当該資産又は当該負債に関する相場価格を含む。)」と定義している(財規第8条第65項)。なお、時価算定会計基準では単に「インプット」として定義されているが、改正府令では、時価の算定に固有の用語であることを明確にするため、「時価の算定に係るインプット」と限定して規定している。また、当該用語の定義に伴って、「市場参加者」についても定義を行っている(財規第8条第64項)。
 さらに、時価算定会計基準第4項(5)①及び同項(5)②における定義等を踏まえながら、改正府令においては、「観察可能な時価の算定に係るインプット」及び「観察できない時価の算定に係るインプット」を定義している(財規第8条第66項及び第67項)。時価算定会計基準において、「インプットは、次の観察可能なインプットと観察できないインプットにより構成される」とされており、改正府令では「観察可能な時価の算定に係るインプット」と「観察できない時価の算定に係るインプット」は「時価の算定に係るインプット」を構成する相互に排他的な要素であることが明確となるよう、「観察できない時価の算定に係るインプット」を「時価の算定に係るインプットのうち、観察可能な時価の算定に係るインプット以外のもので、入手可能な最良の情報に基づくもの」と定義している。

2 時価の算定に係るインプットが属するレベル
 金融商品の時価の内訳等に関する事項の注記について、改正府令では、金融商品の時価を当該時価の算定に重要な影響を与える時価の算定に係るインプットが属するレベルに応じて分類し、その内訳に関する事項を注記しなければならないと規定している(上記「1 金融商品に関する注記」を参照のこと)。この規定にあわせて、時価の算定に係るインプットが属する「レベル」を定義しており(財規第8条第68項)、財規第8条第68項各号に掲げるそれぞれのレベルは、時価算定会計基準第11項(1)から(3)において定められる各インプットに付されるそれぞれのレベルに相当する。
 なお、時価の算定にあたっては、レベル1のインプットが最も優先順位が高く、レベル3のインプットが最も優先順位が低い(時価算定会計基準第11項)こと、また、関連性のある観察可能なインプットを最大限利用し、観察できないインプットの利用を最小限にする(時価算定会計基準第8項等)ことに留意する必要がある(財規ガイドライン8の6の2-1-2)。

Ⅵ 適用時期等

 改正府令においては、時価算定会計基準等の適用時期及び経過措置の内容を踏まえ、次のとおり附則を置いている。

1 適用時期
 改正(連結)財規の規定は、2021年(令和3年)4月1日以後に開始する事業年度(連結会計年度)に係る(連結)財務諸表について適用される(中間・四半期も同様)。ただし、2020年(令和2年)3月31日以後に終了する事業年度(連結会計年度)又は同年4月1日以後に開始する事業年度(連結会計年度)から早期適用(中間・四半期については、2020年(令和2年)4月1日以後に開始する中間(連結)会計期間・四半期(連結)累計期間等から早期適用)が可能とされている。

2 比較情報等の取扱い
 上記「1 金融商品に関する注記」及び「2 棚卸資産に関する注記」については、(連結)財務諸表に初めて改正(連結)財規の規定を適用する場合には、当該(連結)財務諸表に含まれる比較情報の記載を要しない(改正府令附則第2条第2項及び第5条第2項)。中間(連結)財務諸表に初めて改正中間(連結)財規の規定を適用する場合又は四半期(連結)財務諸表に初めて改正四半期(連結)財規の規定を適用する場合には、中間・四半期いずれも直前の事業年度(連結会計年度)に係る(連結)財務諸表に改正(連結)財規の規定を適用している場合を除いて、比較情報の記載を要しない(改正府令附則第3条第2項、第4条第2項、第6条第2項及び第7条第2項)。
 また、時価がレベル三に分類された金融商品の期首残高から期末残高への調整表(改正財規第8条の6の2第1項第3号ニ(2)及び改正連結財規第15条の5の2第1項第3号ニ(2))については、事業年度末(連結会計年度末)に係る(連結)財務諸表に初めて改正(連結)財規を適用する場合には、当該調整表の記載を省略することができるとしている。この場合には、翌事業年度(翌連結会計年度)及び翌中間(連結)会計期間の当該調整表に係る比較情報は記載することを要しない(改正府令附則第2条第3項、第3条第3項、第5条第3項及び第6条第3項)。
 なお、四半期(連結)財務諸表に初めて改正四半期(連結)財規の規定を適用する場合には、直前の事業年度(連結会計年度)の(連結)財務諸表に改正(連結)財規を適用している場合を除いて、前事業年度末日(前連結会計年度末日)において金融商品の時価の内訳に関する事項の注記が行われておらず、四半期(連結)財務諸表の作成者が、前事業年度末日(前連結会計年度末日)からの著しい変動を把握することは実務上困難であると考えられることから、新設した金融商品に関する注記(上記「3 四半期(連結)財務諸表における取扱い」を参照のこと)について記載することを要しないこととしている(改正府令附則第4条第3項及び第7条第3項)。
 このほか、(連結)財務諸表に初めて改正(連結)財規の規定を適用する場合であって、金融商品等の時価の算定方法を変更した場合(会計方針の変更として遡及適用を行っていない場合に限る)には、会計上の見積りの変更等に関する注記に代えて、当該変更の内容を注記しなければならないとしている(改正府令附則第2条第4項及び第5条第4項)。

3 投資信託等の取扱い
 企業会計基準適用指針第31号「時価の算定に関する会計基準の適用指針」では、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資及び投資信託については、会計基準公表後概ね1年をかけて検討を行い、取扱いを改正するまでの間は、それぞれ一定の注記を要しないこととする経過措置が設けられている。これを受けて、改正府令においても、「当分の間」は、(連結)貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合その他これに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)への出資及び金融商品取引法第2条第1項第10号に掲げる投資信託又は外国投資信託の受益証券、同項第11号に掲げる投資証券又は外国投資証券その他これらに準ずる有価証券を含む金融商品については、それぞれ一定の記載(上記「1 金融商品に関する注記」を参照のこと)を省略することができる(この場合には、その旨及び(連結)貸借対照表計上額を注記しなければならない)こととしている(改正府令附則第2条第5項並びに同条第6項及び第5条第5項並びに同条第6項)。
 今後のASBJにおける検討により、当該経過措置が改正される場合には、財規等においても適切に対応することが考えられる。

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