税務ニュース2025年04月04日 道府県民税利子割の住所地課税を検討(2025年4月7日号・№1069) 令和8年度税制改正でネット銀行普及に伴う税収の偏在に対応
インターネット銀行が伸張する中、総務省の「地方税制のあり方に関する検討会」は道府県民税利子割の税収が東京都に偏重していることに対応すべく、口座名義人の住所地で課税する方式が可能かどうか、令和8年度税制改正で結論を得る方向で検討する。
現在の個人住民税の枠組みでは、給与・事業所得等(所得割)や上場株式等の配当(配当割)、上場株式等の譲渡益(株式等譲渡所得割)の納付先は納税義務者の住所地の都道府県である一方、預金利子等に係る道府県民税利子割の納付先は、納税義務者である金融機関等の口座の所在地の都道府県とされている。このため、預金利子等に係る道府県民税利子割は預金者の住所地にかかわらず、金融機関の支店・営業所が所在する都道府県に納付される。制度創設時においては、預金は預金者の住所地に近い金融機関に預けるのが通常であり、都道府県単位の住所地とのズレはそれほど大きなものとはならないと考えられていたことや金融機関の事務負担等の理由から、住所地課税の“例外”となってきた。
しかし、ほとんどの大手インターネット銀行の支店・営業所が東京都を所在地とする現在、大手インターネット銀行の伸張に伴い、東京都の道府県民税利子割のシェアは飛躍的に高まっている。東京都のシェアは、平成30年度までは所得割と同じ15%~20%程度で推移していたが、令和5年度には47.2%にまで上昇した。このため、都道府県知事会などは、税収帰属の適正化の観点から利子割のあり方を見直すよう求めている。令和7年度与党税制改正大綱の基本的考え方でも、「住所地課税の例外となっている道府県民税利子割については、インターネット銀行の伸長等の経済社会の構造変化により、あるべき税収帰属との乖離が拡大していることから、金融機関等の事務負担に配慮するとともに、地方公共団体の意見を踏まえつつ、税収帰属の適正化のための抜本的な方策を検討し、令和8年度税制改正において結論を得る」とされている。
今後、総務省の「地方税制のあり方に関する検討会」では、個人住民税の原則である住所地課税が利子割でも可能かという点のほか、税収帰属の適正化のために考えられる方策、金融機関と地方団体の事務負担等について、令和8年度税制改正に向けて結論を得るべく議論される方向だ。
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