税務ニュース2025年05月09日 6項事案控訴審、R4最判との類似点主張(2025年5月12日号・№1073) 一審敗訴の国側、本件も実質的な租税負担の公平に反するというべき
財産評価基本通達総則6項をめぐる訴訟事案が複数発生しているなか、本件は非上場株式の相続税評価をめぐり総則6項が適用された事案である。一審の東京地裁(令和7年1月17日判決)は、総則6項を適用して純資産価額方式を採用した課税処分を取り消す判決を下していた(本誌1061号40頁参照)。一審判決で敗訴した国側は控訴を提起していたところ、このほど国側の控訴理由書が明らかとなった。国側は、総則6項をめぐり最高裁が初めて具体的判断を示した令和4年4月19日判決(以下「令和4年最判」)を踏まえ、「令和4年最判事案と同様に、本件は①新株発行等の結果、評価通達の定める方法により評価した価額によると被控訴人らの相続税の負担が著しく軽減されること及び②新株発行等が租税負担の軽減をも意図して行われたことが認められるところ、このような場合に評価通達の定める方法により評価した価額によることは、当該行為をせず、又はすることのできない他の納税者と被控訴人らとの間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきであるから、反公平事情(評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情)があるといえ、同様の行為によらずに取引相場のない株式を相続する他の納税者と別異に取り扱うことには合理的な理由があると認められるから、本件株式の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとしても平等原則に違反しない」と指摘して、更正処分等は適法であると主張している。また、①原判決が新株発行等により課税価格の合計額及び納付すべき相続税額の合計額が減少したことを重視していないことは誤りであること、②原判決が課税価格等の減少の割合が単に5割未満にとどまることをもって反公平事情の消極事情としたことは誤りであることなどを指摘し、原判決は取り消されるべきであるという主張を展開している。令和4年最判の後に控訴審判決が下される総則6項事案は、東京高裁令和6年8月28日判決に続いて本件が2例目となる見込みだ。この東京高裁令和6年判決の事案では地裁判決に続いて高裁判決でも納税者が勝訴したところ、今年6月中旬にも下される予定の本件控訴審の判断に注目が集まりそうだ。
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