税務ニュース2025年06月20日 少額輸入貨物への免税、豪州方式推す声(2025年6月23日号・№1079) 政府税調専門家会合、個人住民税の現年課税化には実務負担から慎重論
政府の税制調査会は6月11日に「第3回経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」を開催した。議題の1つである「国境を越えたEC取引に係る適正な課税に向けた課題」では、少額輸入貨物に対する消費税の免税制度への対応について検討が行われている。近年、国境を越えたEC取引を利用して国外事業者からの個人輸入による購入が増えているが、財務省によると、消費税等が免除される少額貨物は5年間で5倍超に増加しており、少額貨物にかかる免税制度によって国内事業者との間に競争上の不均衡が生じているなどの課題があるとされている。諸外国では、すでに少額輸入貨物の免税制度を見直す動きが広がっており、付加価値税等を導入していない米国を除くOECD加盟国37か国のうち、免税としている国は日本や韓国、カナダなど10か国にすぎない。
このため、日本においても、少額輸入貨物に対する消費税の免税制度を見直す方向で議論が進んでいる。少額輸入貨物に係る付加価値税等の課税方法には、EU加盟国などで採用されている「EU方式」と、豪州、ニュージーランド、英国、シンガポールなどで採用されている「豪州方式」がある。EU方式は、少額輸入免税制度自体を廃止し、原則として登録を受けたEC事業者が納税するという仕組み。一方、豪州方式は売上規模等が一定の閾値を超えたEC事業者に登録義務を課し、登録を受けた事業者による少額輸入貨物の取引についてのみ少額免税制度を廃止するというものだ。委員からは、少額貨物の輸入時に課税するという追加的な負担が生じないことから、まずは通関現場の負担が少ない豪州方式を採用すべきとの意見が多く寄せられている。
このほか、当日は「個人住民税の現年課税化」についても検討が行われた。個人住民税の現年課税化については、令和5年6月に取りまとめた「わが国税制の現状と課題−令和時代の構造変化と税制のあり方−」と題する答申において、働き方の多様化などの観点から重要な検討課題とされている。所得発生時点と納税時点の間隔を近づけることで、所得が減少した場合に税負担感が減るなどのメリットがあるとされるが、委員からは現行制度を変更するメリットがない点や、事業者及び地方自治体の双方において実務上の負担が大きいとして慎重な意見が多く挙がっている。
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