税務ニュース2025年07月04日 企業主導保育施設の質疑応答事例に異論(2025年7月7日号・№1081) 消費税上、委託料を「課税取引」として処理していた事業者も
国税庁が昨年10月1日に公表した質疑応答事例「企業主導型保育施設の運営を委託した場合の消費税の取扱い」では、企業が企業主導型保育施設の運営を外部事業者に委託した場合、受託者による役務提供は消費税の非課税取引に該当するとされている。しかし、実務上の見解は分かれており、課税取引として処理してきた事業者も多い。
企業主導型保育施設とは、企業が内閣府の助成を受けて従業員向けに保育サービスを提供するために設置する「認可外保育施設」を指し、所定の要件(届出、立入調査、認可同等証明書の交付)を満たせば、そこで乳幼児を保育する業務として行われる資産の譲渡等は、社会福祉事業として行われる資産の譲渡等に類するもの(今号42頁参照)として非課税となる(消法6、別表第二7ハ)。問題は、受託者による役務の提供が乳幼児を「保育する業務として」行われるものに該当するのか否かという点だ。非課税取引に当たらないとの見解は、「乳幼児を保育する業務」として非課税となるのは保護者に対する役務提供であり、委託者に対する役務提供ではないということを論拠としている。この点、消費税法基本通達6−7−9では、社会福祉法人等が地方公共団体等の委託を受けて行う社会福祉施設の経営は「社会福祉事業として行われる資産の譲渡等」に該当し、非課税になるとの考え方が示されている。国税庁の質疑応答事例は、この通達も踏まえて、企業主導型保育施設の運営の委託に基づき行われる役務の提供は社会福祉事業として行われる資産の譲渡等に類するものに該当し非課税になるとの見解を明らかにしたものだが、実務家の間では、「民間の事業者に対する役務提供を地方公共団体に対する役務提供と同列に扱うべきではない」との異論がある。しかし、同通達の(注)の括弧書きでは、地方公共団体から委託を受けた社会福祉法人等が受託業務の一部をさらに民間の事業者に再委託した場合でも、再委託に係る業務が社会福祉事業に該当すれば非課税になるとの考え方が示されている。すなわち、役務の提供を受ける者が地方公共団体か民間の事業者かによって非課税に当たるか否かが変わるという考え方は元々とられていないので留意したい。
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