税務ニュース2025年07月11日 国外扶養に係る送金関係書類の範囲(2025年7月14日号・№1082) エクスパッツ等の外国籍納税者を顧客に抱える税理士は要注意
国外居住扶養親族を扶養控除の対象とするための書類の一つである「送金関係書類」については様々な留意点が存在するが、親である納税者が子の留学先の学校等に直接学費を振り込んだことを証する書類は、子に対して直接送金をしていないことから送金関係書類に該当しないことが課税当局への取材により確認された。国外居住扶養親族に関する送金関係書類については所得税法施行規則47条の2第8項に規定されているが、同項では送金関係書類を「居住者がその年において国外居住扶養親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、“各人”(注:国外居住扶養親族)に行ったことを明らかにするもの」と規定していることが課税当局の見解の根拠と考えられる。
また、銀行振込による国外居住扶養親族への送金履歴を送金関係書類として使用する場合、その銀行は「内閣総理大臣の免許を受けた銀行」に限定される点にも注意が必要だ。上記施行規則8項1号には「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第2条第3号に規定する金融機関」としか規定されていないが、ここで参照されている法律を辿っていくと、対象となる銀行は銀行法第2条に規定される「内閣総理大臣の免許を受けて銀行業を営む者」を指すことが分かる。この点は、国税不服審判所令和5年3月14日裁決においても言及がある。すなわち、エクスパッツのような外国籍の納税者が海外留学中の子に生活費を送金する際に、日本勤務以前から保有していた外国銀行の口座を利用した場合、それが「内閣総理大臣の免許を受けた銀行」でなければ、発行される書類も送金関係書類に該当しないとこととなってしまう。さらに、外国銀行は日本支店を定めて免許を受けなければならないため、日本支店が免許を受けているとしても、その海外支店から生活費等を送金したことを証する書類は送金関係書類に該当するのかという疑問も生じる。この点、課税当局への取材によれば、法令上、国内口座でなければならないという規定はないため、内閣総理大臣の免許を受けた外国銀行であれば、その海外支店口座から送金したことを証する書類も送金関係書類に該当するとのことだ。
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