税務ニュース2025年07月11日 高裁も架空仕入を認定した一審を支持(2025年7月14日号・№1082) 関係者らの供述は客観的事実による裏付けがあり信用できると判断
電子部品の製造及び販売を行うX社(原告)は、A社に対する仕入高及び試験研究費、B社に対する試験研究費、C社に対する仕入高及び外注費が架空のものであるとして青色申告取消処分、法人税等更正処分等を受けたため、それらの処分の取消しを求めて訴訟を提起した。
東京地裁は、A社代表の①A社は当時既に倒産状態にあったが、X社代表に持ちかけられて謝礼金目当てで架空の納品書、請求書等を作成した、②X社から委託された開発を何も行っていないなどの供述は、A社が事務所等の所有権を失い休業状態であったことや、A社への支払原資とされたS社からの借入金がX社に客観的に存在していないことなどから、客観的事実による裏付けがあると評価した。
また、「X社がJ社から直接仕入れた商品をA社を介して仕入れたように仮装するようX社代表から依頼された」とのJ社代表の供述についても、A社からの仕入価格がJ社から直接仕入れる場合の価格の10倍以上であることなどから、本件取引が架空取引であることを裏付けているとした。
C社代表は、証人尋問において、①O社の仕事を紹介する見返りに架空取引を行い代金をバックしてくれとX社代表から依頼を受け、自らにも利益配分があるので協力することにした、②C社はO社から検査業務を受注していたが、X社代表の指示に従い、X社宛てに架空の請求書を発行して、X社から振り込まれた現金を第三者を経由してバックしていたと証言した。
東京地裁は、C社代表及び第三者の証言内容は、供述に一貫性があることのほか、架空取引に加担して原告のほ脱に協力したことを認めるものであって、自己の刑事責任を問われかねない不利益な内容のものであり殊更虚偽の供述をする動機も見当たらないことからすると、いずれも信用できると評価した。
高裁も地裁の判断を支持。高裁でX社は、①本件A社仕入高等のうち、S社からの借入金を支払原資として経理処理がされているものは、X社代表からの借入金を支払原資として実際に支払がされている、②J社から直接仕入れたとされた商品はその当時入手困難な終息品であり、休眠状態にあったA社がその在庫を有していたので同社から正規品よりも高い単価で購入したものであるなどと主張したが、いずれも裏付けとなる的確な証拠がなく採用することができないとして、斥けられている。
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