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解説記事2025年07月14日 SCOPE 裁決事例から学ぶ宅地の相続税評価額(2025年7月14日号・№1082)

ごみ集積所隣接地、高低差による評価減は?
裁決事例から学ぶ宅地の相続税評価額


 土地の相続税評価額をめぐり、相続人が申告をした土地の相続税評価額が税務署により否認されるケースは少なくない。税務署の指摘により修正申告に応じる相続人がいる一方で、税務署の否認を不服として相続人が更正処分等の取り消しを求めて審査請求をする事例も多数見受けられるところだ。スコープでは、土地のうち宅地の相続税評価額をめぐり複数の争点が問題となった最近の裁決事例を紹介する(東裁(諸)令6第33号)。いずれも税務署による否認内容が国税不服審判所によって全面的に支持されている(審査請求棄却)だけに、本事例と似たようなケースでは、相続税申告における土地(宅地)の評価には留意したい。

浸水予想区域内所在も付近と共通の事情、10%評価減は認められず

 宅地A及び宅地B(図1参照)は、いずれも貸宅地で「浸水ハザードマップ」によると「浸水予想区域」内に所在していた。相続人は、浸水予想区域内に所在するので土地の利用価値が著しく低下しているため「タックスアンサーNo.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」(以下「本件取扱い」)に該当するとして、宅地の価額の10%相当額を控除した価額により評価すべきであると主張していた。これに対し審判所は、付近にある各宅地も浸水予想区域内に含まれていることからすると、浸水予想区域内に所在することは付近にある宅地に共通する事情であり、付近にある宅地と比較検討してもなお宅地の取引価額に影響を与えると認められる事情があるとはいえないと指摘したうえで、その利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて著しく低下しているとはいえないことから、本件取扱いにより減額して評価することはできないと判断している。

私道に付された路線価で評価すべきか
 宅地C(図1参照)は、その南側で路線価の付された南側道路に接する土地である。南側道路は、被相続人以外の第三者が所有する私道で、不特定多数の者の通行の用に供するいわゆる通り抜け道路であった。相続人は、南側道路は第三者所有の私道であることからその私道の路線価を正面路線価として評価するのは相当ではないとして、宅地Cの東側に存する道路に付された路線価を正面路線価として評価すべきであると主張していた。これに対し審判所は、南側道路は第三者が所有する私道であるが、不特定多数の者の通行の用に供されているいわゆる通り抜け道路であるうえ路線価が付されており、宅地Cが接面する道路は南側道路のみであると指摘したうえで、宅地Cの評価は南側道路に付された路線価が正面路線価となり、南側通路に付された路線価を基として計算すべきであると判断している。
貸家建付地に該当する否か
 宅地D(図2参照)は、その北側、南側及び東側の三方の道路に接する土地で、その土地上には被相続人所有の3階建ての建物(家屋)が存していた。相続人は、家屋の一部を法人に賃貸していたと指摘したうえで、法人の経営状態悪化に伴い賃料を免除し、相続開始日時点では家賃の授受はなかったが法人が賃借しかつ使用収益していたことに変わりはなく賃貸借契約も終了していないから、宅地Dは家屋の賃貸割合により貸家建付地として評価すべきであると主張していた。これに対し審判所は、評価通達にいう貸家とは現に賃貸借契約の目的となっている家屋をいうものと解されるとしたうえで、賃料の支払い状況等からすると被相続人は相続開始日において家屋を法人に対して賃貸していたとは認められず、現に賃貸借契約の目的となっている家屋に該当しないことから、貸家建付地として評価することはできないと判断している。

ごみ集積所隣接で評価減が認められるか
 宅地E(図3参照)は、その北側及び東側の二方の道路に接する土地で、二方の道路が交差する角の公道上にはごみ集積所が設置されていた。相続人は、宅地Eには高低差があり土地の利用価値が著しく低下していること、また、ごみ集積所に隣接していることで美観が害されること及びごみ集積所から臭気が発生することから土地の利用価値が著しく低下しているため、本件取扱いにより減額して評価すべきであると主張していた。これに対し審判所は、それらは付近にある宅地に共通する事情であり、付近にある宅地と比較検討してもなお宅地の取引価額に影響を与えると認められる事情があるとはいえないと指摘したうえで、その利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて著しく低下しているとはいえないため本件取扱いにより減額して評価することはできないと判断している。

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