税務ニュース2025年08月22日 契約書に非居住者の表示なし、源泉は(2025年8月25日号・№1087) 審判所、委任状では内国法人を非居住者の代理人と定める
本件は、請求人が国内のマンションを取得する際に支払った譲渡対価について、源泉徴収義務を負うか否かが争われたものであり、具体的には、売主が非居住者か内国法人のいずれかであるかが問われたものだ。請求人は、売買契約書の売主欄には、内国法人Xの記名押印があり、同社が非居住者の代理人である旨の表示はないから、源泉徴収義務を負わないと主張した。
民法99条1項は、代理人がその権限内において本人のためにすることを示していた意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずると規定し、同法100条本文は、代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなすと規定するとともに、同条ただし書は、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、同法99条1項の規定を準用する旨を規定している。審判所は、これらの規定によれば、有効な代理行為を認められるためには、代理人に代理権があり、かつ、その行為が代理権の範囲内でなされなければならず、併せて、代理人が本人のためにすることを示すこと(顕名)、あるいは、相手方が、代理人が本人のためにすることを知っていたことを要することになるとした。
本件については、委任状に内国法人Xを代理人と定め、不動産の売買契約について一切の権限を委任する旨の記載があるほか、売買契約書等の売主欄には内国法人Xが代理人である旨の表示はないものの、請求人は、売買契約の締結の際に、委任状等の提示を受けた上で、売主は台湾に住む非居住者Yであり、内国法人Xが非居住者Yに代わり、各不動産の売買に係る手続を行う旨の説明などを受けていることからすると、請求人は、内国法人Xが非居住者Yのために売買契約を締結することを知っていたと認められると指摘。請求人は、非居住者であるYに対し、国内源泉所得の支払をする者に該当することから、源泉徴収義務を負うとの判断を示した。
今回の事案は、委任状により売主が非居住者であることが明らかであると判断されているが、昨今では、非居住者から不動産を購入した場合の源泉徴収漏れが後を絶たない。売主が非居住者であるとの告知義務など、何らかの仕組みが必要といえそうだ。
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