会計ニュース2025年08月22日 法定化された排出量取引の会計処理検討(2025年8月25日号・№1087) ASBJ、令和8年12月頃を目途に最終化
企業会計基準委員会(ASBJ)は8月12日、企業会計基準諮問会議から提言があった「排出量取引制度に係る会計上の取扱い」について新規テーマとして検討することを決定した(本誌1083号10頁参照)。
日本では、脱炭素成長型の経済構造への円滑な移行を推進するため、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律」(令和7年法律第52号)により、排出量取引制度が法定化された。具体的には、令和8年度から、二酸化炭素の直接排出量が一定規模以上の事業者に対して、排出量取引制度に参加することを義務付け、業種ごとの特性等を考慮した政府指針に基づき政府が排出枠を無償で割り当てた上で、制度対象事業者に対して、排出枠の割当に係る年度の翌年度に排出実績の報告及び実績と等量の排出枠の保有が義務付けられることになった。
この点、排出量取引の会計処理については、実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」において整理がなされているが、実務対応報告第15号は、諸外国の一部で導入されているような企業ごとに排出量削減義務が課された場合の会計処理は取り扱っていないため、今後、同委員会の実務対応専門委員会で検討を行うこととされた。
会計処理を検討する際の論点としては、①排出枠の取得に係る会計処理(資産の認識及び測定)、②排出枠償却時点で、排出実績と等量の排出枠を保有する義務に係る会計処理(負債の認識及び測定や引当金の計上)、③開示要求事項が挙げられている。加えて、今回の検討と実務対応報告第15号との関係の整理についても行うとしている。ただし、法定化された排出量取引制度の骨格は確定しているものの、詳細を定める政省令は令和8年3月までに最終化される予定となっている。このため、まずは、制度の概要の理解及び実務対応報告第15号との関係性の整理から検討を開始することとし、具体的な会計処理及び開示に関する検討は、排出量取引制度の詳細が明らかになった後にし、令和8年12月頃を目途に最終化する方向としている。
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