税務ニュース2025年08月29日 インド法人への技術料支払いで源泉漏れ(2025年9月1日号・№1088) 審判所、支払金は源泉義務がある「技術上の役務に対する料金」に該当
本裁決事例で争点となったのは、法人である請求人によるインド法人への支払金が「技術上の役務に対する料金」(日印租税条約12④)に該当し、源泉徴収が必要となる国内源泉所得に該当するか否かという点である。事実関係をみると、請求人は、インド法人との間で、インド法人が外国法人(顧客)に対して、請求人が製造する製品等の販売促進及びそれに付帯するサービス作業を行うことを内容とする契約を締結した。契約には、①インド法人はインドにおけるビジネス等の知識及び情報を有していること、②請求人の製品の外国法人(顧客)に対する販売促進活動が奏功するように請求人に知識及び情報等を提供することなどが記載されていた。請求人は、インド法人に対して金員を支払った際に、源泉徴収をしていなかった。これに対し税務署は、支払金が「技術上の役務に対する料金」(日印租税条約12④)に該当し、国内源泉所得に該当するから請求人には源泉徴収義務があるとして、源泉所得税の納税告知処分等を行った。これを不服とした請求人は、インド法人への支払金は一般的な口銭(手数料)の範囲を超えないものであるから「技術上の役務に対する料金」(日印租税条約12④)に該当しない旨を主張した。
審判所は、請求人が製造する製品は特殊な受注生産品であり、インド法人はその技術的な要素を理解してコンサルタント業務を行ったと考えるのが一般的であると指摘したうえで、インド法人が請求人に提供した役務は技術者その他の人員によって提供される役務を含む経営的若しくは技術的性質の役務又はコンサルタントの役務としての性質を有するものと認められると判断した。そのうえで審判所は、本件の支払金は「技術上の役務に対する料金」(日印租税条約12④)に該当するから請求人には源泉徴収義務があると判断して納税告知処分等は適法であると結論付けた。インド法人への支払いをめぐっては、しばしば源泉漏れが問題となり裁決事案に発展することもあるだけに(令和3年2月16日裁決(本誌928号)、令和5年8月15日裁決(本誌1021号)等)、インド法人への支払いの際には「技術上の役務に対する料金」に当たるか等を確認する必要があるといえそうだ。
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