税務ニュース2025年10月31日 固定資産税関係事件で最高裁が弁論開催(2025年11月3日号・№1097) 非課税規定の適用の可否巡り、「専ら」要件の解釈が焦点に
本件は、寺院の山門と商業施設が一体になった建物の空洞部分に対する固定資産税の非課税規定の適用の可否が争われている事案である。地裁が非課税規定の適用を否定したのに対し、高裁は適用を認めて納税者が逆転勝訴、これを受け大阪市が上告するという経緯を辿ってきたが、最高裁が令和7年12月19日に弁論を開くことを決定したことが本誌取材により判明した。
固定資産税の非課税規定「地方税法348条2項」は、「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法3条に規定する境内建物及び境内地」(同項3号)を非課税とする旨定めている。大阪高裁(令和5年6月29日判決)は、同項の適用の可否は、土地がどのような用途に供されているかによって決まるとした上で、本件の空洞部分を含む土地(以下、「本件対象地」)には、非課税用途(宗教施設としての参道)に供されている部分と課税用途(商業施設)に供されている部分があると認定。前者にまで固定資産税等を課すことは地方税法348条2項に反するとして、その部分について非課税規定の適用を認めた。さらに、非課税となる税額については、土地上に課税用途と非課税用途に明確に区分された建物が存する場合と同様に按分計算すべきであるとした。
もっとも、高裁判決は、「専ら」という文言に対する明確な当てはめを示していないとの指摘もある。大阪市も、本件対象地が参道であると同時に商業施設の敷地として用いられている以上、「専ら」本来の用に供されているとは言えないと主張しており、この点が最高裁における審理の中心となることが予想される。
これに対し納税者側は、土地の平面や土地上の建物に異なる用途に用いられている部分がある場合にはその部分ごとに地方税法348条2項の適用を判断する課税実務があることを踏まえ、本件のように土地の立体面に異なる用途に用いられている部分があるケースについても、その部分ごとに「専ら」要件も含め同項の適用の有無を判断すべきと主張している。
最高裁が弁論を開くこととなった以上、結論が覆る可能性も否定できない。ただし、総則6項事案に関する最高裁令和4年4月19日判決のように、弁論を経ても結論が維持された例もある。土地の複合的利用が進む中で「専ら」要件をどのように解釈するか、最高裁の最終判断が待たれる。
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