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解説記事2025年11月10日 SCOPE 不動産賃貸業者保有の金地金は棚卸資産に該当と判断(2025年11月10日号・№1098)

東京地裁も裁決と同様の結論示す
不動産賃貸業者保有の金地金は棚卸資産に該当と判断


 課税事業者から免税事業者となった日の前日に原告が購入した金地金が消費税法上の棚卸資産に該当するか否かが争われた事案で、東京地裁民事51部(岡田幸人裁判長)は令和7年10月30日、当該金地金は消費税法上の棚卸資産に該当し、棚卸資産に係る消費税額の調整規定(消法36⑤)の適用によりその仕入れに係る消費税額は控除対象仕入税額に含まれないとした原処分を適法とした。
 金地金のようなトレーディングを目的として取得する資産について、取引額が大きいことを主たる理由として棚卸資産に該当するとした裁決(令和6年4月25日)に対し、専門家の間では企業会計上は違和感があるとの意見もあったが(本誌1056号参照)、東京地裁も裁決とほぼ同様の考えを示した点、注目される。

課税期間に購入した金地金を免税期間に売却、還付認めず

 不動産管理・賃貸業等を営む原告の納税義務の変遷はのとおり。課税事業者選択届出書の提出により平成30年12月1日から課税事業者であった原告は、令和4年2月28日に課税事業者選択不適用届出書を提出したことにより、令和5年2月期には免税事業者となった。

 同時に、令和4年2月28日に約5億2,000万円の金地金を購入し、免税事業者となった令和4年3月3日に売却した。原告は、本件金地金の取得価額を課税仕入れに係る支払対価の額に含めて令和4年2月期の消費税等の確定申告(還付申告)を行ったが、処分行政庁は、本件金地金は消費税法上の棚卸資産に該当し、同法36条5項《納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整》の規定により控除対象仕入税額に含めることができないとして、更正処分等を行った。
 東京地裁は、棚卸資産に該当するか否かの判断基準について、企業会計原則注解の注16及び棚卸資産会計基準3項を踏まえると、棚卸資産とは、営業活動としての販売をすることを目的として取得・保有するものと解すべきであり、その目的の有無は、①当該資産を保有する主体の事業目的、②当該資産を保有するに至った経緯、③取得時の当該資産の使用・収益・処分等に係る方針等の客観的事実により類型的に判断されるべきとの考えを示した。
 原告は、会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」65項を踏まえて、金地金が棚卸資産であるというためには、金地金の売買を業としていることが定款の上から明らかであり、かつ、トレーディング業務を日常的に遂行し得る人材から構成された独立の専門部署によって当該資産が保管・運用されていることを要すると主張した。
 これに対し東京地裁は、上記定めは、他の状況から金地金を営業目的達成のために売却する目的があることが認められ得ることを否定する趣旨のものではなく、上記のような事実がなければ棚卸資産であると評価することができないとする定めであるとはいえないとして、その主張を斥けた。
 また、原告は、棚卸資産に該当するためには、営業循環の過程内において反復継続して売買される資産であることが不可欠の要素となるとも主張した。これに対し東京地裁は、棚卸資産会計基準3項は、反復継続して販売することを棚卸資産の要件としていると認めることはできず、販売を1回しか行わないことが想定される場合であっても、当該企業等の事業規模に占める当該取引の割合等から、当該取引がその事業全体に大きな影響を与える蓋然性が高い場合には上記目的を有するものと解すべきであるとして、原告の主張を斥けた。

過去の“金地金還付スキーム”のための購入・売却も問題視

 その上で東京地裁は、本件金地金に係る売却金額、購入金額、現金預金の増加額は、いずれも原告の賃貸業等の事業規模に照らして大きなものであり(購入・売却金額は原告の賃貸業等の売上高の約18倍)、原告の事業全体に大きく影響する蓋然性が高いといえるから、本件金地金に係る取引は原告の営業活動に含まれるものといえるとの判断を下した。
 また、原告の本件金地金の取引の経緯から、当初から速やかに売却する意図で本件金地金を取得したことは明らかであると指摘。さらに、原告の平成30年12月の8回の金地金の取引についても、金地金の購入と売却を繰り返すことで、平成30年12月1日から平成31年2月28日までの課税期間の課税売上割合を92.54パーセントにまで高め、還付金額を約2,573万円増加させる目的で行ったと指摘し、その経緯も考慮すると、本件取引は、課税事業者から免税事業者となるタイミングに乗じて、本件金地金の売却代金に係る消費税の額約4,770万円の納税をせず、購入代金に係る消費税等の額約4,760万円の還付を受ける目的で行ったものと認定した。
 以上を踏まえ東京地裁は、原告は営業活動としての販売をすることを目的として本件金地金を取得・保有したものといえるから、本件金地金は棚卸資産に該当するものというべきと結論づけた。
 なお、合計200万円以上の金地金取引には令和6年改正で3年縛りルールが適用されている。

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