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税務ニュース2025年11月14日 検査院、吸収合併の簡易課税に見直しを(2025年11月17日号・№1099) 財務省、簡易課税制度の見直しは中小事業者への影響も勘案する必要

  • 会計検査院、吸収合併を行った場合の簡易課税制度の適用について、本則課税に比べて納付消費税額が低額になるケースもあると指摘。財務省に対してより適切な制度となるよう検討を求める。
  • 財務省、見直しについては、中小事業者への影響も勘案する必要あり。

 会計検査院は吸収合併等を行った場合の簡易課税制度の適用に関して、本則課税に比べて納付消費税額が低額になるケースがあるとの指摘をしていることが分かった。11月5日に政府に提出した「令和6年度決算検査報告」で明らかとなった。簡易課税制度に関する指摘は平成24年度検査報告に続いて2回目となる。
 新設分割の場合、新設分割承継法人については、分割があった日の属する事業年度及びその翌事業年度においては基準期間がないものの、分割法人の基準期間に対応する期間における課税売上高等が5,000万円を超える場合には、簡易課税制度を選択することができないこととされている(参照)。

 一方、吸収合併、新設合併又は吸収分割があった場合、吸収合併法人、新設合併法人又は吸収分割承継法人の各法人は、原則どおり、基準期間における課税売上高が5,000万円以下である場合にはそれぞれ簡易課税制度を選択適用できることとされている(参照)。このため、仮に簡易課税制度を適用できる規模の小さな法人が、吸収合併等により、簡易課税制度を適用できない規模の大きな法人から事業の全部又は一部を承継して課税売上が多額になったとしても、その多額の課税売上げを有する期間が基準期間となるまでの間は、簡易課税制度を選択できることになってしまう。
 この点について会計検査院は、令和3年度又は4年度に簡易課税制度を適用していて課税売上げが1億円を超えている延べ4,796法人を対象に検査。このうち、令和元年度から4年度までの間に合併又は分割を行っていた法人延べ172法人について、基準期間における課税売上高以外の指標である被合併法人又は分割法人の基準期間に対応する期間における課税売上高等の状況をみたところ、被合併法人又は分割法人の基準期間に対応する期間における課税売上高等が5,000万円を超えているものが延べ141法人となっていた。これらの法人については、仮に新設分割承継法人と同様、基準期間における課税売上高以外の指標により簡易課税制度の適用の可否の判定を行うこととした場合、簡易課税制度を選択して適用できないことになるとしている。また、141法人のうち、推計した消費税差額を算出することができる116法人についてみると、簡易課税制度を適用したことにより本則課税に比べて納付消費税額が低額となっていた法人は延べ105法人で、その推計消費税差額は合計で22億9,214万円にのぼっており、1億円を超えている法人も延べ3法人あったとしている。
 加えて、会計検査院では、消費税の納税義務の判定における①判定対象者の基準期間に相当する期間における課税売上高、②特定期間における課税売上高等の指標を用いた場合の制度の適用に関する分析も行っている。検査結果では、①の指標では、推計消費税差額が算出可能な延べ62法人すべてで簡易課税制度を適用したことで、本則課税に比べて納付消費税額が低額となり、その推計消費税差額は合計5億8,456万円となっている。また、②の指標では、推計消費税差額が算出可能な延べ31法人すべてで簡易課税制度を適用したことにより、本則課税に比べて納付消費税額が低額となり、その推計消費税差額は合計3億1,143万円になったとしている。
 今回の検査結果を踏まえ、会計検査院は、財務省に対して、消費税の簡易課税制度が中小事業者の事務負担に配慮して設けられている趣旨等も含め、様々な視点からより適切なものとなるよう検討を求めている。
 この点、財務省によると、会計検査院の検査結果は、課税売上げが1億円を超えている法人を対象にしたものであるとした上で、仮に簡易課税制度を見直すことになれば、課税売上高が1億円以下の中小事業者にも大きな影響を及ぼすおそれがあるため、そうした影響も勘案して検討する必要があるとしている。これまでも簡易課税制度の適用上限の数次による引き下げやみなし仕入れ率の見直しを行っており、今後も課税の適正化の観点からの検討は引き続き行うとした。

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