税務ニュース2025年11月28日 年明け施行の取適法が消費税実務に波及(2025年12月1日号・№1101) 振込手数料は課税仕入として処理、インボイス保存と帳簿記載が必要に
下請法は「中小受託取引適正化法」(通称:取適法)に名称が変更された上で、従業員基準の導入による適用対象の拡充などの改正が行われ、令和8年1月1日から施行される。取適法では、合意の有無にかかわらず、委託事業者が振込手数料を中小受託事業者に負担させることは委託代金の「減額」に該当し、禁止される。この改正は消費税のインボイス対応にも影響を与える。
インボイス制度導入に当たっては、買手が請求金額から振込手数料相当額を差し引いて代金を支払うという商慣行を前提に、売手が負担する振込手数料相当額を「売上値引き」とする場合には、本来は買手に対して適格返還請求書を交付する必要があるところ、事務負担を軽減する観点から、1万円未満の少額値引きについては適格返還請求書の交付義務を免除したという経緯がある。しかし、取適法施行後の取引については、振込手数料は買手が負担することになる。買手が負担した振込手数料について仕入税額控除を受けるためには、原則として「振込み毎に」振り込んだ金融機関からインボイスの交付を受け、その内容(取引日、金額、相手方の登録番号など)を帳簿に記載する必要がある。
ただし、令和11年9月30日までに行われる「基準期間における課税売上高が1億円以下」であるなど一定規模以下の事業者については、支払対価の額が1万円未満の課税仕入であれば、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けられる。また、振込件数が多くすべての振込手数料について適格簡易請求書を保存することが困難な場合には、通帳等の振込記録に加えて、当該金融機関が発行した振込手数料に係る適格簡易請求書(任意の1件分)を保存すれば仕入税額控除の適用を受けられる。
なお、令和8年1月1日以後の取引について振込手数料相当額を「売手が買手から代金決済上の役務提供(支払方法の指定に係る便宜)を受けた対価」とすれば、売手が買手に対して課税資産の譲渡等を行ったこととなる。売手が「請求金額から差し引かれた振込手数料相当額」について仕入税額控除の適用を受けるには、買手から交付を受けた適格請求書の保存が必要になる。
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