会社法ニュース2025年11月28日 暗号資産、金商法上の規制対象に(2025年12月1日号・№1101) 暗号資産WGが報告書案了承、来年の通常国会に金商法改正案を提出へ
金融審議会に設置された「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(座長:森下哲朗 上智大学法学部教授)の会合が11月26日に開催され、報告書案を了承した。字句修正等を行った上で正式に公表する。報告書案では、暗号資産を金融商品取引法の規制枠組みを活用し、情報提供の充実や適正な取引の確保・無登録業者への対応などといった暗号資産を巡る喫緊の課題に対応するとしている。暗号資産は一般に何らかの法的な権利を表彰するものではなく、収益の配当や残余財産の分配等はないなど、その性質は有価証券とは異なるため、有価証券とは別の規制対象として金商法上の金融商品に位置付ける。また、規制対象とする暗号資産の範囲は現行法上の暗号資産とすることが適当であるとし、資金決済法の規定を存置した場合には二重規制となり、規制の複雑化や、事業者の負担が生じるおそれがあるため、基本的に資金決済法から削除するとしている。
暗号資産に対するインサイダー取引規制も導入する。①対象暗号資産について、②「重要事実」に接近できる③特別の立場にある者(インサイダー)が、当該事実の④「公表」前に、⑤取引の場に対する利用者の信頼を損なうような売買等を行うことを禁止する。規制対象とする暗号資産は、国内の交換業者において取り扱われる暗号資産とし、取引所での取引か否かは問わない。「重要事実」に関しては、上場有価証券等のインサイダー取引規制を参考に、「重要事実」に当たることが明確なものを列挙した上で、バスケット条項で補完することが適当とした。重要事実に当たることが明確なものとしては、例えば、発行者の業務等に関するものでは「発行者の破産」「重大なセキュリティリスクの発覚」等、交換業者に関するものでは「暗号資産の新規上場・上場廃止やその流出」等を挙げている。また、インサイダー取引規制の対象者は、発行者や交換業者の関係者であり、役員等や法令に基づく権限を有する者、契約締結先等を含むことが適当とし、それらの者からの第一次情報受領者も対象としている。そのほか、課徴金制度も創設する。
政府は、WGの報告書をベースに来年の通常国会に金融商品取引法の改正案を提出する。改正により、暗号資産が金融商品の1つとして位置付けられることになれば、税制についても現行の雑所得から申告分離課税の対象となる可能が高まることになる。
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