税務ニュース2025年12月05日 法人税調査、AIの活用事例を初公表(2025年12月8日号・№1102) 予測モデルが不正パターンを判定、調査事案の選定で有効活用
国税庁の法人税調査では、データベースに蓄積された申告事績や法定調書などの資料情報を、AIを用いた予測モデルで分析し、調査必要度の高い法人を絞り込んで調査を行っている。こうした取り組みは、令和3事務年度より試行し、令和4事務年度から本格的に導入されているところ、同庁が12月2日に公表した「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」では、予測モデルが法人ごとに想定されるリスク抽出や、想定される不正パターンの判定を有効活用した事例を初めて公表した。
AI・データ分析の活用に当たっては、予測モデルが想定される不正パターンをおおまかに「売上(売上げを除外することなど)」、「経費(架空の経費を計上することや、経費に仮装して計上することなど)」、「原価(原価を過大に計上することや、原価に仮装して計上することなど)」の3つに分類している(図参照)。これらの不正パターンに加えて、調査官が申告書や国税組織で保有する様々な資料情報をあわせて分析・検討を行い、最終的な調査実施の要否を判断している。東京局では、AI・データ分析により調査必要度の高い法人を抽出し、想定される不正パターンが「原価」と判定されたため、調査官が原価を中心に決算書を分析したところ、不審な原価(外注費)が年々増加していることを発見。実地調査で、外注費を重点的に検討した結果、取引実態のない外注費を把握したとして、約3億6千万円の追徴課税を行った事例などがあり、国税庁は、効率的で精度の高い調査ができたものとしている。
なお、税務署所管法人約339万件の中から調査事案を選定するにあたっては、AI・データ分析等を用いて調査必要度が高い法人約49万件を抽出し、最終的に約5万3千件を調査事案として決定した。国税庁は、人員や事務量に限りがある中で、AI・データ分析は調査必要度の高い法人を的確かつ効率的に抽出する点で有用であることから、引き続き積極的に有効活用を図るとしている。

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