税務ニュース2025年12月05日 比準要素数1の株式評価巡り控訴棄却(2025年12月8日号・№1102) 「収益減少で株価上昇」と通達189−2の不合理性訴える主張を排斥
原告は、相続税の申告において、本件評価会社の株式の1株当たりの価額を、評価通達189−2ただし書きに従い、Lを0.25とする併用方式により算定した。その後、Lを0.60とする併用方式(評価通達179による原則的な方法)により算定すべきであったとして更正の請求を行ったが認められなかったため、訴訟を提起した。
原告は一審で敗訴(本誌1073号参照)したが控訴し、「評価通達189−2は収益が減少した場合に株価の評価が高くなるような評価方法であり、一般的な合理性が認められないから、比準要素数1の本件評価会社の株価も、評価通達179の定める原則的な評価方法に基づいて算定されるべき」と、一審とほぼ同様の主張を行った。
これに対し東京高裁は、①比準要素数1の会社は、類似業種比準方式における配当金額、利益金額及び純資産価額という3つの比準要素のうちいずれか2つが0であるため、上場会社の平均株価に比準する前提を欠くから、類似業種比準方式をそのまま適用することは相当でない、②評価通達189−2が、純資産価額方式による評価を原則とした上で、比準要素数1の会社が業績が低調であっても事業を継続している点で開業前又は休業中の会社とは差異があることを考慮し、収益要素を加味した類似業種比準方式を評価通達179よりも低いウエイト(L=0.25)で併用することを例外的に認めていることには合理性が認められるとして、地裁判決を支持した。
控訴人は、利益が出ていた際に評価通達179の併用方式により算定された株価よりも、利益が0に減少して比準要素数1の会社となったために評価通達189−2の併用方式で算定された株価の方が高くなるのは不合理であると主張。これに対し東京高裁は、これは本件評価会社のように1株当たりの純資産価額(5368円)が類似業種比準価額(834円)を上回る場合に結果的に生じる事象であり、逆の場合には、評価通達179の定める併用方式で算定された株価よりも、評価通達189−2の定める併用方式で算定された株価の方が低くなるのであるから、必ずしも利益の減少が株価評価の上昇を招くことにはならないとして、この主張も斥けた。なお、後者の場合は、納税者は純資産価額方式を選択すると思われるため通達179、189−2いずれによったとしても評価結果は同じになるだろうとしている。
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