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税務ニュース2025年12月12日 調査で即時償却否認後の資産の取扱いは(2025年12月15日号・№1103) 事業での未供用を理由とした否認の場合、処理が複雑化

  • 中小企業経営強化税制適用による即時償却の適用が後日の税務調査で否認された場合における「その後」の減価償却の取扱いを課税当局に確認。
  • 特に事業での未供用が否認理由である場合、法人税基本通達7−5−2との関係で取扱いが複雑化。

 中小企業経営強化税制(措置法42条の12の4)における即時償却制度は、経営力向上を図る中小企業の設備投資を後押しすることを目的としているが、本誌1086号「GPUサーバーが新たな節税商品に」でもお伝えしたように、節税商品として利用されている側面もあり、税務調査で即時償却の適用が否認されるリスクもゼロではない。こうした中、税理士等の間では、即時償却を行った資産について税務調査でその適用が認められないこととなった場合における当該資産の「その後」の減価償却の可否を懸念する声がある。そこで本誌は、課税当局に対して即時償却を否認された事業年度(以下、Y年)及びその翌事業年度(以下、Y+1年)以後の取扱いについて取材を行った。なお、以下においては、即時償却した金額は減価償却費として損益計算書に計上されていることを前提としている。当初即時償却を行った事業年度内に事業供用されていたか否かで取扱いが異なる点、注意が必要だ。
 まず、当初即時償却を行ったY年中に資産を事業の用に供していたところ、税務調査により資産自体が即時償却対象資産としての要件を満たさない等の理由により否認された場合には、Y年においては、即時償却した金額のうち普通償却限度額を超える部分の金額を所得金額に加算し、その翌事業年度のY+1年以降は、その加算した金額のうち普通償却限度額に達するまでの金額が損金算入されるため、普通償却限度額に相当する金額を申告調整で所得金額から減算することが確認された。この取扱いは実務家としても想定しやすいだろう。
 これに対し、即時償却を行ったY年において資産を事業供用しておらず、Y+1年に事業供用をしていたことが否認理由となった場合は取扱いが複雑となる。この点について平成30年3月27日裁決を参照すると、法人税法上、減価償却資産は「事業の用に供していないもの(略)を除く」と規定(法令13)されていることから、Y年終了時に事業供用されていない資産はY年における「法人税法上の減価償却資産」に該当せず、Y年に償却費として損金経理した金額も減価償却資産に係る「損金経理額」には該当しないとされ、その結果、Y年における否認額も償却超過額に該当せず、Y+1年に普通償却限度額に達するまでの金額として損金算入される金額はないことになる。
 当該裁決に照らすと、事業供用がされていないことを理由に即時償却が否認されると、Y+1年以後、対象資産に関する減価償却費相当を損金算入する余地がなくなってしまうのか、という疑問が生じる。この点について、法人税基本通達7−5−2において、「法人が減価償却資産の取得価額の全部又は一部を資産に計上しないで損金経理をした場合(7−5−1により償却費として損金経理をしたものと認められる場合を除く。)又は贈与により取得した減価償却資産の取得価額の全部を資産に計上しなかった場合において、これらの資産を事業の用に供した事業年度の確定申告書又は修正申告書(更正又は決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書及び修正申告書を除く。)に添付した令第63条《減価償却に関する明細書の添付》に規定する明細書にその計上しなかった金額を記載して申告調整をしているときは、その記載した金額は、償却費として損金経理をした金額に該当するものとして取り扱う。」とされていることを踏まえ、事業の用に供され法人税法上の減価償却資産に該当することとなったY+1年の申告書別表に「資産計上しなかった金額」を記載のうえ申告調整を行うことで、通常の減価償却資産としてY+1年以降償却限度額相当額を損金に算入することは可能なのではないか、という意見がある。しかし、同通達は「資産を事業の用に供した事業年度の確定申告書又は修正申告書(更正又は決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書及び修正申告書を除く。)」と規定しているため、減算を行うにもかかわらず修正申告書を出せるのかという問題以前に、Y年及びY+1年について税務調査が行われた場合には、同通達7−5−2を適用することはできないとも考えられる。
 この点について本誌が課税当局に取材したところ、税務調査において即時償却が認められない場合には、通達7−5−2による減算は不可能であると思われることが確認された。ただし、このような場合であっても、進行期以後の事業年度において対象資産に関する普通償却限度額を損金算入することは可能であることも確認されている。
 事業供用がされていないとして税務調査で即時償却の否認を受けた資産の「事業供用がされた事業年度以後」の取扱いと法人税基本通達7−5−2の関係についての課税当局のコメントをまとめると、以下のようになる。すなわち、即時償却否認を受けた事業年度と併せて事業供用年度以降の事業年度も調査対象であった場合には、それらの事業年度における減価償却費は、同通達かっこ書きに規定する“更正の予知”があるものとされ、原則として減算は認められない。一方で、進行期以後の事業年度においては、各事業年度の普通償却限度額を所得金額から減算することが可能、という取扱いになると考えられる。

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