税務ニュース2025年12月12日 PE特例、持分割合の上限が50%未満に(2025年12月15日号・№1103) 海外ファンドによる国内投資の障壁となる要件を大幅に緩和
平成21年度税制改正では、海外の非居住者・外国法人(海外LP)が一定の要件を満たす場合には、国内源泉所得に対する所得税・法人税を非課税とする特例措置(PE特例)が創設されたところだ。この要件には、①投資組合の有限責任組合員(LP)であること、②組合事業に係る業務執行行為を行わないこと、③組合財産に対する持分割合が25%未満であること、④無限責任組合員(GP)と特殊の関係にないこと、⑤他に国内にPE帰属所得を有しないこと、等がある。
ただ、「持分割合25%未満」の制限に対しては、大規模な機関投資家などによるアンカー投資(核となる巨額投資)を阻害する要因になるといった批判の声がある。また、有限責任組合員の業務執行行為要件については、アドバイザリーボードの活動等が業務執行に該当するリスクが指摘されている。そこで令和8年度税制改正では、これらの障壁を解消し、国際的な競争環境下で国内スタートアップへの投資を加速させるため、制度の抜本的な見直しが行われる方向となっているが、その内容が本誌取材により判明した。
まず、特例適用を受けるために海外LPが持つことができる組合財産の持分割合の上限を、現行の「25%未満」から「50%未満」へと大幅に引き上げる。ただし、この緩和措置には、ファンド内にアドバイザリーボードを設置するとの条件が付される見込み。また、業務執行行為要件が明確化・緩和される。具体的には、海外LPの業務執行行為要件から、利益相反行為の承認に関する行為を除外する。これにより、海外LPが投資の健全性や透明性を確保するために必要なガバナンスに関与する際の制約が軽減される。海外LPがファンド以外に「他に国内にPE帰属所得を有しない」との要件も撤廃される。この要件は、海外LPがファンド投資以外にも国内で他の事業活動を行っている場合などにおける適用関係を複雑化させ、結果として特例の適用を見送るケースを生じさせていた。「煩雑」との指摘が多かった手続きの簡素化も行われる。具体的には、申請書類の様式が簡素化される方向だ。
本改正は、PE特例を投資事業有限責任組合等による投資実態に合わせるものと言えよう。
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