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税務ニュース2025年12月12日 高所得者への基礎控除の不適用は正当(2025年12月15日号・№1103) 地裁、高所得者への基礎控除の逓減・消滅は憲法違反との主張を排斥

  • 東京地裁、合計所得金額が2,400万円超の個人への基礎控除額の逓減・2,500万円超の個人への基礎控除額の消滅が憲法違反との原告の主張を排斥(令和7年12月4日判決)。

 所得税の基礎控除については、令和7年度税制改正により、10万円の引き上げに加えて年収に応じて基礎控除を上乗せする「基礎控除の特例」が創設され、本年12月1日に施行されたところだ。また、令和8年度税制改正に向けて、自民税調では物価に連動した調整も議論されている。
 本件は、上記改正前の平成30年改正(本件改正)により導入された、合計所得金額が2,400万円超の個人における基礎控除額の逓減・2,500万円超の個人における消滅(所得税法86条1項・本件規定)が憲法25条1項(生存権)及び14号1項(法の下の平等)に違反しているかどうかが争われた事案である。
 東京地裁は、原告が主張する最低生活費非課税の原則をどのように具体化し、基礎控除も含めた総体としての人的控除の具体的内容をどのように定めるかは、政策的判断を必要とするものであり立法府の幅広い裁量があるとした上で、憲法25条1項が全ての納税者に基礎控除が認められることを具体的に保障しているとか、改正前基礎控除が同項の具体化であって立法府の上記裁量を制限してでも維持すべきものとまでいうべき根拠はなく、まして、所得が一定額に達し、十分な担税力を有する一部の居住者に基礎控除を認めないこととしている本件規定の当該部分が直ちに同項に違反するものということもできないとの考えを示した。
 憲法14条1項適合性については、まず、所得再分配機能を高めるため改正前基礎控除が縮小されたという、本件改正の立法目的は正当と認めた。
 その上で、逓減・消失型の所得控除方式は改正前基礎控除における定額控除方式より所得再分配機能が高い仕組みであり垂直的公平に寄与するものであること、ゼロ税率方式や税額控除方式の方が所得再分配機能はより高いものの所得控除方式からこれらの方式に変更した場合に負担の変動が急激なものになりかねないこと、基礎控除が最も基本的な控除であり、より広い所得階層に適用されるべきものであることなどを踏まえて導入された本件改正の仕組みは、上記立法目的との関連において著しく不合理であることが明らかとはいえないとした。
 以上のことから東京地裁は、本件規定が憲法25条1項及び14条1項に違反するものとはいえないと結論づけている。

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