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解説記事2026年04月27日 SCOPE 資本関係によらない支配にCFC適用は文理解釈の逸脱(2026年4月27日号・№1120)

財団通じた株式保有巡り納税者逆転勝訴
資本関係によらない支配にCFC適用は文理解釈の逸脱


 納税者がリヒテンシュタイン財団を通じて全株式を保有する外国法人が、納税者に係る「外国関係会社」に該当するか否かが争われた事案の控訴審で、東京高裁第10民事部(宮坂昌利裁判長)は令和8年4月14日、外国子会社合算税制(措置法40条の4)を適用した原処分を取り消し、一転、納税者が逆転勝訴した。
 東京高裁は、納税者は資本関係とは異なる手段によって本件財団を支配するものであって、このような場合にまで措置法40条の4の適用を認めるのは、明らかな文理解釈の逸脱であり許されないとの判断を下した。

「自益権・共益権」と同視できる権利保有は株式保有との地裁判断認めず

 本件は、国内居住者である個人(原告・控訴人)が、リヒテンシュタイン公国に設立した財団(本件財団)を通じて全株式を保有するバハマ法人(本件外国法人)が、当該個人に係る「外国関係会社」に該当するかが争われた事案である。より具体的には、株式等に関する定めがないリヒテンシュタイン財団について、控訴人が株式等を保有しているといえるかどうかが争われた。

 一審の東京地裁は、措置法40条の4の趣旨・目的からすれば、外国法人に対する支配力の有無は、形式上、名目上のものではなく、外国法人の収益や資産を実質的に支配し得る地位の有無という観点から判定されなければならないとして、控訴人が本件財団に資金を拠出したことによって本件財団の自益権及び共益権又はこれらと同視できる権利ないし地位を全部保有していた場合には、本件財団の発行済株式等の全部を有しているといえるとの解釈を示していた(本誌1092号参照)。
 これに対し東京高裁は、まず、租税法の解釈は原則として文理解釈によるべきであり、政策税制としての性格を有する租税特別措置法に関する税法解釈においても、規定の趣旨・目的を勘案することが許されるのは、文理解釈だけでは規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合等に限られるとの考えを示した。
 その上で東京高裁は、措置法40条の4の規定によれば、「外国関係会社」は、居住者等が、50%超の株式等(株式又は出資)を直接又は間接保有することが前提となっていることが文理上一義的に明らかであり、このような資本関係によらない支配関係をもって、「外国関係会社」該当性を基礎づけることは許されないとした。
 そして、地裁が示した解釈については、「株式又は出資」という文言を離れ、規定の趣旨・目的を踏まえて、「本件財団の自益権及び共益権と同視できる」か否かを判断するという価値判断的な基準を持ち込むものであり、このような判断手法を採用すべきでないとの考えを示した。
 また、措置法40条の4にいう「株式又は出資」の文言は明確であり、本件財団の準拠法(リヒテンシュタイン法)が我が国の法制度と異なるとしても、リヒテンシュタイン法にも、我が国の株式や出資持分に対応する概念があることは優に認められるから、本件財団につき「株式又は出資」を観念できるかどうかの判断に当たって、あえて規定の趣旨・目的を参酌して、我が国の株式や出資の概念と異なる解釈を持ち込む必要はないし、適切ともいえないとした。
平成29年改正前の条文の解釈適用は困難
 そして東京高裁は、上記を前提として本件への当てはめを行い、リヒテンシュタイン法の規定等を検討した結果、リヒテンシュタイン法上の財団法人は、我が国の一般財団法人と本質的に異なるものではなく、営利目的の社団法人(会社)に典型的にみられる出資や持分とは無縁の法人というほかないとの判断を下した。また、控訴人が「特別組織」の唯一の構成員として、あるいは「第一受益者」として享受する権利・地位については、「出資持分」とは全く性格が異なるとの考えを示した。
 以上を踏まえて、東京高裁は、控訴人が本件財団に実質的支配を及ぼしていることは確かであるにせよ、出資による持分の取得(資本関係)とは異なる手段によって対象法人を支配するものであって、このような場合にまで措置法40条の4の適用を認めるのは、明らかな文理解釈の逸脱であり、許されない拡張解釈といわざるを得ないと結論づけた。
 また、東京高裁は、平成29年度税制改正で、それまで外国子会社合算税制の適用を免れていた資本関係のない外国関係会社に、適用対象が拡大されるようになったという背景・趣旨も踏まえて、上記解釈が支持されるべきとの考えも示した。「本件のような方法による租税回避を容認すべきでないという政策判断はあり得るとしても、租税法律主義の原則がある以上、その実現は法改正をもってする必要があり、現実にも、平成29年法律第4号による立法的対応が行われたところである。これを同改正前の条文の解釈で乗り越えようとするのは、無理があるといわざるを得ない。」と述べている。

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