税務ニュース2026年05月15日 外国通貨取引の為替差損益で最高裁弁論(2026年5月18日号・№1122) 外国通貨Aで他の外国通貨Bを取得する際の為替差益、最高裁が判断へ
本件の発端となった外国通貨取引は、外国の金融機関に口座を保有していた納税者からその資産の運用を一任された金融機関が、その運用の一環として外国通貨により他の種類の外国通貨又は有価証券を取得する取引(本件各取引)である。納税者は、本件各取引から雑所得は生じないとの前提で所得税等の確定申告をしていた。これに対し税務署は、本件各取引から為替差損益が生じており、これにより雑所得が生じているとして更正処分等を行っていた。この更正処分等の取消しを求める納税者の訴えに対し一審の東京地裁と控訴審の東京高裁は、本件各取引により為替差損益に係る雑所得が生じるとして納税者の請求をいずれも棄却する判決を下していた。原審判決は、本件各取引により外国通貨Aの為替変動リスクに影響されない他の外国通貨Bを取得する権利が確定し、それにより差額相当の経済的価値の流入が生じており、権利確定主義の観点から本件各取引の時点で収入すべき金額として認識できるという判断を示した東京地裁判決(令和4年8月31日)を全面的に支持するものであった(一審判決の内容は本誌946号40頁参照)。
上告審における争点は、①外国通貨で他の種類の外国通貨を取得する取引や②外国通貨で同一通貨建ての有価証券を取得する取引により為替差益に係る所得が生ずるか否かという点である。具体的に①では、1米ドル100円で取得した1万6,000米ドルで、1ポンド170円のときに1万ポンドを取得した場合に為替差益に係る所得(例えば円換算額の差額10万円)が生ずるか否かだ。この点に関し最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)で開催された弁論で納税者(上告人)は、外国通貨で他の種類の外国通貨を取得しても為替変動リスクは残っており、為替差損益は確定しておらず、未実現利益への課税は許されないと主張した。納税者は、日本円に転換しない限り、為替差損益は実現しないという考えだ。最高裁判決は令和8年6月16日に下される予定である。原審判決の判断は課税実務に沿ったものであるだけに、最高裁が原審判決を見直すのかどうかを含めてどのような判断を下すのかに大きな注目が集まりそうだ。
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