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解説記事2026年06月01日 SCOPE 地裁 関連者に係る収入保険料、他社へ出再した金額控除せず(2026年6月1日号・№1124)

キャプティブ子会社、非関連者基準満たさず
地裁 関連者に係る収入保険料、他社へ出再した金額控除せず


 原告のキャプティブ保険子会社が、外国子会社合算税制(CFC税制)の非関連者基準を満たすか(非関連者からの収入保険料が50%を超えるか)否かが争われた事案で、東京地裁民事2部(衣斐瑞穂裁判長)は令和8年5月14日、キャプティブ子会社は非関連者基準を満たしていないとして、CFC税制を適用した原処分を適法とする判決を下した。
 原告は、キャプティブ子会社の関連者に係る収入保険料は再度の再保険契約により出再した金額を除くべきと主張したが、東京地裁は、非関連者基準の趣旨によれば、外形的法律関係と異なる事実等に基づき収入保険料を認定すべきではなく、関連者に係る収入保険料の全額が収入保険料として扱われると判断した。

非関連者基準の趣旨・外形的法律関係に基づき、全額を収入保険料とすべき

 事案の概要はのとおり。原告は、H社との間で、保険の対象を原告及び関連者の所有建物等とする火災等保険契約を締結した(本件各元受保険契約。図の①)。B社は、他の保険会社を経由して、本件各元受保険契約の保険リスクのほぼ全てを受再(図の②)し、原告のキャプティブ保険子会社であるS社に出再(引き受けた保険責任を再保険として他の保険会社に移転すること。図の③)した。S社は、引き受けるリスク及び損失の81%をC社に出再(図の④)し、C社との間で、C社に出再された全ての再保険のうちの一部をS社が受再する再々保険契約(図の⑤)を締結した。

 原告は、S社は、再保険契約により関連者から引き受けたリスクの一部を再度再保険契約により出再し、代わりに非関連者からのリスクを引き受ける保険契約を締結したとして、「各事業年度の収入保険料」に当たるのは、関連者に係る収入保険料のうち再度の再保険契約により出再した部分を除いた金額とすべき(B社からの再保険料収入は③の金額から④の金額を控除した金額)と主張した。
受再契約と出再契約はそれぞれ別個の契約
 これに対し東京地裁は、本件非関連者基準について、「保険業に関する法律上、事実上の行為のうち、保険業の経済的基盤を成し、客観的、外形的事実として把握することが可能な保険料収入に着目し、保険料収入のうち関連者以外の者から収入するものが過半を占める外国関係会社は、当該外国関係会社がその地にいる経済的合理性を認めて、措置法66条の6第1項の適用の対象から除外する趣旨に出たもの」との解釈を示した上で、本件非関連者基準にいう「収入保険料の合計額」は、保険業を営む外国関係会社が、当該保険業に基づいて収受する保険料の総額をいうものとの考えを示した。
 その上で、S社がB社との間で締結した本件各受再契約と、C社との間で締結した本件各出再契約は別個の契約であり、その保険料の支払義務又は請求権も別個に発生するものであるとした。そして、そのような法律関係に従えば、B社の出再に係る再保険料は、B社再保険料としてS社に支払われるべきものであるところ、B社再保険料の全額が収入保険料として扱われることは、本件S社各事業年度の総勘定元帳に記載され、S社の米国における納税申告においても前提とされていたと認定した。
 結論として東京地裁は、以上の事実等から、B社再保険料は、本件各受再契約に基づき、その全額がS社に帰属し、S社各事業年度の収入保険料を構成するものと認めるのが相当であり、本件各出再契約及びこれに基づく再保険料の帰属は、上記認定を左右するものではないとの判断を下した。そして、B社再保険料の全額が「収入保険料」と認められた結果、S社の収入保険料のうちにC社再保険料(非関連者に係るもの)の占める割合は50%以下となり、S社は非関連者基準を満たさないとした。
外形的法律関係と異なる法律関係の根拠なし
 原告は、①キャプティブ保険子会社の保険料収入の過半は、関係者以外の保険リスクに係る再保険料収入が占めるとの趣旨の事前説明を受けていた、②F社は、ハワイ州の保険当局に対し、B社からC社への直接の出再を内容とする契約内容変更の承認を事後的に申請し、合意書を作成していた、などと主張した。
 これに対し東京地裁は、B社、S社及びC社の三者は、実際の法律行為として、本件各元受契約に係る保険リスクの出再及びその一部の再出再を内容とする各再保険契約を締結しており、上記の事前の説明や事後の変更承認の申請及び合意書の作成は、これらの各契約の経済的効果が、S社が引き受けた原告の関係者に係る保険リスクの一部をC社が引き受け、当該保険リスクを分散したものであったことを示すにすぎず、関係当事者間の主観的意図や経済的動機を前提にしても、本件各事業年度の終了時点において、上記三者間において、上記と異なる法律関係が存したことの根拠となるものではないとして、これを斥けている。

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