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税務ニュース2026年06月05日 債務免除に係る二重課税巡り最高裁弁論(2026年6月8日号・№1125) 課税当局、債務は相続税の課税対象ではなく二重課税にならないと主張

  • 債務相続後に生じた債務免除益に所得税を課税することが二重課税になるか否か。最高裁が令和8年5月29日に口頭弁論を開催。
  • 原審は債務免除益の所得税は二重課税として納税者勝訴の逆転判決。
  • 課税当局(上告人)は借入金債務が相続税の課税対象となるものではないから二重課税にならないと主張。最高裁判決は6月23日に。

 本件は、相続により承継した借入金債務に係る債務免除益に対する一時所得課税の是非が争われている税務訴訟である。事実関係をみると、16億円の借入金債務を負っていた被相続人は生前に、6億2,630万円の分割金を支払えば残額9億7,370万円の債務免除を受ける旨の裁判上の和解を金融機関との間で成立させた。被相続人は、合計6億2,530万円の分割金を支払ったところで死亡した。借入金債務の残額を相続した相続人は、合計100万円を支払ったことで9億7,370万円の債務免除を受けた。これに対し税務署が債務免除に係る経済的利益に対して一時所得課税を行ったことから、納税者である相続人が課税処分の取消しを求める訴訟を提起していた。一審の東京地裁は、免除予定の債務は「確実と認められるもの」として債務控除をすることはできず、相続後に現に実現した債務免除益に所得税が課税されることはやむを得ないとする判決を下していた(本誌972号40頁参照)。これに対し東京高裁は、借入金債務の免除によって受ける経済的利益に所得税を課すことは「相続……により取得するもの」を非課税所得とする所得税法(令和3年改正前)9条1項16号に反するとして課税処分を取り消す判決を下していた(納税者全面勝訴・本誌1018号40頁参照)。
 最高裁における争点は、借入金債務免除益に係る経済的利益に所得税を課すことが所得税法9条1項16号に反するか否かである。この点に関し最高裁第三小法廷(沖野眞已裁判長)で開催された弁論で課税当局は、借入金債務は相続税の課税対象となるものではないから、相続後の債務免除の効力発生時点で生じる債務免除益に所得税を課税することは二重課税にならないと主張した。また、最高裁平成22年7月6日判決(今号42頁参照)との関係を裁判長から問われた課税当局は、その判決は年金の基本権(受給権)への相続税と支分権(年金)への所得税が二重課税であると判断されたもので、本件では借入金債務は相続税の課税対象とはなるものではないから事実を異にしていると説明した。納税者全面勝訴となった原審判決に対し、最高裁がどのような判断を下すかが注目されそうだ。

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