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会社法ニュース2026年06月05日 損害賠償請求権の帰属主体は名義株主(2026年6月8日号・№1125) 東京地裁、非名義株主には不法行為に基づく損害賠償請求権も帰属せず

  • カストディアンを通じて日産株式を売買したとする海外の機関投資家(原告)らが、金商法21条の2第1項に基づき損害賠償請求を行った事案(令和2年(ワ)第15636号)。
  • 東京地裁は令和7年11月27日、名義株主であるカストディアンが金商法21条の2第1項の損害賠償請求権の帰属主体になると判断。原告らの請求を斥ける。

 本件は、東証プライム市場に上場する日産自動車(被告)の株式をカストディアン(投資家に代わって有価証券報告書の管理を行う金融機関)を通じて売買したとする海外の機関投資家(原告)らが、有価証券報告書の役員報酬等に虚偽記載があったことにより本来の株価より高値で取得することになり損害を被ったとして金融商品取引法21条の2第1項に基づき損害賠償請求を行った事案である。裁判では、原告らが「有価証券を……取得した者又は処分した者」(金商法21条の2第1項)に該当するか否かが争点となっている。
 原告らは、被告株式を含む投資財産に対する経済的な権利及び投資判断を行う権利を有しているのは、原告らファンドであり、被告による虚偽記載によって、原告らの権利は侵害されているから、法律上保護される利益を侵害されたとして、被告に対し、民法709条及び金商法21条の2に基づく損害賠償請求権を有しているなどと主張した。
 東京地裁(鈴木昭洋裁判長)は、金商法21条の2第1項は有価証券報告書等の虚偽記載等によって損害を被った投資家の保護の見地から、一般不法行為の規定の特則として、その立証責任を緩和した規定であると解される(最高裁平成24年3月13日第三小法廷判決)と指摘。同項の適用範囲を安易に拡大する解釈は相当ではないことに加え、自ら実質株主と主張する者が自由に損害賠償請求を行うことを許容すれば、発行会社に二重払いの危険が生じ得ることからすると、金商法21条の2第1項の「有価証券を……取得した者又は処分した者」とは、名義株主をいうものと解するのが相当であるとの判断を示した。また、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求権についても、市場で購入された振替株式である被告株式の法的な所有者は名義株主であって、その背後にいる実質的な投資家である非名義株主の原告ではないというべきであり、被告株式の譲渡人から株式を購入取得したのは名義株主であって、非名義株主ではないというべきであるから、非名義株主には不法行為に基づく損害賠償請求権もまた帰属しないというべきであるとした。

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