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解説記事2020年07月20日 税制改正解説 令和2年度における相続税法等の改正について(2020年7月20日号・№843)

税制改正解説
令和2年度における相続税法等の改正について
 大内大地

租税特別措置法等(相続税・贈与税関係)の改正

一 農地等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度の改正

1 改正前の制度の概要
(1)贈与税の納税猶予

 贈与者が、その農業の用に供している農地(特定市街化区域農地等に該当するもの及び利用意向調査(農地法に規定する利用意向調査をいう。)に係るもののうち一定のものを除く。)の全部及びその用に供している採草放牧地(特定市街化区域農地等に該当するものを除く。)のうち一定部分並びに準農地のうち一定部分をその贈与者の推定相続人のうちの1人の者に贈与した場合(その贈与者が既に本特例の適用に係る贈与をしている場合を除く。)には、その農地及び採草放牧地並びに準農地(以下「農地等」という。)の受贈者のその贈与の日の属する年分の納付すべき贈与税の額のうち、納税猶予分の贈与税額に相当する贈与税については、その贈与者の死亡の日まで、納税が猶予される。ただし、その受贈者が、同日前にその農地等に係る農業経営を廃止するなど一定の場合には、その日から2月を経過する日が猶予の期限となり、その贈与税の全部又は一部及び猶予期間に対応する利子税を納付しなければならない(措法70の4①)。
(2)相続税の納税猶予
 被相続人の農業の用に供されていた農地等を農業相続人が相続又は遺贈により取得した場合には、その農業相続人の納付すべき相続税の額のうち、納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、その農業相続人の死亡等の日まで、納税が猶予される。ただし、その農業相続人が、同日前にその農地等に係る農業経営を廃止するなど一定の場合には、その日から2月を経過する日が猶予の期限となり、その相続税の全部又は一部及び猶予期間に対応する利子税を納付しなければならない(措法70の6①)。

2 改正の内容
 都市農業の振興及び都市農地の保全・活用の重要性に鑑み、平成27年に都市農業振興基本法が制定され、平成28年には都市農業振興基本計画が閣議決定された。これらを受け、開発・建築規制を通じた営農環境と居住環境の両立を図る観点から、平成29年度には都市計画法の改正が行われ、用途地域の新たな類型となる田園住居地域が創設されたところ。平成30年度税制改正においては、これを踏まえ、本制度の対象となる農地等の範囲に田園住居地域内にある農地が追加された。
 他方、令和元年7月に公表された都市計画基本問題小委員会中間とりまとめにおいては、現存する緑地や農地を保全することは、市街地の拡散や管理放棄地化の抑止に資するものであるとの観点から、緑地や農地の保全につながる制度の活用を引き続き積極的に促進するとともに、地域特性に応じてより細やかに活用できる仕組みについても検討すべきとされたところ。
 そこで、国土交通省においては、一定規模のエリアでの活用が想定されている田園住居地域より小規模な土地の単位で農業と調和した良好な居住環境を確保することが可能となるよう都市計画法における地区計画制度の見直しを行うこととした。
 令和2年度改正においては、こうした改正を踏まえ、本制度の適用対象となる農地等の範囲に、三大都市圏の特定市の市街化区域内に所在する農地で、都市計画法の規定に基づく地区計画農地保全条例による制限を受ける一定の地区計画の区域内にあるものが加えられた(措法70の4②四)(参照)。

3 適用関係
 上記2の改正は、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律(令和2年法律第43号)の施行の日から施行される(改正法附則1十一)。

二 医業継続に係る贈与税・相続税の納税猶予制度等の改正

1 改正前の制度の概要
(1)贈与税の納税猶予及び税額控除

 認定医療法人の持分を有する個人(以下(1)において「贈与者」という。)がその持分の全部又は一部の放棄をしたことにより、その持分がその認定医療法人の持分を有する他の個人(以下(1)において「受贈者」という。)に帰属することとなり、その持分の増加という経済的利益について受贈者に対して贈与税が課される場合には、その放棄により受けた経済的利益の価額に係る納税猶予分の贈与税額に相当する贈与税については、認定移行計画に記載された移行期限まで、納税が猶予される。また、移行期限までに受贈者が有している認定医療法人の持分の全てを放棄した場合等には、納税猶予されている贈与税は免除される(措法70の7の9①⑪)。
 なお、受贈者が贈与者による放棄の時からその放棄により受けた経済的利益に係る贈与税の申告期限までの間に、その認定医療法人の持分の全部又は一部を放棄した場合には、通常の計算による贈与税額から上記の納税猶予分の贈与税額に相当する額を控除した残額が申告期限までに納付すべき贈与税額となる(措法70の7の10①)。
(2)相続税の納税猶予及び税額控除
 個人が持分の定めのある医療法人の持分を有していた他の個人から相続又は遺贈によりその持分を取得した場合において、その医療法人が相続税の申告期限において認定医療法人(相続税の申告期限又は令和2年9月30日のいずれか早い日までに厚生労働大臣の認定を受けた持分あり医療法人を含む。)であるときは、その持分を取得した個人(以下(2)において「相続人等」という。)が相続税の申告書の提出により納付すべき相続税の額のうち、その持分の価額に係る納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、認定移行計画に記載された移行期限まで、その納税が猶予される。また、移行期限までに相続人等が有している認定医療法人の持分の全てを放棄した場合等には、納税猶予されている相続税は免除される(措法70の7の12①⑪)。
 持分の定めのある医療法人が相続の開始の時において認定医療法人であり、かつ、その持分を取得した相続人等が相続の開始の時から相続税の申告期限までの間にその持分の全部又は一部を放棄した場合には、通常の計算による相続税額から上記の納税猶予分の相続税額に相当する額を控除した残額が、相続税の申告期限までに納付すべき相続税額となる(措法70の7の13①)。
(3)贈与税の課税の特例
 認定医療法人の持分を有する個人がその持分の全部又は一部の放棄(その認定医療法人がその移行期限までに持分の定めのない医療法人への移行をする場合におけるその移行の基因となる放棄に限るものとし、その個人の遺言による放棄を除く。)をしたことによりその認定医療法人が経済的利益を受けた場合であっても、その認定医療法人が受けたその経済的利益については、贈与税は課されない(措法70の7の14①)。
(注1)「認定医療法人」とは、平成26年10月1日から令和2年9月30日までの間に、持分の定めのない医療法人に移行する計画を作成し、その計画について厚生労働大臣の認定を受けた医療法人をいう。
(注2)「認定移行計画」とは、持分の定めのない医療法人に移行するための取組みの内容などが記載された計画で厚生労働大臣の認定を受けたものをいう。
(注3)「移行期限」とは、認定移行計画に記載された持分の定めのない医療法人に移行する期限をいい、認定の日から3年以内とされている。

2 改正の内容
(1)認定期限の延長

 平成18年の医療法の改正により、医療法人の非営利性の徹底と地域医療の安定性の確保のため、持分なし医療法人でないと設立が認められないこととなった。また、法改正前に設立されていた持分あり医療法人については、持分なし医療法人への円滑な移行を促進しており、平成26年度には持分なし医療法人への移行計画の認定制度が創設され、持分なしへ移行しようとする医療法人の支援策が講じられているところ。
 本制度は、上記1のとおり、持分なし医療法人への移行の準備を進めている持分あり医療法人において、出資者の死亡により相続が発生することなどがあっても、相続税の支払いのために相続人から法人への相続持分の払戻し請求等を受けて移行計画の達成に支障が生じることのないよう、相続税等の猶予等を行うものであり、円滑な移行促進のための税制上の支援措置となっている。
 持分あり医療法人は依然として4万法人あり、引き続き、持分なし医療法人への移行を促進する必要性に鑑み、本制度の対象となる認定医療法人の認定期限が令和5年9月30日まで3年延長された(措法70の7の9①、70の7の10①、70の7の11②、70の7の12①、70の7の13①、70の7の14①)。
(2)手続の簡素化
 持分の定めのある医療法人が移行計画について厚生労働大臣の認定を受けた場合には、認定を受けた医療法人である旨を定款に記載し、認定後速やかに、都道府県知事による定款変更の認可(1回目)を受ける必要があり、その後、持分の放棄が了した際には、残余財産の帰属先に関して都道府県知事による定款変更の認可(2回目)を受けることにより持分の定めのない医療法人へ移行するものとされていた。
 このように、持分の定めのない医療法人への移行に際して定款変更の認可を2回受ける必要があったが、手続を簡素化し、1回目の定款変更の認可については省略することとされた(医療法施行規則57、59、60)。

3 適用関係
 上記2の改正は、令和2年4月1日から施行される(改正法附則1、医療法施行規則の一部を改正する省令附則1)。

三 相続税の物納の特例の改正

1 改正前の制度の概要
 税務署長は、納税義務者が物納の許可を申請しようとする場合において、その物納に充てようとする財産が登録美術品(美術品の美術館における公開の促進に関する法律(以下「美術品公開促進法」という。)に規定する登録美術品で、相続開始の時において既に登録を受けているものに限る。)であるときは、その登録美術品については、第一順位の物納財産として、物納の許可をすることができる(措法70の12①)。
 本制度の対象となる美術品の登録を受けるためには、次のいずれかに該当する必要がある(美術品公開促進法3②、登録美術品登録基準2②)。
① 文化財保護法の規定により重要文化財に指定された美術品
② 世界文化の見地から貴重な美術品であり、かつ、その美術品の制作者が生存中でないもの

2 改正の内容
 登録美術品制度は、優れた美術品を国が登録し、美術館において公開することにより、国民が優れた美術品を鑑賞する機会を拡大することを目的とした制度で、平成10年に創設された。
 登録美術品は、その製作者が生存中の美術品(いわゆる現代アート等)はその対象とならないが、一方で、そういった美術品を国内で保有するメリットが見いだせないと考えている個人が、海外市場に売却してしまう実情があった。優れた美術品の海外流出を防ぐためには、美術館等に寄託することを促すための政策的支援が必要となっていた。
 そこで文化庁は、登録美術品の範囲に、世界文化の見地から貴重な美術品のうちその制作者が生存中であるものを加えることとしている。なお、登録美術品の登録基準を定める登録美術品登録基準(文部省告示第158号)の改正については、令和2年度中に行われる予定である。

3 適用関係
 改正後の登録美術品登録基準を満たした登録美術品を相続又は遺贈により取得した場合に適用される。

四 国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税措置の改正

1 改正前の制度の概要
 相続又は遺贈により財産を取得した者が、その財産を相続税の申告書の提出期限までに、国若しくは地方公共団体又は公益社団法人若しくは公益財団法人その他の公益を目的とする事業を行う法人のうち、教育若しくは科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する特定の法人に贈与した場合には、その贈与した財産の価額は、その相続又は遺贈に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入しないこととされている(措法70①)。
 また、本制度は、相続又は遺贈により取得した財産を特定非営利活動促進法に規定する認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)に対し、その認定NPO法人の行う特定非営利活動に係る事業に関連する贈与をした場合についても適用される(措法70⑩)。
(注)NPO法人が、個人等からの寄附が優遇される認定NPO法人として認定されるためには、広く市民からの支援を受けているかどうか、特定非営利活動促進法に定めるパブリック・サポート・テスト(PST)に照らして判断される。具体的には、相対値基準(※)によって判断する場合は、収入全体に占める寄附金の割合が20%以上であることが必要となる。また、認定NPO法人はこの割合を20%以上に維持する必要がある。

2 改正の内容
 民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律は、休眠預金等を、人口の減少、高齢化の進展等の経済社会情勢の急速な変化が見込まれる中で国及び地方公共団体が対応することが困難な社会の諸課題の解決を図ることを目的として民間の団体が行う公益に資する活動(①子ども若者支援、②生活困難者支援、③地域活性化等支援)であって、これが成果を収めることにより国民一般の利益の一層の増進に資することとなるものに活用することを目的として平成28年に創設された制度である。
 具体的には、金融機関が預金保険機構に休眠預金を移管し、その資金は休眠預金等交付金として「指定活用団体」から「資金分配団体」を経由し、実際に活用する「実行団体」に交付されることとなる。
 こうした制度の下で、資金分配団体又は実行団体として、NPO法人や公益社団法人等の一定の寄附の優遇措置を有する法人が、休眠預金等からの助成金を受け、民間の公益的な活動を担うことが想定される。ここで、PSTの算定にあたって、休眠預金等からの助成金が経常収入(相対値基準の分母)に算入されることとなった場合や休眠預金等からの助成金を「寄附金」として寄附金等収入(相対値基準の分子)に算入されることとなった場合には、PSTの値に影響を与え、認定NPO法人となることができなくなる可能性がある。
 そのため、PSTの算定式における寄附金等収入金額及び経常収入金額から、民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律に基づく休眠預金等からの助成金が除外された(特定非営利活動促進法施行規則5八、7四)。

3 適用関係
 上記2の改正は、令和2年4月1日から施行される(特定非営利活動促進法施行規則の一部を改正する内閣府令附則①)。

五 贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則の改正

1 改正前の制度の概要
 贈与税について課税庁がする更正若しくは決定又は賦課決定の期間制限については、相続税法において国税通則法の特則として次のように定められている。
(1)税務署長は、贈与税について、次の①から③までに掲げる更正若しくは決定(以下「更正決定」という。)又は賦課決定を、それぞれ①から③までに定める期限又は日から6年を経過する日まですることができる(旧相法36①)。
 ① 贈与税についての更正決定 その更正決定に係る贈与税の申告書の提出期限
 ② 上記①の更正決定に伴い課税標準等又は税額等に異動を生ずべき贈与税に係る更正決定 その更正決定に係る贈与税の申告書の提出期限
 ③ 上記①若しくは②の更正決定若しくは期限後申告書若しくは修正申告書の提出又はこれらの更正決定若しくは提出に伴い異動を生ずべき贈与税に係る更正決定若しくは期限後申告書若しくは修正申告書の提出に伴い、これらの贈与税に係る加算税についてする賦課決定 その納税義務の成立の日
(2)上記(1)により更正をすることができないこととなる日前6月以内にされた更正の請求に係る更正又はその更正に伴い贈与税に係る加算税についてする賦課決定は、上記(1)にかかわらず、当該更正の請求があった日から6月を経過する日まですることができる(旧相法36②)。
(3)偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた贈与税(その贈与税に係る加算税を含む。)についての更正決定若しくは賦課決定又は偽りその他不正の行為により国税通則法第2条第9号に規定する課税期間において生じた同条第6号ハに規定する純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合におけるその申告書に記載されたその純損失等の金額(その金額に関し更正があった場合には、その更正後の金額)についての更正は、上記(1)及び(2)にかかわらず、次の①及び②に定める期限又は日から7年を経過する日まですることができる(旧相法36③)。
 ① 贈与税に係る更正決定 その更正決定に係る贈与税の申告書の提出期限
 ② 贈与税に係る賦課決定 その納税義務の成立の日

2 改正の内容
 これまでは、期限後申告書が上記1(1)の賦課決定の期限の到来間際に提出された場合には、加算税の賦課要件を満たしているにもかかわらず、その期限の到来までに賦課決定通知書の送達が困難であり、結果として加算税を課税することができない事例が生じており、適正課税の確保が課題とされていた。
 今回の改正においては、こうした課題に対応し、適切な加算税の賦課を行う観点から、加算税の賦課決定期限について整備が行われた(国税通則法においても同様の改正が行われている。)。
 具体的には、上記1(1)により賦課決定をすることができなくなる日前3月以内にされた贈与税の申告書の提出に伴い贈与税に係る無申告加算税についてする賦課決定は、上記1(1)にかかわらず、その申告書の提出があった日から3月を経過する日まですることができることとした(相法36③)。

3 適用関係
 上記2の改正は、令和2年4月1日以後に無申告加算税の納税義務の成立の日が到来する贈与税について適用される(改正法附則41)。

六 その他の改正(添付書類の省略)

1 改正前の制度の概要
(1)
延納又は物納の申請書には、次に掲げる法人の貸借対照表及び損益計算書を添付する必要がある(旧相規20②五、22②六)。
 ① 延納の担保が保証人(法人)の保証である場合における当該法人
 ② 非上場株式を物納する場合における当該非上場株式に係る法人
(2)非上場株式等についての贈与税及び相続税の納税猶予制度等における継続届出書等には、認定贈与承継会社等に係る貸借対照表及び損益計算書等を添付する必要がある(旧措規23の8の8⑭四、23の8の9⑫四、23の9三・四・二・四、23の10四・四・二・29四、23の12の2⑯三・⑰四・⑱二・三・二、23の12の3⑯四・⑰四・⑱二・三・二)。

2 改正の内容
 デジタル・ガバメント実行計画(平成30年7月20日デジタル・ガバメント閣僚会議決定)においては、①デジタルファースト、②ワンスオンリー、③コネクテッド・ワンストップの3原則に沿い、行政サービスの100%デジタル化を実現するとされている。
 既に行政機関が保有している情報については、添付書類の必要性の精査や行政機関間の情報連携等によって添付書類の提出を省略することで、ワンスオンリーの実現を目指すこととされている。
 上記1の申請書等には、適用要件を満たしているか確認するため、会社の決算書の提出を求めているところ、これらは税務署において決算書情報を確認することができることから、納税者の利便性向上のため、ワンスオンリーの原則に沿い、決算書の提出を省略することとされた。

3 適用関係
 上記2の改正は、令和2年4月1日以後に提出する上記1の申請書等について適用される(改正相規附則2、改正措規附則21②~④)。

租税特別措置法(登録免許税関係)の改正

一 独立行政法人農林漁業信用基金が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の改正

1 改正前の制度の概要
 独立行政法人農林漁業信用基金が令和3年3月31日までに独立行政法人農林漁業信用基金法第12条第1項第5号に掲げる業務(同法附則第2条の規定により当分の間行うこととされている林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法第6条第1項第3号に掲げる業務を含む。)に係る債権を担保するために受ける抵当権の設定の登記又は登録については、その登記又は登録に係る登録免許税の税率は1,000分の1.5(本則1,000分の4)に軽減する(措法78②二)。

2 改正の内容
 国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第31号)により、独立行政法人農林漁業信用基金法及び木材の安定供給の確保に関する特別措置法が改正され、本制度の適用に係る林業信用保証の対象者に、川上事業者(森林所有者等)・川中事業者(製材業者等)と連携して木材の需要拡大に取り組む川下事業者(住宅生産者・家具製造業等の木材製品の利用者等)であって事業計画につき都道府県知事等の認可を受けたものが加えられた(独立行政法人農林漁業信用基金法12①五、木材の安定供給の確保に関する特別措置法16二)。

3 適用関係
 上記2の改正は、令和2年4月1日から施行される(国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律附則1)。

二 農業競争力強化支援法に規定する認定事業再編計画に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の改正

1 改正前の制度の概要
 会社の設立、資本金の増加等の事項について登記を受ける場合において、これらの事項が、農業競争力強化支援法に規定する認定事業再編計画に係る認定(令和3年3月31日までにされるものに限る。)に係るものであるときは、その登記に係る登録免許税の税率は、1,000分の3.5等(本則1,000分の7等)に軽減する(措法80④)。

2 改正の内容
 農業競争力強化支援法(平成29年8月1日施行)においては、政府はおおむね5年ごとに、良質かつ低廉な農業資材の供給を実現するための施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされており、また、その最初の検討は、施行後おおむね2年以内に行うこととされている。
 農林水産省においては、この規定に基づく検討の結果、小規模で後継者不足が顕在化している農業資材(肥料、農薬等)の卸売・小売業の合理化を後押しする観点から、これらの業種を事業再編計画の対象業種として追加することとし、この改正の結果、本措置の適用対象となる事業者の範囲も拡大することとなった(農業競争力強化支援法施行規則2二・三)。

3 適用関係
 上記2の改正は、令和2年4月1日から施行される(農業競争力強化支援法施行規則の一部を改正する省令附則①)。

三 租税特別措置の適用期限の延長

 次に掲げる租税特別措置の適用期限が令和4年3月31まで2年延長された。
(1)住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に係る税率の軽減措置(措法72の2、73、75)
(2)特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に係る税率の軽減措置(措法74)
(3)認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に係る税率の軽減措置(措法74の2)
(4)特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記に係る税率の軽減措置(措法74の3)
(5)マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に係る免税措置(措法76)
(6)農地中間管理機構が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に係る税率の軽減措置(措法77の2)
(7)産業競争力強化法に規定する認定事業再編計画等に基づき行う登記に係る税率の軽減措置(措法80)
(8)特定創業支援等事業による支援を受けて行う会社の設立の登記に係る税率の軽減措置(措法80)
(9)認定経営力向上計画に基づき行う登記に係る税率の軽減措置(措法80)
(10)預金保険法に規定する第一号措置を行うべき旨の内閣総理大臣の決定等に基づく預金保険機構による金融機関等の株式の引受け等に伴い、当該金融機関等が受ける資本金の額の増加の登記等に係る税率の軽減措置(措法80)
(11)認定特定民間中心市街地経済活力向上事業計画に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に係る税率の軽減措置(措法81)
(12)特定国際船舶の所有権の保存登記等に係る税率の軽減措置(措法82)
(13)低未利用土地権利設定等促進計画に基づき不動産を取得した場合の所有権等の移転登記等に係る税率の軽減措置(措法83の2)
(14)特定連絡道路工事施行者が取得した特定連絡道路に係る土地の所有権の移転登記に係る免税措置(措法84の2の2)

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