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解説記事2020年09月14日 レポート 令和2年3月期における会計方針の変更(2020年9月14日号・№849)

レポート
令和2年3月期における会計方針の変更
ユーザー提供時に収益認識を変更する企業も


 東京証券取引所などに上場している企業の令和2年3月期決算会社では27社の監査報告書において、会計方針の変更に関する強調事項が付されたことが本誌の調査でわかった(表参照)。強調事項のうち、15社が固定資産の減価償却方法を定率法から定額法に変更するものとなっている。また、収益認識の基準を変更する企業なども見受けられた。

15社が定率法から定額法に変更

 強調事項に付された27社のうち、最も多かったのは減価償却方法を定率法から定額法に変更した15社である(下記参照)。例えば、凸版印刷では、「各ビジネスセグメントの市場環境の変化に合わせた最適かつ効率的な生産体制を構築することにより、長期にわたる安定的な生産設備の稼働が見込まれることから、設備コストを毎期均等に負担させる定額法とすることが適切である」としている。

トヨタ自動車、ブルドックソース、イートアンド、日本電子材料、北陸電力、北海道電力、中国電力、東ソー、トッパン・フォームズ、両毛システムズ、関西電力、トーアミ、凸版印刷、タツミ、ミツバ

 令和3年4月1日以後開始する事業年度等から適用される収益に関する会計基準を早期適用する企業(住友林業、ビジネスブレイン太田昭和、あすか製薬、ディスコ)があったほか、収益認識基準を変更する企業も見られた。スクウェア・エニックス・ホールディングスでは、一部の連結子会社は他社が展開するプラットフォームを通じたデジタル・コンテンツの収益について売上報告書到着日に認識していたが、ユーザーへの提供時に認識する方法に変更している。

B/S計上から注記に

 そのほか、日本航空では、従来、預入期間が3ヶ月を超える定期預金は資金の範囲に含めていなかったが、1年以内の定期預金を含めることとしている。預入期間が3ヶ月超1年以内の定期預金について、3ヶ月以内の定期預金と一体として運用している実態があることなどを理由に挙げている。
 また、ジャックスでは、保証取引の会計処理方法を再検討した結果、集金を伴わない保証債務の増加をふまえ、資産総額や負債総額などを計算要素に用いた経営指標について財務諸表利用者が実態をより適切に評価できるようにするため、並びに被保証人に係る状況把握の適時性等リスク管理の観点から、集金を伴わない保証債務は貸借対照表に計上せずに偶発債務として注記し、それに係る引当金を債務保証損失引当金として認識する方が自社の財政状態をより適正に表示しうると判断したと説明している。

【全国証券取引所における令和2年3月期決算会社に係る会計方針の変更に関する注記の強調事項の記載状況】

会社名 業種
(上場区分)
強調事項の内容(一部抜粋) 監査法人等
NTTドコモ 情報通信(東証1部)  連結財務諸表注記2.作成の基礎(5)会計方針の変更に記載されているとおり、会社は当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」を適用している。 有限責任あずさ監査法人
日本航空
空運(東証1部)
 会計方針の変更に記載されているとおり、会社及び連結子会社は当連結会計年度より、連結キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲について変更している。 有限責任あずさ監査法人
日本高周波鋼業
鉄鋼(東証1部)
 「会計方針の変更」に記載されているとおり、たな卸資産のうち一部の貯蔵品の評価方法については、従来、購入時に費用処理する方法を採用していたが、当連結会計年度末より、期末日に実地棚卸で把握した貯蔵品を資産計上することにより使用分を費用処理する方法に変更している。
 この変更により、従来の方法と比べて、当連結会計年度末の原材料及び貯蔵品は1,106百万円増加しており、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ1,106百万円増加している。
有限責任あずさ監査法人
住友林業
建設(東証1部)  注記(会計方針の変更)に記載されているとおり、会社は当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2018年3月30日)を適用している。 EY新日本有限責任監査法人
トヨタ自動車
輸送用機器(東証1部)  会計方針の変更に記載されているとおり、会社は、当連結会計年度より有形固定資産の減価償却方法を変更した。 PwCあらた有限責任監査法人
スクウェア・エニックス・ホールディングス 情報通信(東証1部)  会計方針の変更に記載されているとおり、会社の一部の連結子会社は、他社が展開するプラットフォームを通じたデジタル・コンテンツの収益について売上報告書到着日に認識する方法から、ユーザーへの提供時に認識する方法に変更している。 EY新日本有限責任監査法人
ビジネスブレイン太田昭和 情報通信(東証1部)  注記事項(会計方針の変更)に記載されているとおり、会社は当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2018年3月30日)を早期適用している。 ひびき監査法人
ブルドックソース 食料品(東証2部)  会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、会社及び連結子会社は、有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法について、従来、主として定率法を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 三優監査法人
イートアンド 食料品(東証1部)  「会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更」に記載されているとおり、会社及び連結子会社は、従来、定率法を採用していた有形固定資産の減価償却方法について、当連結会計年度より定額法に変更している。 東陽監査法人
日本電子材料 電気機器(東証1部)  「会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更」に記載されているとおり、会社は、従来、定率法を採用していた有形固定資産の減価償却方法について、当連結会計年度より定額法に変更している。 有限責任あずさ監査法人
北陸電力 電気ガス(東証1部)  「注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項(2)重要な減価償却資産の減価償却の方法 (会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)」に記載されているとおり、会社及び電気事業を営む連結子会社は、当連結会計年度より有形固定資産の減価償却方法を変更した。 EY新日本有限責任監査法人
あすか製薬 医薬品(東証1部)  注記事項(会計方針の変更)に記載されているとおり、会社は当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2018年3月30日)を早期適用している。 清陽監査法人
北海道電力 電気ガス(東証1部)  会計方針の変更等(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)に記載されているとおり、会社及び一部の連結子会社は、有形固定資産の減価償却方法について、従来、定率法を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 EY新日本有限責任監査法人
中国電力 電気ガス(東証1部)  会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、会社は有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却の方法については、従来、定率法を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 有限責任あずさ監査法人
ディスコ 機械(東証1部)  注記事項(会計方針の変更)に記載されているとおり、会社は当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2018年3月30日)を早期適用している。 有限責任あずさ監査法人
東ソー
化学(東証1部)
 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、従来、会社は、有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法については、主として定率法(ただし、建物並びに2016年4月1日以降に取得した建物附属設備及び構築物は定額法)を採用していたが、当連結会計年度より定額法へ変更している。 有限責任あずさ監査法人
トッパン・フォームズ
その他製品(東証1部)
 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、従来、会社及び国内連結子会社は、有形固定資産の減価償却方法について、主として定率法(ただし、1998年4月1日以降に取得した建物(建物附属設備を除く)については定額法)を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 PwCあらた有限責任監査法人
両毛システムズ
情報通信(JASDAQスタンダード)  注記事項(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)に記載されているとおり、会社及び一部の連結子会社は、有形固定資産の減価償却方法について、従来、主に定率法を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 新宿監査法人
関西電力
電気ガス(東証1部)
 会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更に記載されているとおり、有形固定資産の減価償却方法について、従来、主として定率法を採用していたが、当連結会計年度より主として定額法に変更している。 有限責任監査法人トーマツ
トーアミ 金属製品(東証2部)  注記事項(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)に記載されているとおり、会社は当連結会計年度より機械装置の減価償却方法を定率法から定額法に変更している。 ネクサス監査法人
ジャックス
その他金融(東証1部)
 会計方針の変更に記載されているとおり、会社は当連結会計年度より債務保証のみを行う保証債務について連結貸借対照表に計上せずに偶発債務として注記することとしている。 有限責任あずさ監査法人
トリドールホールディングス 小売(東証1部) 【連結財務諸表注記】2.作成の基礎(5)会計方針の変更に記載されているとおり、会社は当連結会計年度からIFRS第16号「リース」を適用している。 有限責任あずさ監査法人
SDエンターテイメント サービス(JASDAQスタンダード)  会計方針の変更に記載されているとおり、会社は、固定資産の圧縮記帳の会計処理について、従来、利益処分方式による会計処理を行っていたが、当連結会計年度より固定資産の取得原価から直接減額する方式に変更している。 瑞輝監査法人
RIZAPグループ サービス(札幌アンビシャス)  連結財務諸表注記2.作成の基礎(4)会計方針の変更において、IFRS第16号「リース」の適用開始に関する事項が記載されている。 太陽有限責任監査法人
凸版印刷 その他製品(東証1部)  「会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更」に記載のとおり、従来、会社及び一部の連結子会社は、有形固定資産の減価償却方法として、建物(建物附属設備を除く)並びに2016年4月1日以降に取得した建物附属設備及び構築物以外の有形固定資産(リース資産を除く)については主として定率法を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 有限責任あずさ監査法人
タツミ 輸送用機器(JASDAQスタンダード)  注記事項(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)に記載されているとおり、会社は、有形固定資産の減価償却方法について、従来、定率法(ただし、1998年4月1日以降取得した建物(建物附属設備を除く)並びに2016年4月1日以降に取得した建物附属設備および構築物は定額法)を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 新宿監査法人
ミツバ 電気機器(東証1部)  注記事項(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)に記載されているとおり、会社、国内連結子会社及び一部の海外連結子会社は、有形固定資産の減価償却方法について、従来、主に定率法を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。 新宿監査法人

 (EDINETに基づき編集部が作成)

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